国税庁、タワマン資産評価見直しを検討か

政府与党から発表された、タワーマンションの資産評価見直しというニュースをご存じでしょうか。「ニュースで聞いたけれど、タワーマンションは所有していないためあまり詳しくは知らない」という方もいると思います。
今回は、先のタワマン資産評価見直しの背景や内容について解説するとともに、こうした制度や税制が変更になった時に投資家はどのような行動をとるべきなのか、あわせて説明していきます。

固定資産税評価額の仕組みを生かしたタワマン節税

今回の「タワーマンションの資産評価見直し」のポイントは、マンションの高層階ほど固定資産税の評価額が高くなるように見直すという点です。
現在は、同じ土地に建っているマンションの各室について、1階でも最上階でも、床面積が同じであれば固定資産税の評価額は同じです。一方で、その販売価格は低層階と高層階で大きな格差があり、高層階ほど高額になります。したがって高層階の物件は、販売価格の割に固定資産税の評価額が低いということになります。
こうした高層階の固定資産税評価額の低さを利用して、富裕層を中心にタワーマンションを活用した相続税対策が行われていました。相続税は、固定資産税の評価額を基準に算出されます。種々の条件にもよりますが、取得価格1億円の高層階タワーマンションでは、固定資産税の評価額が4,000万~5,000万円程度となることが多いのです。単純に1億円の現金を相続するよりも、一億円で購入したタワーマンションで相続を行う方が、相続させたい資産の評価を5,000万~6,000万円減額できるというわけです。
もし1億円を現金で相続すると、約2,300万円の相続税がかかります。一方、評価額4,000万円のタワーマンションを相続した場合、相続税は600万円で(計算を簡単にするため、基礎控除等は考慮していません)、約1,700万円の節税となります。仮に相続後すぐに同額で売却できれば、手数料等を差し引いても1,000万円以上は節税した形で現金を手にすることができるのです。

資産評価見直しの影響は限定的か

このような節税対策が行なわれている実態を懸念した結果、今回のタワーマンションの資産評価見直しが浮上しました。具体的には、高さ60メートル(階数にして約20階)を境に、上層にある物件は固定資産税の評価額を高く、低層階は固定資産税の評価額を低くします。例えば、40階建てのタワーマンションの場合、1階と最上階の評価額には最大10%の差を付けようというものです。
この資産評価見直しの対象となるタワーマンションは、2018年1月1日以降に建てられた物件とのことですので、現在建設済みのタワーマンションについては資産価値への影響はないと考えられます。また、10%程度の差ではまだまだ節税対策としての優位性は変わらないため、新制度適用後も影響は限定的という見方もできます。

タワーマンション投資に向いている人とは

税制の見直しが行われるほど相続税対策として人気の高いタワーマンションですが、投資物件としては、どのような特徴があるのでしょうか。
まずタワーマンションは、基本的に購入価格に対する賃料収入は低くなる傾向にあります。現在販売されている都内の高層階タワーマンションの価格と賃料から分析すると、利回りは4~5%程度となるケースが多いです。
また、物件の値上がりによるキャピタルゲインを狙った投資として考えると、1等地の高層階タワーマンションなど希少価値のある物件は、景気が上向くと大きく値上がりし、逆に経済が著しく不安定になると大きく値下がりする傾向が強く、よほどの裏付けを持って行うものでない限り、値上がりを期待してのタワーマンション投資は、不透明感が強いといえるでしょう。
上記の特徴から、都内のタワーマンション投資は、
・ 基本的に相続税対策が目的である
・ 銀行よりも高い程度の利回りで、長期で運用したい

という方には向いているのかもしれません。
制度や税制といった外部環境や自身の置かれる状況(内部環境)の変化に対して、投資家が取るべき行動は「今の自分にとって最良の投資は何か」をよく考えることです。
資産が少ない人と多い人、安定を求める人とリスク承知で利益を取りたい人、それぞれ投資スタイルは異なります。また、最良の投資手法も変わります。資産の少ない時には利回りの高い地方物件を購入し、資産が増えてきた段階で、首都圏物件への投資に転ずるという方もいます。
今回の資産評価の見直しは、相続税対策への影響は限定的であると考えられるので、投資スタイルを変えるほどのインパクトはないかもしれません。しかしこれを機に、今の自分にとって最良な不動産投資とは何かを見つめ直してみてはいかがでしょうか。