物件選びに重要なのは不動産賃貸業が立地産業・装置産業という視点【シリーズ:不動産投資のお金とリスク】

不動産投資では土地と建物でお金を稼ぎます。ビジネスとしての不動産賃貸業を成功させるためには土地と建物のそれぞれがどのようにしてお金を生むのかを理解しておくことが重要です。そこで今回の記事では「産業」という切り口でみた不動産賃貸業について解説していきます。

立地産業と装置産業

マズイわけではないけど大して美味しくない飲食店。「あそこは立地が良いからね~」なんて揶揄しながらも行っているお店が、皆さんも1つや2つはあるのではないでしょうか。
また中小企業の社長が新たな設備投資のために銀行に頭を下げている姿。そんな様子をドラマやニュースで見たことのある方も多いと思います。
飲食店や物販などの店舗は典型的な立地産業です。店舗の成功要因の7割は立地と言われています。一方で製造業や遊園地など、機械設備で収益を稼ぐ産業は装置産業です。装置産業には常に設備の維持更新等、追加投資の悩みが付きまといます。

不動産賃貸業は両方を併せ持つ産業

様々な産業がある中、立地産業でもあり装置産業でもあるビジネスがあります。それは不動産賃貸業です。ほとんどのビジネスは少なからず立地も装置も関わっていますが、とりわけ立地や装置がともに収益に大きな影響を与えるのが不動産賃貸業です。
不動産賃貸業は資本集約型ビジネスの代表格です。そのため、人間の能力が関与する部分が低く、立地や装置がモロにお金を稼ぎます。一方で、弁護士や作家など労働集約型ビジネスでは人間の能力が関与する部分が大きくなります。このようなビジネスでは立地や装置の重要性は下がります。
不動産賃貸業の中で土地は立地、建物は装置に該当します。例えば立地の悪いアパートでは賃料が安く空室も多いです。また築古のアパートも賃料が安く空室も多いです。
また立地が悪くても新築アパートであれば賃料は高いという現象があります。また築古アパートであっても立地が良ければ賃料が高いという現象もあります。両者は互いに補完しあう関係にあり、土地や建物のどちらかだけが不動産投資の成否を決めるわけではありません。
不動産投資家が考えるべきは、常に立地と装置の2つです。どちらが重要かといえば、立地の方が重要です。装置である建物は、建て替えをすることによって改善できますが、立地は後から改善できないというのが理由です。

装置産業には修繕積立が不可欠

不動産賃貸業では、立地を選んだ後は、建物の装置対策に集中することになります。装置対策とは、具体的に修繕費を積み立て、計画的に修繕を実施することです。
不動産賃貸業のプロとアマチュアの大きな違いはこの修繕積立に対する姿勢があります。大手ディベロッパーなどは都内にたくさんのオフィスビルを保有していますが、修繕を計画的に行っています。プロの賃貸事業者は修繕積立金をきちんと積み立てています。
一方で、個人の不動産投資家は修繕に対する認識が甘くなりがちです。得られた収益から修繕積立金を積み立てておくという意識が薄い方がほとんどです。突然に訪れた修繕対応に四苦八苦し、出費が大きな痛手となっているケースが少なくありません。
但し、修繕については、築浅物件を購入することでリスク回避が可能です。新築という申し分のない装置であれば、当面は修繕を心配する必要もありません。必然的に立地の良い新築物件が最も良い物件ということになるでしょう。

まとめ

以上、不動産賃貸事業の特性について見てきました。土地は良い立地が高い収益を生み、建物は新しい装置が高い収益を生みます。土地と建物の両方でお金を稼ぐことを意識してバランスの良い物件を選びましょう。