アパート経営のクレーマー対策 大家がすべきこととは

賃貸管理で最も多い仕事は「クレーム対応」です。大家さんや管理会社には、24時間365日、入居者からさまざまなクレームが寄せられます。
設備や部品の劣化、老朽化による故障などには迅速に対応する必要がありますが、中には理不尽なクレームをする人もいるかもしれません。今回は「アパート経営のクレーマー対策」について考えます。

「戦利品が欲しい」、悪質クレーマー

悪質なクレーマーは「自分の言い分が正しい」と、大家や管理会社側を圧倒しようとします。しかしそれは、怒りに任せた感情の行動ではなく、考えた末の行動であることが少なくありません。理解し難い行動であっても、彼らにとっては理由があるのです。
悪質クレーマーの最終目標は金品を請求することが大半です。そのために、まず怒鳴りつけて威嚇し、上司を出せと権限者を呼び出し、途中で優しい口調で油断させ、責任を相手になすりつけて認めさせようとします。
こうした悪質クレーマーに対しては、相手のペースに巻き込まれず、「対応すべき点」と「対応できない点」を明確にしていくことです。また、法律に触れる言葉について知識を持つことで、警察の介入を示唆できます。
例えば、解決策として金品を要求する場合は恐喝罪、暴力など害を加える旨を告知してきた場合は脅迫罪、土下座を強要される場合は強要罪となります。また、大声で怒鳴り続ける場合は威力業務妨害です。
悪質クレーマーへの対応方法を身に付けずに理不尽なクレームを受け続けると、受けた側がつぶれてしまいます。対応には知識と教育が必要です。

悪質クレーマーの実態と対策

参考までに、入居時に起きたケースをいくつか紹介しましょう。

● 入居直後、畳のうっすらとした日焼けについて強いクレームがあり、「退去時の畳の表替え」の削除と賃料値下げを求めてきました。日当たりの良さが物件最大の魅力だったため、内見対策に日焼け防止シートではなくレースカーテンを吊っていたのです。大家は畳交換で対応しました。
● エアコンの掃除もれについての激しいクレームと、それと同時にエアコン交換の要請がありましたが、大家は速やかにエアコン再清掃をしました。間もなく、コンセントの劣化について憤ったクレームと退去の示唆がありました。大家はすぐにコンセント交換を手配したものの、退去は引き止めませんでした。
● 「洗濯機の操作パネルの文字が見えにくい」というクレームです。これも大家は、次回の更新時に新しい洗濯機を導入することを約束して対処しました。

大家がクレーマーのペースに巻き込まれず、迅速・適切に対処することで事態は収拾する可能性は高くなるでしょう。

誰もが騒音クレーマーになる可能性

クレームが多い「騒音」は、人によって感じ方が異なるため難しい問題です。
一般的にRCマンションは木造アパートよりも遮音性に優れているため、クレームは少なくなります。木造アパートでも、住人がお互いに良識を持って、普通に暮らせば大きなトラブルにはなりません。しかし、同じ音に対しても、気持ち次第で、騒音に聞こえる場合と許容できる場合があります。
例えば、子どもがいないマンションに赤ちゃんがいる家族が入居した場合、夜泣きなどにクレームが寄せられることがあります。一方、以前から暮らす住人に赤ちゃんが生まれた場合は、他の住人もお腹の大きな姿を目にしていたからなのか、クレームの確率は低くなります。
また「ペット可物件」での鳴き声に対するクレームは、騒音そのものよりも、入居者の配慮のなさへの不満が潜んでいることもあります。

騒音クレーマーの実態と対策

ここでは、人間関係のもつれから生まれた騒音クレーマーの例を紹介します。
ある木造アパートの2階の一室で、宴会が深夜まで行われていました。そのアパートは老朽化が進んでいて、部屋から出る音は隣や上下の部屋に漏れるのです。業を煮やした1階の方がクレームを直接言い、宴会は終わりになりました。
しかし、この日を境に、1階の方と2階の方との仲は険悪になっていきます。やがて1階の方には、2階から聞こえてくる足音、水の音、テレビの音など、すべてが耐えられないほど大きく聞こえるようになり、そのクレームを言うため、さらに関係が険悪となる悪循環に陥り、ほどなく、管理会社にも3日に1回は、怒りに任せたクレーム電話が入るようになりました。
結局、管理会社は1階と2階の方を引き合わせ、一緒に1階で2階の音を確認してもらいながら、「ここまでの音は仕方がない」「これ以上の音は慎んでもらう」など、「線引き」を行いました。幸運にも、徐々に状況は落ち着いていったそうです。
アパート経営において重要な「賃貸管理」では、クレーム対応が欠かせません。明らかに大家側が対応すべき問題(故障など)は、速やかに対処すればいいのですが、住人同士の場合は少々厄介です。
ただし、どのようなクレーマーにせよ、正しい知識を持っていれば対応・対抗は可能です。上記の内容を参考に、クレーム対応について考えてみてはいかがでしょうか。