Airbnbと自治体が初の提携! 民泊による観光促進の可能性は

世界最大手の民泊仲介サイト「Airbnb」と岩手県釜石市が提携することが、2016年10月に発表されました。旅館業法改正による規制緩和など政府が民泊を推進する一方で、独自に民泊を規制する自治体も多いことから高い注目を集めています。
今回は、民泊による観光促進の可能性について解説します。

国の規制緩和と、自治体の慎重な姿勢

2016年4月、民泊の規制緩和を目的とした旅館業法の改正が行われました。
現在、日本国内で民泊を行う場合は、旅館業法上の「簡易宿所」としての要件が満たさなければ、営業許可がおりません。以前は面積の基準や、厚労省より通知されていたフロント設置の義務などがあり、一般住宅で民泊を実施するのは実質的に困難な状況にありました。しかし、先の旅館業法の改正により、これらの条件が緩和されました。
なお、現在日本で実施されている民泊の大半は、こうした条件を満たさずに無許可で営業されています。ゴミや騒音などマナーを守らない利用者や、見知らぬ外国人が深夜にマンションやアパートに出入りすることを嫌がる近隣住民も少なくなく、トラブルに発展することもあり問題になっています。
その一方で、多くの自治体は民泊の普及に慎重な姿勢を見せており、たとえば台東区や練馬区、千代田区などは民泊実施にあたり、フロント設置の義務化や管理者の常駐を求めるなどの条例を定めています。
また、国家戦略特区に指定されている東京都大田区などの場合、旅館業法上の適用外となることから民泊の実施が可能です。しかし、こちらも最低宿泊日数などの条件が厳しく、一般住宅での実施は実質上難しい状況です。
2017年には民泊新法が制定される予定です。法案には旅館業法の許可を受けなくてもインターネットによる届出制で民泊の実施が可能になるなどの内容が盛り込まれており、施行されればマンションやアパートなどでも合法的に民泊を実施できる可能性が高くなります。
しかし、外国人観光客に人気の高い京都では、以前から民泊に対する規制を厳しくするよう求めており、2016年11月に京都市長が、「京都市内では集合住宅での民泊を禁止したい」という意向の要望書を厚生労働大臣に提出するなど、規制緩和に反対しています。

Airbnbとの連携に、観光復興も期待できる

そのような状況の中で、Airbnbと岩手県釜石市が提携したことは、今後の民泊における観光促進に、大きな影響を与える画期的な取り組みといえるでしょう。
釜石市では東日本大震災後、震災について学ぶことを目的とした修学旅行などで、旅行客が増加しているのに加え、2019年ラグビーワールドカップの開催地の一つであることから、宿泊施設不足が懸念されている状況です。現在、市内には約1,000人分の宿泊施設しかなく、このままではワールドカップでの宿泊施設不足が確実となります。
釜石市は以前より、農林水産省が推進する「農林漁家民泊」を実施していたことから、今回の提携が可能になりました。今回の提携で、Airbnbは釜石市に民泊の推進や関連資料などの提供、両者の協力による観光促進のキャンペーンなどを実施する予定です。
民泊仲介サイト最大手のAirbnbとタッグを組むことで、宿泊施設不足の解消はもちろんのこと、さらなる観光客の誘致など経済効果も期待でき、地方の観光復興として大きなきっかけとなると考えられます。

「民泊は地域活性化にもなる」という政府の考え

観光庁・厚生労働省が2015年より実施してきた、「民泊サービス」のあり方に関する検討会の最終報告書によれば、民泊は外国人観光客の宿泊施設不足に対応するという点のみならず、地域の空き家を民泊で有効活用するという地域活性化の役割も果たせるとして、一般住宅でも安全に民泊を実施できるような制度を作っていくべきだという意見が出ています。
具体的には、家主居住型(ホームステイ)、家主不在型のどちらのケースでも、衛生管理や利用者名簿の作成、面積基準などのルールをしっかりと守ることを義務付け、無許可営業や違反などが見つかった場合は罰則を設けることを検討するなど、一般住宅での民泊実施をしやすくする反面、違反者は厳しく取り締まることが必要だという方針です。
最終的にどのようなルールを制定すべきかなど、まだまだ課題もたくさんありますが、政府は民泊実施のハードルを下げることを前向きに検討しています。合法的に民泊を実施し、地域の良さをアピールできれば、旅行客が減少している地域の観光促進にもつながるでしょう。