競売物件ってどうなの?購入の流れとリスク

最近の物件価格の上昇で、「希望価格で物件が取得できない」という方も多いのではないでしょうか。物件を安く取得する方法の一つとして、「競売」があります。
競売される物件は、もともと金銭貸借において担保だったものです。債権者(お金を貸している人)は債務者(お金を借りている人)からお金を回収する手段として、債務者の所有物件を裁判所に頼んで差し押さえます。そして、期日までに債務者が借金を返済できない場合、差し押さえられた物件は、競売で強制的に売却されます。
競売物件を購入する場合には、注意するべき点があります。今回は、競売物件購入の流れと、取得に伴うリスクについて考えてみましょう。

競売物件取得までの流れ

1. 競売物件の検索

裁判所のホームページや「BIT(不動産競売物件情報サイト)」で競売物件を探します。または競売物件の取得代行をしている会社のホームページでも探すことができます。市場価格よりも低い金額が基準価格となっていますが、後述するさまざまなリスクを加味した価格ですので注意が必要です。

2. 「3点セット」の入手

前述のBITで以下の3点をダウンロードします。
・ 物件明細書
競売対象の権利の範囲や管理費の滞納額が記載されています。持分売りなど、物件のすべての権利が、競売対象でない場合もあります。注意が必要です。
・ 現況調査報告書
裁判所の執行官が物件を視察した時の状況が記載されています。室内の状況写真なども掲載されているので、生活状況などを読み取ることができます。通常、競売物件は内見ができません。この現状調査報告書の内容からリスクを想定することになります。
・ 評価書
物件の状況や滞納額、内部を確認できない場合などは、そのリスクなども含めて、一般販売と異なる特殊な状況を加味した価格が記載されます。
これらはいずれも非常に重要な資料なので、熟読し、競売物件の実情を把握する必要があります。例えば、物件の管理費の滞納額は競売落札者が負担します。実情を知らずに入札し、後で多額の滞納費を負担させられることもなりかねません。
また、雨漏りやシロアリ被害、配管の腐食などについても、競売物件には瑕疵担保責任がないため、修繕費などは落札者が負担することになります。競売物件が低価格である理由は、こうしたリスクにあることを忘れてはなりません。

3. 入札

競売に参加したい物件が見つかった場合、以下の手順で入札を行います。
● 入札書類の入手
裁判所で以下の書類を入手し、必要事項を記入します。
・ 入札書
・ 入札保証金振込証明書
・ 振込依頼書
● 保証金の納付
入札の前に、振込依頼書で保証金を納付する必要があります。保証金は競売物件の最低落札価格の2割となっています。落札した後に気が変わったり、落札代金の支払いができなかったりした場合、保証金は返還されません。
● 入札
入札には、以下の3点の書類が必要です。これらを準備し、裁判所の執行官室窓口に提出します。
・ 入札書
事件番号(競売対象の物件に割り当てられている番号で、一般的な事件とは無関係)、物件番号、保証金額などを記入し、どの競売物件に対して入札を行うのかを示します。事件番号や物件番号は、BITからダウンロードした「3点セット」に記載されています。
・ 資格証明書
個人の場合は住民票、法人の場合は商業登記簿謄本が必要です。
・ 入札保証金振込証明書
競売物件を落札できなかった場合に返還される保証金の証明書です。保証金を振り込んだ際の振込証明書を添付し、返還先の口座を記入します。

4. 開札

入札書を開封し、落札者を決めることを開札といい、一番高い価格を提示した入札者が物件を落札することになります。落札できなかった入札者には、保証金は10日程度で返還されます。落札した入札者は、裁判所が定める約1ヵ月程度の期日までに、残代金を納付する必要があります。

5. 代金の支払い

落札者には、裁判所から代金納付期限が記載された通知書が送られてきますので、金融機関で支払いを行います。支払いの際には「保管金領収証書」などの納付を証明する証書を受け取ります。期限日までに支払いを行わないと、落札の資格がなくなり、保証金も返還されませんのでご注意ください。
最近では競売物件に対しても融資を行う金融機関がありますが、都市銀行などはあまり積極的ではありません。競売は、代金の支払いが確実に行える見込みがある場合のみ、参加することをおすすめします。

6. 所有権の移転登記

代金の納付が完了しても、所有移転登記がされたわけではありません。代金納付の証明書、登録免許税分の収入印紙などを裁判所に提出し、裁判所から法務局に所有移転登記をお願いしてもらうことになります。時々、「登録免許税分の費用を計算に入れていなかった」という方もいます。総額でどのぐらいの費用がかかるのかを、あらかじめ計算しておくことが大切です。

7. 物件の明け渡し

物件の所有移転登記が完了すると、権利上は落札者の物になります。ただし、元所有者に金銭的余裕がなく、引越しができず、物件に住み続けているということがあります。もし、物件を明け渡してもらえなければ、「引渡命令の申し立て」を行い、強制的に退去してもらうことになります。手続きが難航するケースもあり、場合によっては、引越し費用の支援などを行って退去してもらうことがあります。

リスクを理解して正しい手続きを

競売物件の魅力はなんといっても低価格ですが、それに伴うリスクも当然あります。安易な気持ちで競売に参加すると、想定外のトラブルに巻き込まれたり、費用を負担したりすることがあるので、注意しましょう。
競売専門の代行会社もあります。初めて参加する方などは、利用を検討してみるのもいいのではないでしょうか。