相続税の宅地評価に学ぶ、融資を受けやすい土地の条件

不動産投資は、金融機関から融資を受けられる投資です。ほとんどの場合、投資物件を担保に融資が実行されるので、投資物件の担保価値が高ければ高いほど、融資は受けやすくなります。
金融機関は融資の際、担保物件に対して、投資家と同じようにキャッシュフローを重視する目線で評価をするとは限りません。多くの金融機関は、家賃収入から経費を引いた還元利回りで物件価格を割った「収益還元法」よりも、土地と建物の評価を合計した「積算評価法」を重視します。
この積算評価法において比重が高い「土地の評価基準」について、相続税の宅地評価法をもとに考えてみましょう。

路線価で決まる土地評価

金融機関は、それぞれ独自の計算方法を用いて不動産を評価しますが、基本はそう大きく変わりません。建物の再調達価格から減価償却額分を差し引いたものが建物評価で、これと土地評価の合計が積算評価価格です。
土地には減価償却という考え方はありませんが、4つの価格が存在します。
・ 実勢価格(実際に売買される価格)
・ 公示価格(国土交通省公表、固定資産税算出に使用)
・ 路線価格(公示価格の8割目安、国税庁公表、相続税算出に使用)
・ 固定資産税評価額(公示価格の7割目安)

融資における土地の基本的な積算評価は、その土地が面する道路の路線価に広さを乗じます。路線価10万円/平方メートルの100平方メートルの土地評価は1,000万円です。なお、市街化調整区域など路線価のない地域では倍率方式を利用します。
路線価は例年7月に、その年の1月1日時点の価格が公表されます。国税庁ホームページ「路線価図・評価倍率表(http://www.rosenka.nta.go.jp/index.htm)」で確認できます。

相続税の土地評価を左右する要因とは

土地の評価はさまざまな要因で左右されます。相続税の土地評価は、簡単にいえば「正方形で接道面が2面以上取れる土地」を最良とする、5項目の減算と2項目の加算調整です。
これらの項目について、詳しくみてみましょう。

土地の形状による減算評価

1. 奥行価格補正

「奥行きが長い土地」への減算です。例えば、住宅街の同じ道路に面した2つの土地があるとします。
A:道路面15メートル×奥行き20メートル(300平方メートル)
B:道路面8メートル×奥行き37.5メートル(300平方メートル)

面積は同じ300平方メートルですが、奥行きが長いと建物が建てにくいという理由から、需要はAのほうが多くなります。そして、需要が低い土地の評価額は減額されます。例えば、路線価が10万円/平方メートルだとすると、前者の評価額は補正率1.00ゆえ、10万円×補正率1.00×300平方メートル=3,000万円です。後者は補正率0.94ゆえ、10万円×補正率0.94×300平方メートル=2,820万円となります。

2. 不整形地補正

「いびつな土地」への減算です。例えば、住宅街の同じ道路に面した同じ面積の土地でも、真四角な土地と台形の土地であれば、前者を望む人が多くなります。奥行きの長い土地と同様、形のいびつな土地も建物が建てにくいために減額されるのです。
補正は、その土地全体にかかる道路に対して真四角な土地を想定し(想定整形地)、これより実際の土地を除いた部分を「かげ地」とします。そして想定整形地に占めるかげ地の割合(かげ地割合)によって補正率が決まります。
例えば、かげ地割合35%(地区区分:普通住宅A)の土地の場合、補正率は0.88となり、同じ面積の真四角な土地が3,000万円だとすると、後者は3,000万円×補正率0.88=2,640万円となります(概算)。

3. その他の補正

土地の形状による減算は、上記のほかにも、一部が斜面になっている土地にかかる「がけ地補正」、道路に面している部分が狭い土地にかかる「間口狭小補正」があります。
さらに、間口と比べて奥行きが長すぎる土地は「奥行長大補正」で減額されます。普通住宅地区の場合、間口よりも奥行きのほうが2倍以上長いと減額となります。例えば、上述の「1. 奥行価格補正」で例に挙げた接道8メートル×奥行き37.5メートルの土地は「奥行最大補正」の対象にもなりますから、評価額は2,880万円×奥行長大補正率0.94=約2,707万円です。

土地の接道状況による加算評価

土地は道路の利用を通じて利用価値が高まります。このため一つの道路に面している土地よりも、2つの道路に面しているほうが価値が高いと考えられて、評価額は加算されることになります。Aの土地を例にみてみましょう。
● A:道路面15メートル×奥行き20メートル(300平方メートル)

1. 側方路線影響加算

「角地」への増額です。2つの道路のうち路線価の高いほうを「正面路線」、低いほうを「側方路線」として、両者の路線価をもとに土地評価額を計算できるものです。
土地の一辺が路線価10万円の道路に15メートル面し、別の一辺が路線価8万円の道路に20メートル面する住宅街の場合、土地評価単価は(10万円+8万円×加算率0.03)=10万2,400円となり、土地評価額は10万2,400円×300平方メートル=3,072万円です。

2. 二方路線影響加算

土地の北と南に道路があるような場合の増額です。上述した「側方路線影響加算」と考え方は同じですが、加算率が大きくなります。
上記の例では加算率0.05となり、土地評価額は(10+8×0.05)×300=3,120万円です。
このように、土地の積算評価は、路線価に広さを乗じて算出されます。同じ広さでも、使い勝手のいい土地は加算され、使い勝手の悪い土地は減算されます。細かな係数を覚える必要はありませんが、接道の良い土地が加算され、奥行きが長い、いびつ、斜面がある、間口が狭いなどの土地は、減額されるという評価基準は覚えておきましょう。この評価は融資の受けやすさだけでなく、物件の売却にも影響します。
なお、当たり前のことですが、相続税対策においては、土地の評価が低ければ低いほど有利です。土地の評価基準は同じでも、まったく正反対の結果が歓迎されるというのは、ある意味、不動産の面白さといえるのかもしれません。