最新版! 主要都市の高度利用地地価動向報告 ~地価LOOKレポート~

武蔵浦和、国分寺、千葉、辻堂、府中。これら5地区にはある共通点があります。それは5地区いずれも、再開発が行われたか、再開発を検討・進行中の街であるということです。
「再開発が行われた街は、街の機能や景観などの魅力が高められ、土地の価値も上がる」といわれていますが、実際はどうなのでしょうか? 市街地再開発と密接な関係があるとされる「高度利用地」の最新の地価動向を国土交通省がまとめた、「地価LOOKレポート(平成28年7月1日~10月1日)」を参考に分析してみたいと思います。

前期に続き高水準を保つも、横ばいの地区が増加

さっそく、調査地点100地区の総合評価をみてみましょう。前回調査時(平成28年4月1日~7月1日)よりも上昇したのは82 地区(前回88)、横ばいが18 地区(前回12)、下落が0 地区(前回0)で、全体の約8 割(前回約9 割)が上昇地区となりました。
前回より横ばいの地区が増えましたが、上昇地区の割合は高水準を維持しています。
これについて国土交通省は「金融緩和などをはじめ、良好な資金調達環境の中、大都市圏を中心にオフィス市況の回復基調が続き、大規模な再開発事業が進捗しており、訪日客による購買・宿泊需要も高水準で推移していることから、法人投資家などによる不動産投資意欲が強かったため」とコメントしています。

湾岸部のマンション市場はピークアウト?

次に、国内の不動産取引の大部分を占める東京圏(東京・神奈川・埼玉・千葉)の地価動向について、マンション市況を中心にみていきましょう。東京の調査対象は27地区で、うち上昇が19ヵ所、番町(千代田区)、佃・月島(中央区)、豊洲(江東区)など8ヵ所が横ばいという結果でした。
注目度が高い湾岸エリアの地価動向を分析してみると、「佃・月島」は、銀座に出やすく、東京タワー・東京スカイツリーや河川に囲まれ、変化に富んだ眺望などから、分譲・賃貸ともに高層マンションの需要が強い地区といえます。
しかし、建築工事費上昇による分譲価格の高騰、国内外の経済情勢の不透明感などを背景に、資産保有目的の富裕層による需要が落ち込んでおり、中古マンションの在庫も増え始め、供給過剰感が生まれつつあることが分かりました。
今後、当地区におけるマンション市況はおおむね横ばい、経済情勢次第ではやや下落する可能性があると予測されます。
一方、都心部にあり富裕層の需要がある高級住宅地「番町」では、新築・中古とも販売は堅調です。デベロッパーのマンション開発素地などの取得競争は今後も続くと見られています。
しかしながら、経済の先行きに対する不透明感への懸念と、分譲マンションが高価格帯であることへの警戒感から、分譲価格は横ばい傾向、当面はこの状況が続くと予想されています。
多くの外国人観光客が訪れる「歌舞伎町」(新宿区)では、宿泊施設の稼働率も高く、さらに複数のホテル建築が進んでおり、国際的な観光拠点としての性格がますます強まっているとの見解が示されています。
今後も観光拠点としての熟成度は高まるであろうことから、ホテルや店舗、民泊としても利用可能なホテルライクな設備を持つ高級マンションなどの需要が増すのではないでしょうか。

東京以外の各県の動向

神奈川の調査対象は7地区で、うち6地区で上昇という結果になりました。都心へのアクセスに優れ、生活利便性の高い駅の徒歩圏内にある「都筑区センター南」(横浜市)や「新百合ヶ丘」(川崎市)は子育て世代を中心に人気が高く、当面は高値での取引が見込まれ、将来の地価動向もやや上昇すると予想されています。
千葉も調査対象5地区中4地区で上昇しています。特に注目すべきエリアは、東日本大震災での液状化現象が話題となった「新浦安」(浦安市)です。
首都圏のマンション市場がピークアウトを迎える中、当地区では開発素地が残り少なく、中古戸建・マンション市場が活況を呈しており、取引価格は緩やかな上昇傾向です。
また、日の出地区の大型戸建開発や明海地区のマンション・戸建分譲計画では広域的な需要が期待されており、ホテル建築を目的とした素地取得需要も続いていることから、将来の地価動向もやや上昇との予測が出ています。
埼玉では調査対象の4地区すべてで、上昇が確認できました。「新都心」(さいたま市)ではJR上野東京ラインの開業、さいたま新都心駅にある大型商業施設の開店などから、投資家による分譲マンションおよび商業施設への投資意欲が大きく強まるとみられています。
マンション用地の購入需要は旺盛ですが供給は限定的です。買い進み傾向がみられ、取引価格が上昇傾向にあります。分譲マンションや事業用素地の取得需要は底堅く、将来の地価動向も引き続きやや上昇すると考えられます。
今回はマンション市況を中心に東京圏の高度利用地の地価動向を分析しました。
投資をする際は、対象地域の街づくり案を調べ、再開発や新路線設置の構想段階で物件を確保し、かつ豊洲市場の問題にもあるように、時事問題も念頭に置き、物件を取得するのが得策と言えます。