ペットOKの物件は実際メリットがあるのか?

一般社団法人ペットフード協会が発表した「平成27年全国犬猫飼育実態調査」によると、日本の住宅では、犬は約992万頭、猫は約987万頭が、ペットとして飼育されているそうです。
ペットを飼えない理由で最も多かったのが「集合住宅に住んでいて(飼うことを)禁止されている」で、回答者の26%が「そう感じている」という結果も出ています。
こうした状況の中、最近では賃貸アパートなどでも「ペットOK」の条件を掲げる所が増えてきています。今回は、賃貸物件でペットの飼育を許可することのメリットやデメリットについて考えます。

入居者ニーズを意識した「ペット共生型」の賃貸住宅が増加

近年は、ペットを飼う人向けの「ペット共生型物件」も出てきていて、共用部にペットの足洗い場や敷地内にドッグラン、トリミングルームが設けられていたりします。
その他に室内には、ペットスペースやドアにペットのくぐり戸、猫のためのキャットタワー、壁や床にすべり止めや防臭効果などが整備されていたりします。
このような賃貸住宅は、もともと入居者がペットを飼うことを前提に設計されています。また、「ペットを飼う」という同じ嗜好・目的を持った人たちが集まるため、入居者同士のトラブルが起きる可能性も少なく、安心してペットと暮らすことができるでしょう。

「ペットOK」の賃貸運営のデメリット

上述のような特殊な物件だけでなく、一般の賃貸アパートでも、ペット可の物件は増えてきています。当初はペットNGでしたが、入居者を獲得するために途中からペットOKにする物件も出てきています。
ペットの飼育を許可することは、入居を希望する人が増えるというメリットがある反面、デメリットもあります。
まずは、アパート管理上の問題が増えることです。敷地内や部屋にペットの臭いがついてしまう、壁や床などが傷つくなど、これらの原状回復に費用がかかることになります。
また、ペットを飼っていない他の入居者からクレームを受ける可能性もあるでしょう。鳴き声や臭い、抜け落ちた毛、共用部の汚れなどで、住人同士がトラブルを起こす事態も考えられます。
このように、以前はペットの飼育を禁止していて途中からOKとした住宅の場合、動物が苦手な入居者が退去してしまうこともあるかもしれません。

入居者が快適に暮らせる工夫を

「ペットOK」とする最大のメリットは、何といってもペットを飼いたい入居者の客付けがしやすいという点です。近年増えてきているとはいえ、ペットを飼育できる物件の数はまだ多くありません。ペット愛好家たちにとって、賃貸物件でペットと一緒に堂々と暮らせるのであれば、その他の条件にはそれほどこだわらないという人も少なくないでしょう。立地条件がそれほど良くなかったり、築年数が経過していたり、相場より多少家賃が高額であったりしても、入居を希望する確率は高いと考えられます。それらのニーズをつかむことで、物件の稼働率はアップするはずです。
さらに、ペットOKの物件に入居する人は長期間入居する可能性が高いため、オーナーは安定した運営ができるかもしれません。
所有するアパートをペットOKにする場合、デメリットを踏まえて、すべての入居者が暮らしやすくなるための工夫が欠かせないでしょう。飼育可能なペットの頭数や種類、禁止行為など、ペットを飼育していない住人に迷惑がかからないようにするルールの制定や、退去時の原状回復を想定して家賃や敷金などを上げるなど、事前に対策を取ることでトラブルは防ぐことができるでしょう。
マンション・アパート経営において、周辺の他物件との差別化は鉄則です。その意味で「ペットOK」は、差別化にもつながり、稼働率や収益性などのメリットも大きいと言えます。その一方で、管理面での負担は増えるでしょう。また入居者同士の予期せぬトラブルが起きる可能性もあります。
「ペットOK」にすることで起こり得るさまざまなシチュエーションを想定したうえで、最終的な判断を下すようにしましょう。