家賃保証、業者情報入手の仕組みを構築

大半の不動産投資家は、投資予定物件の立地、間取り、設備、周辺の賃貸需要の調査など、さまざまな項目を吟味して、理想の物件を手に入れることでしょう。しかし、どんなに注意深く吟味しても、借主から家賃を回収できなくては、元も子もありません。
そのようなトラブルを回避するために、家賃の「債務保証制度」の利用が増加しています。そのため、この家賃債務保証業を行う会社を登録制度にしようとする動きがあります。今回の記事では、家賃債務保証業が生まれた背景や、それが登録制度になった場合に不動産投資家には、どのようなメリットが生じるのかなどを紹介します。

賃貸住宅入居時の連帯保証人の確保が困難に

一昔前までは、マイホームやマイカーを持つことが夢だった人も多かったのですが、現在は晩婚化や少子高齢化、非正規雇用の増加などの影響からか、家や車に対する所有欲は低くなっているようです。賃貸住宅に住み続ける層が確実に増えていることを裏付けるかのように、国内住宅市場における民間賃貸住宅の割合は、居住する住宅ストックの3割を占め、市場において非常に重要な役割を果たしていることが分かります。
それと同時に、「入居時の連帯保証人の確保」が大きな問題となりつつあります。これまで保証人といえば親に頼むのが一般的でしたが、晩婚化が進んだ現在は、保証人になる前に親が高齢で定年退職してしまい、保証人になれないというケースも目立つようになりました。そこで、入居者から依頼を受けて、保証料を得る代わりに、家賃の支払いに関わる債務を保証するのが「家賃債務保証業」です。少子高齢化や晩婚化の増加が予想される今後は、保証人不足も考えられ、家賃債務保証業者の利用もさらに増えると見られています。

保証業者によるトラブルも発生

家賃債務保証の事業を行う際には、省庁への届け出や自治体の許認可は必要ありません。貸金業会社が兼業で運営しているケースも見受けられます。
国内には、現在、家賃債務保証会社が150近く存在していると言われていますが、このうち、(公財)日本賃貸住宅管理協会家賃債務保証事業者協議会や、(一社)賃貸保証機構などの業界団体に加盟しているのは3割強にとどまります。
業界団体では、トラブル回避のため、業務適正化に関する自主ルールの制定などに取り組んでいますが、業界団体に属していない保証会社も半数以上あり、こうした会社では督促のルールが明確でなく、家賃回収のトラブルなども発生しています。建物の賃貸借について十分な理解をしていない事業者もおり、消費生活センターなどに多くの苦情や相談が寄せられています。

「家賃債務保証会社の登録制度案」の概要とメリット

こうした事態を踏まえ、国土交通省では「賃債務保証等の情報提供等に関する検討会」を2016年10月31日と12月5日の2度にわたり開催しました。そこでは、家賃債務保証会社の登録制度案が出されました。
現段階で検討されている登録要件には、宅地建物取引業者の免許基準、または賃貸住宅管理業者の登録拒否要件などと同様の要件を盛り込むことが提起されました。そのほか、契約の締結や家賃取り立てに関する手順の制定、各種法令や社内規則を順守するための社内研修の実施、賃借人からの苦情を解決するための相談窓口の設置、一定期間の業務経験を有する役員などの従事、安定的に運営できるような財産的基礎などが挙げられています。
今回の登録制度案が整備された場合、保証会社を利用する借主(入居者)や貸主(大家)、仲介会社などの不動産会社は、登録された家賃債務保証会社の保証内容などが簡単に入手できるようになります。それと同時に、これまで入居を拒否されることが多かった住宅確保要配慮者(低所得者や高齢者、障害者、外国人、ひとり親世帯など)に住宅を貸す大家側のリスクも緩和されるため、住宅確保要配慮者の入居率が増加することも考えられます。

今後の展開に注目

今回は家賃債務保証業と、その登録制度案について説明しました。政府が3月に閣議決定した「住生活基本計画」にも、住宅確保要配慮者が安心して生活できる住宅を確保するため、空き家や民間賃貸住宅を活用していくことがはっきり記されています。
今後、家賃債務保証会社の登録制度案が整備され、住宅確保要配慮者が賃貸住宅の借主として新たなニーズとなれば、人口減少問題を抱える不動産業界にとっても業界を活性化する契機となるのではないでしょうか。