利回りを考えるうえで忘れがちな盲点とは?

不動産投資の物件選びにおいて、その収益性を判断するために重要なポイントとなるのが「利回り」です。投資家にとって大切な数値として認知されており、物件資料には「利回り〇%」と前面に出して語られることの多い数値です。
この不動産の利回りをみるうえで、投資初心者が見逃しがちないくつかの「盲点」が存在します。今回は利回りで気を付けておきたいポイントをお伝えします。

1. 表面利回りと実質利回りの違いを認識する

不動産投資の利回りには、「表面利回り」と「実質利回り」があります。

・表面利回り

表面利回りは、物件の満室時の予想収益で、物件の購入費用を割り出した指標です。不動産の広告などで利回りが表記されているのは、たいていの場合、この表面利回りです。表面利回りは、物件の収益力を大まかに把握するものです。
【表面利回り=年間収入÷購入価格×100】
・土地購入費+建築費用が1億円、家賃10万円、貸室10室の場合
年間収入:10万円×10室×12ヵ月=1,200万円
表面利回り:1,200万円÷1億円=0.12×100=12%

・実質利回り

一方、実質利回りは、家賃収入から税金などの諸費用(固定資産税、火災保険料、建物管理や賃貸管理費、修繕積立金など)を引いた額を、購入価格から購入時の諸経費を引いた額で割ることで算出します。
【実質利回り=(年間収入-諸経費)÷(購入価格+購入時の諸経費)×100】
・土地購入費+建築費用が1億円、家賃10万円、貸室10室の場合、
(諸経費100万円、購入時の諸経費500万円)
年間収入:10万円×10室×12ヵ月=1,200万円
実質利回り:(1,200万円-100万円)÷(1億円+500万円)=0.105×100=10.5%
不動産投資において参考としたいのは、より現実のキャッシュフロー(実際の家賃収入と支出額)に近い、後者の実質利回りです。不動産会社によっては、より良い数字が出る表面利回りを前面に押し出している場合もありますが、必ず実質利回りを算出するようにします。
また、複数の物件の利回りを比較する際に、物件を表面利回りと実質利回りで比較するようなことのないよう注意しましょう。

2. 「利回り10%」にこだわらない

少し古い不動産投資の指南本などを見てみると、「不動産投資物件の最低レートは10%」と書いてあるものが目立ちます。これは実質利回りではなく、表面利回りの目標値として書いてある場合が多いようです。
ただ最近は、建築資材と職人人件費の高騰などにより物件価格が高くなり、利回り10%超えの物件は以前よりも減っています。また、10%を超えなければキャッシュフローのバランスがとれない「投資不適格の物件」というわけでもありません。
7~8%前後の利回りが想定できる物件で、投資家本人が気に入ったものであれば、利回りは参考データの一つとして購入に踏み切るという判断もあります。利回りはあくまで参考値という「数字との距離感」を大切にしたいところです。

3. 「収入予測の変化」「臨時出費」は必ず発生する

利回りを必要以上に重視しないことが大切な局面もあります。
実質利回りでさまざまな支出要因を組み込み、修繕費や管理費用を考慮して、より正確な実質利回りを計算できたとしても、不動産投資において必ず臨時支出は発生します。予想よりも短い耐久年数で故障した設備にかかるランニングコスト、周辺の環境変化により著しく低下してしまった収入予想など、長い不動産投資生活では「予期せぬこと」が発生します。
他にも、所有物件が、当初の想定を上回る長期的な空室に悩まされたり、著しく家賃が低くなったりしてしまった場合などは、思い切って物件をリフォームしたり、売却したりという選択も有効です。その時に利回りの数字ばかりを気にしていると、タイミングを失ってしまいがちです。追加費用がかかったら柔軟に対応することが不動産投資では大切です。

4. イールドギャップの数値を意識

不動産投資物件を購入する際、ほとんどの投資家は、物件購入費用のすべてを自分の懐から持ち出すのではなく、不動産投資ローンを活用することでしょう。そのため、どのようにローンを組み、返済していくかも、考えておく必要があります。
しかし、上述の計算式の通り、表面利回り・実質利回りのいずれにも、ローン返済という要素は含まれていません。そのため利回りとは別に、「イールドギャップ」と呼ばれる指標があります。
不動産投資におけるイールドギャップとは、「利回り-不動産投資ローンの金利」というもので、一般的にはこの数値が2%を下回ると、収益物件としては不適格と判断されます。これも一つの目安ではありますが、利回りの高さにひかれて無理なローンを組んで購入を急いでは、後々の資金繰りで破綻しかねないという点も考慮しましょう。
不動産投資の判断基準として重視したい利回りですが、その大小のみを問題にするのではなく、利回りの意味を知り、今回取り上げたような「盲点」をしっかり捉えることが大切です。現実的な数字を読み解く知識と、数字にとらわれない「距離感」を身に付けて、賢い不動産投資を実現しましょう。
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