家賃滞納者の立ち退きは可能か?アパート経営のノウハウ

アパート経営の一番の目的が家賃収入であることは当然です。しかし、これからアパート経営を始める方は家賃が100%手に入らないこともあると理解しなくてはなりません。それは、空室で家賃が入らないケースだけでなく、「家賃滞納」というトラブルも少なからず存在します。
今回は、この家賃滞納の対処方法などについて考えてみます。

契約に従えば、立ち退きは簡単なはずだが……

「家賃を支払わずに滞納すれば、退去しなければならない」これは当然の話です。もちろん契約書にもその旨が記載されており、入居者はしっかりと理解したうえでサインし、賃貸借契約をしています。
普通に考えれば、家賃を滞納している入居者との立ち退き交渉は、簡単なように思われるでしょう。確かに、滞納分を支払い、すぐに退去してくれる人もいます。そうなれば、大家さんとしても次の入居者を早く探そうと前向きになれます。
しかし中には、家賃滞納しているにも関わらず、なかなか退去しない入居者もいるのです。これはアパート経営において、危険度の高いリスクです。早急に退去してもらいたいところですが、現実はそう簡単にいきません。

家賃滞納者のプロセスと大家側が受けるダメージ

家賃滞納者のほとんどが、入居時から滞納を決め込んでいるわけではありません。失業や借金など理由はさまざまあると考えられますが、一般的には入居後に家賃が払えなくなります。
生活費を削ったり、身内にお金を借りたりして、どうにか滞納分家賃を支払おうとする人もいますが、中には払う気持ちもなくす人もいるようです。場合によってはできるだけ部屋に居座って、「タダで住もう」という考えになってしまうこともあります。
大家さんからすれば、一刻も早く退去してほしいでしょう。しかし、部屋に入って追い出してしまうことは違法行為なのです。そして、家賃滞納者が退去するまで、家賃収入ゼロの状態が継続します。
それでは、家賃滞納者を「立ち退き」させる方法はないのでしょうか。実は、法的手段である「強制執行」を利用できます。

強制執行の流れ

家賃滞納にかかる立ち退きの強制執行は、おおむね次のような流れで進みます。

1. 裁判

まず、家賃滞納についての裁判を起こし、勝訴します。
家賃が滞納されているのですから、勝訴という結果は当然です。ただし、一回の家賃滞納だけで契約解除は厳しいでしょう。支払いの催告をするなど、大家さん側も借主に対して、アクションを起こしておく必要はあります。3ヵ月以上の滞納があれば、ほぼ問題なく勝訴判決はもらえるでしょう。

2. 執行手続き

次に、立ち退きをさせるために強制執行の手続きに入ります。
まず、執行官などが申し立てから30日以内に、催告のために部屋を訪問します。そこで入居者に「約1ヵ月の執行猶予中に部屋を明け渡さなければ強制執行をする」など条件を提示します。

3. 執行

執行日に部屋へ行き、入居者の荷物を出し、大家さん側は自由に部屋を利用することが可能になります。(部屋から出された荷物は執行官が指定する場所に1ヵ月程度保管します)

最後に泣くのは大家さん側、という大きなデメリット

家賃滞納者を立ち退かせるには、強制執行という手段が唯一の武器です。しかし、上述のように面倒な手続きや時間がかかるうえ、金銭的な負担も少なくありません。
・ 裁判や強制執行にかかる費用
・ 部屋から荷物を運び出す執行補助者費用
・ 荷物を保管する費用

これらの費用をすべて合わせると、アパート1室で100万円近い金額になるケースも珍しくありません。強制執行を行うには、大家さん側も大きな金銭的デメリットを背負わねばならないのです。
また、強制執行とは関係ありませんが、家賃滞納者の部屋は管理状態が悪いケースが多いものです。そのため、原状回復費用が通常よりかさむ場合が多くあります。もちろんこの費用も、大家さん側が支払うことになります。そして、さらに忘れてはならないのは、家賃滞納期間の収益がゼロだという点です。

最初から家賃滞納リスクを軽減する方法

家賃滞納による立ち退きを防ぐための方法は、「家賃を滞納するような入居者と契約をしない」という点に尽きます。入居者を決定するときに行う入居審査で、事前に予想しておくことが大切です。
仲介会社や管理会社を通じて入居の申し込みを審査しますが、「とりあえず入居者が決まればいい」と考えている多数の大家さんは、入居者の年収や勤務先、人柄についてあまり考慮しません。しかし、この情報が重要な判断材料となりますので、きちんと確認するようにしましょう。
今回は、家賃滞納者への立ち退きについてみてきました。立ち退きの強制執行は、手段としては可能ですが、大家さんのデメリットも大きいものです。
そうならないためにも、仲介会社や管理会社に入居者の審査はできる限り念入りにしてもらいましょう。もちろん、大家さん自身も、家賃滞納の可能性が高い入居者とは契約しないという姿勢でアパート経営に臨みましょう。