末永い安心のために、「災害に強い」不動産を手に入れる

2011年3月11日に発生した東日本大震災、2016年4月14日の熊本地震や2016年12月22日の新潟県・糸魚川市の火災など、災害はいつ自分の身に降りかかってくるかわかりません。災害で住む場所を失い、今も避難所や仮設住宅での生活を余儀なくされている人達は、大変な苦労をされているかと思います。
また、不動産オーナーにとっては、災害で被害が発生すると最悪の場合、経営破綻にもつながります。そこで今回は、仮に災害が起きたとしても、こうした悲劇を招く可能性が少しでも低くなるような、「災害に強い不動産」の取得と経営について考えてみましょう。

「災害に強い不動産」とは

災害に強い不動産を取得するためには、どのようなことに注意すればいいのでしょうか。まず思いつくのは建物の構造でしょう。しかしそれ以外にも、「災害に強い」不動産選びには重要なポイントがあります。

1. ハザードマップの確認

これから不動産を購入する方は、候補とする不動産の所在地を、ハザードマップで確認してみましょう。ハザードマップとは、発生が予測される自然災害について、その被害の及ぶ範囲や程度を表した地図です。市役所や区役所のホームページで確認できます。
場所によっては浸水が2~5メートルという地域もあり、災害が発生すれば、住める状態でなくなるのはもちろんのこと、生命の危険も大きい地域であることが分かります。不動産を購入する前に、必ず確認しましょう。

2. 地盤の確認

地域ごとに、地盤の種類や揺れやすさの傾向があります。これについては朝日新聞社がマップを公開していますので、参考になるでしょう。地盤の種類が、「砂州・砂礫州・砂丘」や「干拓地・埋立地」の場合には、液状化が心配されるので注意しましょう。
ここでわかるのはあくまで地域の傾向ですので、地質を正確に調べるには地盤調査を行うことをおすすめします。もし問題があれば、地盤改良の対策を取ることもできます。

3. 築年数の確認

対象物件が1981年6月以降に建築確認を行っているかどうかがポイントです。1981年6月1日に建築基準法が改正され、建物に必要な壁量などが大幅に見直された結果、建物の耐震力が向上しています。
上記のことから、1981年6月以前に建築確認が行われた建物は、耐震力の調査を行い、現在の基準で耐震補強が必要か検討してください。
建築基準法は2000年にも改正され、以下の内容が盛り込まれました。
・ 新築時地盤調査を、事実上義務化
・ 柱や筋交い、金物の使用箇所・使用方法を明確化
・ 壁の配置バランス計算を義務化

木造建築では2×4(ツーバイフォー)の建物の方が耐震力に優れているとされていますが、2000年の建築基準法改正により、在来工法と2×4の建物の耐震力の差は小さくなっています。

4. 第三者チェック

水害の心配が少なく地盤がしっかりした土地に家を建てたとしても、建築時に手抜き工事をされてしまえば、災害に強い建物にはなりません。
業者にしっかりと施工してもらえるかどうか心配であれば、第三者チェックをお勧めします。建物の規模やチェック項目によりますが、数万円から依頼が可能です。

災害に強い不動産経営とは

ここまで「災害に強い不動産」について解説しました。しかし、こうした条件をすべて揃えた不動産は、数が少なかったり、価格が高かったりして、取得するのはなかなか難しいでしょう。それでは「災害に強い不動産経営」についてみてみましょう。

1. 地域の分散

一つの地域に重点的に投資した不動産経営は、管理面でのメリットがあるでしょう。しかし「災害に強い不動産経営」という観点で考えると、物件の地域は分散させた方がリスクは低減できます。大きな災害が起きても、所有不動産のすべてが被害を受けるという可能性が低くなるからです。

2. 財務基盤の強化

万一災害が起きて損害が発生した場合でも、修繕や建て直しが出来るように、財務基盤を強くしておくことが重要です。保険に加入していても、大規模災害では保険会社の支払いに時間がかかると予想されます。そのため、可能な限り速く修繕や建て直しを行うために、すぐに現金化できるような資産を持っておくことが重要です。
つまり、すべての資産を不動産で保有していると、現金化が難しく、修繕などの着手金が用意できません。また、家賃収入が入らない期間は金融機関にローンの返済もできません。

3. 保険の見直し

所有不動産や購入候補の不動産の地域は、どのような災害リスクが高いのか考えて、保険を選ぶことが重要です。
災害時の保険会社の調査結果次第では、すべてを修繕できるだけの費用が支払われない場合もあります。リスクが高い災害項目の手当てを厚くしたり、複数の保険会社や保険商品に加入したりする方法も検討してください(補償額や適用の条件などは事前に確認してから加入しましょう)。

事前の備えは「知る」ことから

今回は、災害に強い不動産の条件を、「物件」と「経営」の観点から考えてみました。何はなくとも、所有不動産や購入候補の不動産について、可能な限り災害リスクや耐性を知っておくことが重要です。
これから不動産を取得する方はもちろん、既に不動産を取得している方も、今からできる対策や対応があります。ぜひ参考にしてみてください。