ご存じですか? 「2019年問題」と不動産投資の関係

2020年に開催を控える東京オリンピック・パラリンピックは、さまざまな面で日本経済を活性化すると期待されています。
訪日観光客の増加による経済効果、インフラ整備や建設工事への人材の雇用促進のほか、交通網の整備により開催地域周辺をはじめとした東京近郊の利便性が高まり、資産価値の上昇も見込まれています。主要施設が設置される、勝どき、晴海、豊洲といった湾岸エリアのマンションを筆頭に、都内の不動産価格は軒並み上昇を続け、投資家の注目を集めています。
しかし、この2020年を待たずに、住宅業界では、2019年を機に住宅不況が訪れる「2019年問題」が懸念されているのをご存じでしょうか。不動産投資の世界では、「2020年問題」と言われることもありますが、果たしてこの時期に何が起こるのでしょうか。

2019年を機に日本の総世帯数がピークアウト いよいよ世帯数の減少が始まる

日本は2008年の総人口1億2,809万9,000人をピークに、2010年から本格的な人口減少が始まりました。その一方で総世帯数は2010年から増え続けており(未婚・非婚率や離婚世帯の増加などが原因と考えられます)、住宅需要は維持されて、市場の縮小は抑えられてきました。しかし、その総世帯数が、2019年にピークアウトし、いよいよ減少を始めるというのです。
国立社会保障・人口問題研究所(以下「研究所」)が2013年に発表した「日本の世帯数の将来推計」によると、日本の世帯数は2019年に5,307万世帯でピークを迎えますが、その後は減少に転じ、2035年には4,956万世帯まで減るとされています。世帯数が減れば、住宅の需要も減ります。これまでのように住宅が売れなくなり、賃貸の入居率にも影響を及ぼす可能性が出てきます。
また、現在活発に供給されている新築マンションも、オリンピックの開催前後で供給過剰となることが予想されます。2013~2014年に都心部のタワーマンションなどを投資目的で「爆買い」した外国人投資家が、売却益にかかる税額が安くなる5年目を節目に所有物件を手放し始めるのではないかという予測もあります。
市場に物件が増え、需給バランスが変われば不動産価格は影響を受けます。供給過多に陥れば、不動産価格は下がり、場合によっては暴落もあるのではないかと危惧されているのです。
建設が続く都心部の高層賃貸ビルについても、2018年には需給バランスが逆転するという推測も出ています。
世帯数減少だけでなく、こうした複数のファクターから、この先に控える住宅業界の不況が危ぶまれているのは逃れようのない事実であり、「資産価値が落ちない」と言われてきた東京都心部の物件すら価格に影響を受けることが考えられます。

投資家が打つべき対策とは

将来、こうした局面が到来することを考えると、不動産投資においては、投資対象の選定をよりシビアに行うことが肝要となります。利便性の高い立地の見極めはもとより、入居者を想定し、次にあげるようなポイントが「2019年問題」を切り抜けるカギとなるでしょう。

1. 超高齢化社会に突入している日本

研究所発表の「日本の将来推計人口」によると、日本の総人口は、2010年の国勢調査による1億2,806万人から、2030年には1億1,662万人、2048年には9,913万人、2060年には8,674万人と、50年間で実に4,132万人の人口が減少すると見込まれています。
一方、総人口年齢を3区分で見ると、0~14歳の年少人口、15~64歳の生産人口がどちらも減少するのに対し、65歳以上の老年(高齢者)人口は2010年の23%から一貫して上昇し続け、2060年には39.9%まで上昇するとみられています。これは他の先進国の中では異例のスピードです。
日本は既に「超高齢社会」に突入しており、減少した人口の4割が高齢者という時代が実際にやってきます。それに伴い、今後、高齢者向け住宅の需要は必ず拡大するでしょう。

2. バリアフリー住宅に注目

こうした中で、高齢者に配慮した、いわゆる「バリアフリー住宅」には注目していきたいところです。総務省統計局が2014年に発表した「平成25年住宅・土地統計調査」の高齢者等の設備について見てみると、2013年時点で、バリアフリー設備を備えた住宅は2,654万戸(住宅全体の50.9%)となっており、2008年時点の48.7%から2.2ポイント増加しています。
中でも普及率が高いのは「手すり」で、設置住宅は住宅全体の40.8%を占めています。マンションなどの共同住宅においては、エレベーター、車椅子利用でも動きやすいスロープの設置、通路幅の確保、浴室などの段差の配慮といったバリアフリー仕様の有無も入居率に関わってくるでしょう。

3. 「小規模世帯の増加」に伴い、コンパクト物件に投資対象をシフト

研究所の「日本の世帯数の将来推計」の家族類型別世帯の内訳を見ると、2010~2035年の間に割合が上昇するのは「単独」(単身者)「夫婦のみ」「ひとり親と子」世帯とされています。
未婚・非婚率の上昇と晩婚化により、単身者や「ひとり親と子」「夫婦のみ」といった1~2人の小規模世帯が増加し、一方で、かつて40%以上を占めたいわゆるファミリー世帯である「夫婦と子」世帯、「その他」の世帯は低下し、既に逆転を始めています。また平均世帯人員は2010年時点の2.42人から減少を続け、2035年には2.20人となる見通しです。
世帯当たりの規模が小さくなるため、一軒家やファミリータイプの物件より、コンパクトな単身者向けのワンルームマンションや2LDKなどを投資対象としていく方が、安定した入居率を手堅く期待できるといえるでしょう。年金で払える範囲の家賃を希望する高齢者も想定できるため、家賃設定を低くできるコンパクトな物件は、その面でもポテンシャルがあるでしょう。
迫りくる「2019年問題」と、投資家がとるべき対策について考えてみました。
少子高齢化による人口問題は、国家レベルの大きな課題ですが、人がいる限り、住まいが不要になることはありません。これを機会に、将来の需要を先読みし、シビアに賢く適切な物件に投資することがますます重要になってくるでしょう。