賢いアパート経営のために知っておきたい「イールドギャップ」

アパート経営を行うにあたっては、「どの物件を運用することで、どれくらいの収益が生まれるか」を投資家は見極める必要があります。そのためのさまざまな指標があり、実際にこれらを物件購入の重要な判断とします。
今回はその指標の中で、賢いアパート経営のために知っておきたい「イールドギャップ」について取り上げます。

二つの利回りとは?

まずは、イールドギャップを理解するために前提として重要な「利回り」について押さえましょう。
不動産投資の利回りには「表面利回り」と「実質利回り」があります。

表面利回り

表面利回りは、不動産物件の満室時の予想収益で、物件購入の費用を割り出した指標です。不動産の広告などで利回りが表記されている場合は、この表面利回りであることが多いです。表面利回りは、あくまでも物件の収益力を大まかに把握するものです。
【表面利回り=年間収入÷購入価格×100】
土地購入費+建築費用が1億円、家賃9万円、貸室10室の場合、
年間収入:9万円×10室×12ヵ月=1,080万円
表面利回り:1,080万円÷1億円=0.108=10.8%

実質利回り

一方、実質利回りは、家賃収入から諸費用(固定資産税、火災保険料、建物管理や賃貸管理費、修繕積立金など)を引いた額を、購入価格から購入時の諸経費を引いた額で割ることで算出します。
【実質利回り=(年間収入-諸経費)÷(購入価格+購入時の諸経費)】
土地購入費+建築費用が1億円、家賃9万円、貸室10室の場合、
(諸経費100万円、購入時の諸経費500万円)
年間収入:9万円×10室×12ヵ月=1,080万円
実質利回り:(1,080万円-100万円)÷(1億円+500万円)=0.093=9.3%

イールドギャップとは?

表面利回りは、あくまで物件価格の全額を「自己資金」として拠出した場合の指標です。しかし、実際の不動産投資では、資金面に相当余裕がある富裕層でもない限り、銀行などの金融機関からお金を借りて物件を購入します。
借入金があれば、返済時には金利分の利息が発生し、不動産投資の利回りを悪化させます。この表面利回りと不動産投資ローンの金利との差分を「イールドギャップ」と呼びます。
一般的には、イールドギャップとは投資の実質利回りから国債金利(投資リスクが最も低いと思われる金利)との差分のことを言いますが、不動産投資においては、上述の通り「表面利回り-不動産投資ローン金利」がイールドギャップとして定義されることが多いです。たとえば表面利回りが10%、ローン金利3%の場合、イールドギャップは7%となります。
イールドギャップは表面利回りよりも実情に即していることから、対象物件の収益性を判断するのに適切な指標として評価されています。

より厳密なイールドギャップの計算

ここまで、「表面利回り-不動産投資ローン金利」が不動産投資で言われるイールドギャップとしてきましたが、これはあくまでも大雑把な判断基準であり、厳密にはこの式は正確ではないとされています。
不動産投資ローンの内容を構成するのは、金利だけではありません。「融資金額」や「返済期間」という要素も個々の事例で異なり、それは収支計画に大きく関わってきます。こうした要素を加味した、厳密な意味でのイールドギャップは、「実質利回り-ローン定数」となります。
実質利回りとは上述の通り、年間収入と物件価格のそれぞれから諸経費を引いて割り出した数値です。またローン定数(K%)とは「ローンコンスタント」とも呼ばれ、ここでは「年間元利返済額÷ローン残高」となります。
また、実質利回りやローン定数も、時間の経過とともに変化する値です。例えば実質利回りは、家賃や空室率が増減すれば変わりますし、ローン定数は元利の返済が進んだ段階では違ってきます。あくまでもイールドギャップは、投資初期の段階における判断の指標であることにご注意ください。
なおイールドギャップの目安は、一般的には2%と言われています。これよりも低い場合、その物件は投資対象として適していないという判断です。

不動産投資を行ううえで大切なこと

さて、賢いアパート経営を行うための一つの指標として、「イールドギャップ」について説明しました。不動産投資には二つの面が必要といわれています。
一つは投資家として、「この物件には人が入りそうだ」と察知できる直観的な部分。もう一つは数字をもとに冷静に「この物件からどれくらいのキャッシュフローが生まれるか」を算出できるテクニカルな部分。
両者とも大切な要素ですので、見落とすことなく物件を評価し、堅実な不動産経営を行いたいものです。