アパート投資と「本業」―副業禁止規定は大丈夫?【連載:初めての不動産投資物語】

◆登場人物
・タテ吉さん
年齢:43歳
職業:アパートオーナー
年収:2500万円
プロフィール:大手食品メーカーに勤務するサラリーマンだったが、アパート投資に成功して脱サラ。現在はアパート10棟を保有し、悠々自適の毎日を送っている。

・マガ男君
年齢:32歳
職業:大手食品メーカー勤務
年収:450万円
プロフィール:タテ吉さんの元後輩。会社の先行きにやや不安を感じており、不動産投資に関心を持っている。



アパート投資を手がけるサラリーマンが増える中、初心者の多くが心配することに「副業禁止規定に引っかかるのでは?」というのがあります。ほとんどのサラリーマンは雇用主と交わす雇用契約書の中で、「副業」を行うことが禁じられており、違反すると解雇など厳しい懲戒措置を受けることがあります。
アパート投資は「副業」にあたらないのか? また「副業」と見なされないための注意点はあるのか? これらを事前に確認しておけば、安心してアパート投資に取り組むことができます。

なぜサラリーマンには副業禁止規定があるのか?

マガ男:アパート投資を検討する中で心配なことに「副業禁止規定」があります。オーナーとして収益を得ることは、この規定に抵触しないのでしょうか?
タテ吉:マガ男だけでなく、多くのサラリーマンにとって心配されるところだから、基本的なことから説明した方がよさそうだね。そもそも「副業禁止規定」とはなんなのかマガ男は知っているかね?
マガ男:「本業の他に仕事をしてお金をもらうのはダメ」というルールだと思いますけど……。
タテ吉:その通り。ただし「副業禁止規定」は法律で定められているわけじゃない。雇用主と結ぶ労働契約の中で、規定されているだけなんだ。したがってなにが副業にあたるのかはケース・バイ・ケースで判断されることになる。
マガ男:なぜそんな規定があるんでしょう?
タテ吉:雇用主が副業を禁止する理由は主に二つある。
一つは「会社の利益を損なう可能性がある」ということ。たとえば「雇用されている会社で得た情報をアルバイト先で流用して稼ぐ」といったことをする社員がいたら、会社には大きな損失が出ることもあり得るよね。
もう一つの理由は「本業がおろそかになりかねない」ということ。たとえば夜遅くまでアルバイトに精を出していたら、本業で力を発揮できないことが考えられる。こういった理由から、多くの職場では副業が禁止されているんだ。
マガ男:違反するとどうなりますか?
タテ吉:副業規定に違反したと見なされたら、最悪の場合には、解雇など重い懲戒処分が下されることもあるよ。

アパート投資は副業にあたらないことが多い

マガ男:アパート投資で解雇ってことになったら、困るなぁ。
タテ吉:その点は大丈夫。ほとんどの場合、アパート投資を含む不動産投資については副業と見なされないことが一般的なんだ。アパート投資で本業の利益を損なうことは考えにくいし、本業に差し支えるほど労力を必要としないからね。
マガ男:たしかに株式投資やFXは容認されていますから、アパート投資だけ副業禁止規定の対象になるのはおかしいですよね。
タテ吉:さらに言うと、積極的に不動産投資をしたいと考えていなかった人が手がけるケースも多いから、処罰するのは理不尽でもある。「転勤で持ち家を賃貸にしている」「親が所有していた物件を相続した」などの理由で賃貸物件のオーナーになる人も少なくないからね。

副業と見なされる? こんなケースは要注意

マガ男:なーんだ。アパート投資は「副業禁止規定」に引っかからないんですね。
タテ吉:ほとんどの場合はそうなんだが、一定の条件に当てはまるケースでは、気をつける必要がある。
マガ男:条件があるんですか?
タテ吉:主に三つの条件があり、それに当てはまる不動産投資は「投資」ではなく「業務」と見なされることがあるんだ。
マガ男:どんな条件ですか?
タテ吉:まず注目されるのは、投資の規模だ。保有する物件の数が増えると、投資ではなく事業と見なされるようになる。具体的な数字をあげると、5棟10室以上保有しているオーナーは税法上も事業的規模と判断される。したがってそれ以上の規模で物件を保有している場合には、「副業禁止規定」に違反していると見なされてしまうことがあるんだ。
マガ男:規模がそこまで大きくなると、どっちが本業かわからなくなってきますね。
タテ吉:二つ目の条件もその規模の問題に関連するもので、収入面が対象となっている。政府の人事院規則14-8では、年間500万円以上の収入をもたらすものは副業と見なすと定められているんだ。これは公務員に対する規定だけど、一般の会社員も収入が大きくなりすぎると、副業と判断される可能性が高まると理解しておく方がいいだろう。
マガ男:たしかにそうですね。
タテ吉:三つ目の条件は一番わかりやすいかもしれない。物件の「管理」を自分で行う場合には、副業と見なされるケースが多いんだ。入居者対応などの管理には時間や労力を割かれるので、「本業に差し障りがある」と判断されてしまうのは仕方がないところだろう。
あと、当たり前のことだが、本業で得た情報をアパート投資に流用することで、本業の雇用主に悪影響が及ぶ場合にはペナルティを科されることがあるので、注意が必要だ。

事前に相談しておくと安心できる

マガ男:どうやら特別な「副業と見なされるケース」以外はアパート投資が職場で問題視されることはないと考えてよさそうですね。
タテ吉:ただし上司や取引先などの関係者によってはアパート投資を問題視する人もいるので、そういったケースに当てはまらない投資でも、一定の注意は払った方がいいだろう。特に物件管理に時間や労力を割かれると、「本業に差し障りがあるのでは」という疑念を招きやすくなってしまうから、安心して任せられる管理会社に物件の管理を委託するなどの工夫が大切だよ。
マガ男:会社にばれないようにアパート投資をすることはできないんですか?
タテ吉:以前は不可能ではなかったけれど、マイナンバー制が導入されて、個人の所得が一括して把握されるようになってきたので、今後はほぼ不可能だろうね。曖昧なケースはまず上司に相談してみるのがお勧めだ。

まとめ

マガ男:いろいろと説明いただいて、ありがとうございました。おかげさまで「会社でなにか言われるのでは」という不安がなくなりました。
タテ吉:安全かつ効率的に資産を形成するためには、労働と投資の二本立てが欠かせない。物件を順調に経営できれば、アパート投資は株式投資やFXなどにくらべても、必要とされる手間や労力がはるかに小さく、本業の支障になりにくい。だからこそアパート投資を手がけるサラリーマンは急増しており、社会的にもサラリーマンが取り組む投資商品の一つとして、認知されつつあるんだよ。