追い風強まる? 2泊3日から民泊可能に

これまで6泊7日以上の滞在が対象とされた民泊について、大阪府・大阪市と福岡市では2017年1月1日から2泊3日以上に条件が緩和されました。両エリアともにアジアからの観光客が多いことで知られており、民泊に対する需要が近年急速に高まっています。
そんな両エリアの現状と規制緩和がもたらす影響について、読み解いていきます。

政府方針を受け、大阪と福岡で2泊3日に緩和

主に外国人観光客を住宅に宿泊させて収益を得るいわゆる「民泊」は、国家戦略特別区域法に基づいて、旅行業法の特例として認められています。2013年に関連法が制定され、東京都や大阪府・市、福岡市など全国各地に対象地域が設定されています。
民泊にはさまざまな規定があり、宿泊日数についても6泊7日以上とされていました。ところが、同一の施設に6泊以上も宿泊する外国人観光客は非常に少なかったため、2016年10月には、この規定を2泊3日以上に改める政令が施行されました。
ただし、実際に適用されるためには各自治体の規制緩和も必要となります。大阪府・市と福岡市は政府方針を受け、2017年1月1日から2泊3日以上の利用で民泊可能とする条例の改正を行いました。

海外から高評価? 京都・奈良と観光圏形成で

トリップアドバイザーなど世界的に広く利用されている海外旅行情報サイトでは、大阪に対する評価が近年、非常に高くなっています。
大阪は古くから商都として独自の文化を築いてきた経緯があり、国内でも「食」や「商」へのこだわりが高い地域です。エリアの持つ特徴が、世界的な日本食ブームや爆買いなど、外国人旅行客のニーズにマッチしていることから、熱い支持が集まっています。
また、大阪には世界に5カ所しかない「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)」というキラーコンテンツが存在する他、京都、奈良、神戸などとも近く、周辺地域と一体になって一つの観光圏を形成しているという特徴があります。
アクセス面を見ても、海外からの「玄関口」である関西国際空港のLCC(格安航空会社)の発着便数が日本一多く、利便性の高さが際立っています。

古くからアジアの客多し? 地の利を活かしてきた福岡

近年になって人気が急騰している大阪に対し、福岡は古くからアジア圏の観光客が多い地域として評価されてきました。
距離的に近いこともあり、中国・韓国など東アジア地域からの海外旅行者が多く、特に韓国人旅行者の割合が高いことで知られています。来日する韓国人旅行者の約2割が福岡県から入国していることからも、結びつきの強さがうかがえます。
九州には別府や湯布院、阿蘇、ハウステンボスなど、国内でも人気の高い観光スポットが数多くひしめいています。福岡は九州各地にあるこういった観光地を訪れる人たちの拠点として、人気を集めているのです。
また、古くから東アジアに門戸を開いてきた福岡は外国人にとって住みやすい街でもあります。居住する外国人も多く、2005~2015年における外国籍人口の伸び率は149.9%と国内でも最も高い割合となっています。

「2泊3日以上」で加速するアジア中間層の来日

 宿泊費をはじめとする旅費の高さから、これまでアジア圏から来日する観光客の多くはいわゆる富裕層に限られてきました。
利用料が比較的安価な民泊も、6泊7日以上となれば、長期滞在が必須であり、旅費がかさみます。民泊が2泊3日から利用できるようになることで、「短い旅程」に対するニーズが高いアジア圏の中間層が日本を訪れやすくなります。
中国に加え、タイやベトナム、インドネシア、マレーシアなどアジアの新興国でも中間層が急増しています。新たな層を観光客として取り込むことにより、さらに大きなインバウンド効果が生まれるはずです。
民泊の活性化により、空室が消化されるようになれば、エリアの空室率が低下し、アパートの需給バランスが好転することも期待できます。

まとめ

大阪、福岡ともに、観光地としての魅力は今後も高いレベルで維持されるものと考えられます。最近では宿泊施設の供給が需要増を賄えないことが問題となっていましたが、民泊の利用が2泊3日から可能となることで、今後はさらに多くの観光客を呼び込むことが可能となります。
インバウンド効果が地域経済を押し上げるのに加え、アパート投資においては需要増や物件価格の上昇など、投資効率がより高まるものと予測されます。