ネコブームがアパート投資ブームにも影響? 増えるネコ共生賃貸

テレビCMや広告などで、ネコを目にする機会が増えています。ネコと人との関わりは古く、一説によると、9500年前からパートナーとして一緒に暮らしてきたとされます。
そんなネコが、最近ペットとして見直されて人気が高まり、「空前のネコブーム」と言われるほどです。人の暮らしが変われば、アパート投資にも影響が及ぶもの。「ネコ共生賃貸」が増えるなど、ネコブームがもたらしているトレンドについて、調べてみました。

空前のネコブーム到来で賃貸にも変化?

ネコブームの火付け役となったのは、和歌山電鉄貴志駅の「たま駅長」だったとされます。2000年代後半からジワジワと盛り上がってきたブームは現在も盛況で、ちまたには多くのネコグッズがあふれています。
ペットフード協会の調査によると、2016年の全国推計飼育数はイヌが987.8万頭、ネコが984.7万頭にのぼります。4年前の2012年にはイヌ1153.4万頭、ネコ974.8万頭だったので、イヌが14.4%減ったのに対し、ネコは1.0%の増加となっており、高齢化でペットを飼えない世帯が増える中でも、ネコ人気が高止まりしていることがうかがえます。
背景にあるのは、高齢・単身世帯の増加です。イヌは散歩の必要がある上、長時間放置すると、吠えて近隣に迷惑がかかるなどの問題があります。それに対してネコは散歩が要らず吠えないため、高齢者や日中家に誰もいない単身者でも飼いやすいペットなのです。
単身者にとってネコは暮らしに癒やしやうるおいをもたらす大切なパートナーと位置づけられるケースが増えており、アパート経営においても従来の一律的な「ペット不可」というルールを見直すケースが増加しています。

ネコ好きを取り込んでアパートを差別化

ネコブームが盛り上がる一方、ペット可の賃貸住宅はまだまだ少ないのが現状です。東京23区内でも全物件に占める割合は約12%にすぎず、8件に1件程度にとどまります。
ネコと暮らしたい人にとって、ペット飼育の可否は大きな問題であり、「ペット可」はアパート選びを左右する条件の一つです。そのためオーナーにとってはペット飼育を認めるだけで、ペットと暮らしたい人に対して物件の魅力を高めることができるという利点があります。空室率を抑え、家賃を高めに設定できる場合があるのです。
アパート経営には顧客のニーズをくむ発想がまだまだ少ない中、増え続ける「ネコと暮らしたい」という入居希望者の要望に応えることは、アパートの差別化につながります。

「ネコ可」から「ネコ推奨」へ

強いニーズを受けてネコと暮らせるアパートが少しずつ増える中、さらなる進化形として登場している物件に、「ネコ推奨」の賃貸住宅があります。
従来、ネコ好きの人に提供されていたのは、ペットとの暮らしを禁止しない「ネコ可」の賃貸物件でした。それに対して進化型の賃貸物件は「ネコとの暮らしを推奨する」設計や部材を導入した住まいです。
「ネコ推奨」物件には、ネコと楽しく健やかに暮らせるよう、さまざまな工夫が盛り込まれています。たとえば「ネコが楽しく歩けるキャットウォークやステップを壁や梁に設ける」「ネコのトイレスペースを設置する」「爪とぎしにくい壁紙を導入する」「クッション性のある床材を使用する」というように、ネコ目線・飼い主目線で建てられているのです。
一般的なアパートでも、リフォームで簡単に導入できる工夫も多いので、オーナーにとっては経営改善の大きなヒントになることもありえます。

トラブルはどう予防する?

ペット可にすれば空室を埋めやすくなることがわかっていながら、「ネコの飼育禁止」とするオーナーがまだまだ多いのは、トラブルの発生が心配されるためです。予想されるのは入居者間のトラブルや入退居時のトラブルで、「爪とぎで壁や床が傷つく」「トイレ臭がきつい」など、ネコにはトラブルの原因となりやすい特徴があります。
そういったトラブルを予防するためのカギとなるのは、オーナーの対応です。入居者間のトラブルを防ぐためには、ペットの管理についてしっかりとした規約を設けることが有効です。「トイレの始末をすること」「共用部では抱いて移動すること」などを規約に定めることで、トラブルを軽減することができます。
部屋の劣化については爪とぎしにくい部材を導入したり、あらかじめ入退居時の大がかりなフォームを想定して、敷金や礼金を高めに設定したりするなどの対策が有効です。

まとめ

ペット可の物件が少ないだけに、「ネコ可」あるいは「ネコ推奨」とすることで、アパートの魅力は相対的に高まります。ターゲット層にもよりますが、アパートを新築する際には、「ネコ推奨」を検討してみるのもよさそうです。中古の場合には、一般的に人気が高くない築古物件を「ネコ可」にすることで、人気を回復し、利回りをアップできるケースもあるでしょう。