福岡市が旅館業法条例を改正!? 気になるその中身とは?

福岡市は2016年9月、民泊の規制緩和対策として、旅館業法施行条例改正案を可決しました。施行は今年12月で、今回の条例改正により、民泊を実施するハードルが下がると予想されます。今回は、この旅館業法施行条例の改正内容と、福岡市の民泊の現状について解説します。

外国人観光客にも人気の高い、福岡の宿泊施設事情

国土交通省によれば、2016年1月~10月末に日本を訪れた外国人観光客の数は、過去最高の2,000万人を突破したことがわかっています。また、観光庁の調査によれば、旅行先として人気の高い福岡県も2014年頃から外国人観光客の数が増加し、2016年1~8月に県内に宿泊した外国人観光客の数は約175万人という結果が出ています。
福岡県では同時に、ホテルや旅館など宿泊先の不足が問題となっていました。現在は博多駅周辺などを中心に、ホテルの建設・開業が続いている状況です。
また、福岡市にあるヤフオクドームでのコンサートなどに全国から訪れるファンの宿泊先不足も、以前から問題になっていました。人気グループのコンサートとなると、近くの宿泊施設は軒並み満室という状況で、「当日まで宿が決まらない」「コンサート終了後に泊まる場所が見つからない」という声も少なくありませんでした。
こうした事態を受けて福岡市は2015年、特に動員数の多い人気のアイドルや音楽グループのコンサート実施期間の5日間のみ、一般住宅などでの民泊を特別に認めました。
しかし、民泊の認知度が低く利用者の心理的ハードルが高かったことや準備期間も短かったことなどから、市が認めた民泊の世帯は、わずか13軒にとどまり、宿泊先不足の根本的な解決とはなりませんでした。

旅館業法は改正されたが、民泊導入に慎重な自治体も多い

現在、一般住宅で民泊を行うためには旅館業法上の許可が必要です。
インバウンド需要や2020年の東京オリンピックなどの対策として、政府は2016年4月1日から旅館業法を改正し、民泊の規制緩和を行いました。この改正により、簡易宿所としての規定を満たせば、床面積の緩和や帳場の設置などがなくても、民泊を行うことが可能になりました。
一方で、独自に条例を設定している自治体も少なくありません。例えば、東京都練馬区など複数の区では、民泊実施にあたりフロント設置を義務づけるなど、一般住宅で合法的に民泊を運用することは難しくなっています。
民泊実施のハードルが高いことなどから、東京や大阪などの都心部などを中心に、民泊の無許可営業が問題となっています。これは福岡市も同様で、市が実施した調査によれば、最大級の民泊仲介サイトAirbnbなどに掲載されている物件のうち、約1,300件が無許可営業を実施していることがわかっています。

帳場不要や床面積などの緩和により、一棟アパートでも民泊が実施しやすく

冒頭で紹介した、福岡市の旅館業法施行条例改正案の内容についてですが、改正案では宿泊施設が住居などと区画されていなくても、簡易宿所としての条件を満たせば運営可能となります。
また客室の延床面積が33㎡未満である施設には、
・ 「1つの客室の床面積は4.5㎡以上」という基準が適用されない
・ 玄関帳場(フロント)を必要としない
・ 脱衣室の面積の規定がなくなる

など、従前のいくつかの規定が変更されました。
今回の条例改正により、福岡市内の投資用アパートやマンションで、民泊を運用しやすくなることが予想されます。特徴的なのが、「要件を満たしていれば、所有する物件を、民泊などの旅館業以外の用途でも実施することが可能になる」ということです。
これまでの条例では、民泊などの宿泊施設や居住用の住宅が、同じ区画の中に混在することは認められていませんでした。この場合、実質的にアパートやマンションの一部だけを民泊として運用することは不可能ということになります。
しかし今回の条例改正で、たとえば1棟アパートを所有している場合、アパートの1室を民泊として運用し、他の部屋は賃貸物件として貸し出す、ということが認められることになるのです。
1部屋または数室を民泊として運用することで、もし人気の物件になれば賃貸収入よりも高い収益を得ることも可能になります。もちろん空室対策にもつながります。
今回の福岡市の旅館業法条例改正により、民泊実施のハードルが下がり、参入しやすくなるのは間違いないでしょう。しかし、近隣住民からの苦情や宿泊客とのトラブルなど、民泊の実施には懸念すべき事項もあります。
また、民泊の運用にあたっては、部屋の備品準備、宿泊客の管理や部屋のメンテナンスなど、必要なノウハウや作業も増えます。自身の物件で民泊を継続的に運用し、きちんと収益を上げられるかどうかを慎重に検討する必要があります。
条例改正でビジネスチャンスが広がる福岡市の「民泊」動向は、今後の行方を見るうえで、非常に参考になるのではないでしょうか。