進む規制緩和!「民泊新法」でビジネスは加速するか?

平成28年10月、民泊特区での最低宿泊日数を従来の「6泊7日以上」から「2泊3日以上」に緩和する法律案が閣議決定され、同月末日付けで施行されました。これによって短期滞在でも民泊を利用しやすくなり、利用拡大が見込まれるとあって、新規参入が一気に加速するものと期待が高まっています。
さらに2017年には民泊を自由化する「民泊新法」が国会提出される見込み。新法の概要と、民泊ビジネスにもたらす影響を検証します。

民泊規制緩和の狙いは…?

現在、「簡易宿泊所」としての届け出なしに一般住宅に旅行客を泊める「特区民泊」が認められているのは、政府の国家戦略特区に指定されている東京都大田区、大阪府など一部の市町村のみ。
しかし、これらの特区でも従来の「最低宿泊日数6泊7日以上」という規制がハードルとなって、民泊事業の申請は予想されたほど増えていませんでした。
今回の政府による規制緩和を受けて、特区に指定されている各自治体で条例改正が進み、最低宿泊日数が「2泊3日以上」に短縮されれば、企業による民泊事業への参入に弾みがつくものと期待されています。
政府が今回、規制緩和に踏み切った背景にあるのは、外国人旅行客の増加に伴うホテル不足の問題。民泊できる物件を増やし、旅行者が集中する首都圏は関西エリアでの慢性的なホテル不足の解消につなげようという思惑です。
「2泊3日でも長すぎるのでは? 1泊2日以上にすればいいのに」という声も聞かれますが、民泊仲介大手のAirbnbの調査では、民泊利用者の平均滞在日数は3.8日。「2泊3日以上」なら、民泊利用者のニーズにも十分こたえられることになります。また事業者側にとっても、清掃などのコストを考えると「1泊2日以上」よりも、2泊3日以上のほうがビジネスとして効率が良いと言われているのです。

新法施行なら「家主居住型」と「家主不在型」民泊が可能に

そしてもう1つ見逃せないのが、2017年に国会で具体的な検討が行われる予定の「民泊新法」の行方です。
民泊新法とは、特区に指定されている・いないに関わらず、個人や事業者の「民泊営業」を規定する新しい法律で、「民泊」をホスト(家主)がゲストと一緒に滞在しているかどうかで「家主居住型」と「家主不在型」に類型化し、住宅提供者、民泊施設管理者、仲介事業者に適切な規制体系を構築することを目指しています。
・ 家主居住型
ホストが居住する住宅の一部の空き部屋を旅行者に貸し出すタイプの民泊
・ 家主不在型
ホストが居住しない民泊施設を貸し出すタイプの民泊

新法が施行されれば、ホストには次のようなメリットがあると言われています。
・自治体にインターネット上で申請を出すだけで営業が可能
・特区民泊のように「2泊3日」等の宿泊日数制限がない
・住宅専用地域でも合法的に営業ができる

このように、新法が施行されれば、民泊事業への参入ハードルが格段に下がることは確実視されています。
ただし、新法では家主居住型・不在型を問わず、「利用者名簿の作成」「近隣への苦情対応」「衛生管理の徹底」など、様々な規制を設けることも検討されています。また、家主不在型の場合は、運営を登録管理者に委託することが義務付けられる予定です(家主本人が管理者になることも可能)。

民泊ビジネス参入、成功のポイントは?

新法が施行されれば、民泊ビジネスへの新規参入はこれまで以上に加速するものと考えられ、日本でも民泊は一大マーケットに成長することが十分考えられます。
では、新規参入を検討する場合、どのようなことに留意すればよいのでしょうか?
国の「民泊サービスの在り方検討会」では、主に次のような点が課題として掲げられました。
・犯罪やテロ等悪用防止の観点から宿泊者の把握を含む管理機能の確保
・安全性の確保
・地域住民とのトラブル、宿泊者同士のトラブル対応
・衛生状態を良好に保つための配慮
             
これらの点をクリアし、最初から新法の規制を遵守した形でビジネスを始めることが、長期的に民泊事業を継続させるために不可欠です。そのためにも、新法施行前の現段階から、民泊特区での先行事例を参考に「どのようなトラブルが起きやすいのか」「成功している事業者の特徴はなにか」を把握しておくとよいでしょう。
民泊新法の施行の時期はまだ不透明ですが、2020年の東京オリンピックを見据え、今後も何らかの形で民泊の規制緩和は続くと予想されています。民泊ビジネスに関心のある人は、参入のタイミングを逃さないよう、法改正の行方に要注目です。