海外で人気のソーシャルレンディング、国内の現状は?

不特定多数の人からインターネットを利用して資金を集め、その資金をもとに商品やコンテンツの開発を行う「クラウドファンディング」は、日本でもすっかりポピュラーな資金調達の方法になりました。
一方で、事業展開を計画する会社への資金出資法として、このクラウドファンディングを応用した「ソーシャルレンディング」は、それほど知名度が高くありません。海外ではすでに一般的になっているソーシャルレンディングですが、日本市場の現状はどのようなものでしょうか。

海外での市場規模と日本市場の伸び

矢野経済研究所の調査によると、日本国内での2015年度のソーシャルレンディング市場は約322億円です。2016年度の市場規模は前年比130%、400億円を超えると予測されており、市場は順調に拡大している状況です。
海外と比較してみると日本国内のソーシャルレンディング市場はまだまだ小さく、これから高成長が期待されています。

取り扱い会社が増えている

海外と比べ市場規模が小さい日本のソーシャルレンディングですが、それでも取り扱う企業は順調に数を増やしています。日本でいちはやくソーシャルレンディングを扱ってきたとされるmaneoが業務を開始したのが2008年です。
2014年以降はその数は増加しており、主要なソーシャルレンディング会社だけでも10社以上は挙げられます。有名なところでは、SBI証券の子会社であるSBIソーシャルレンディング、創立から2年ほどで80億円以上の資金を集めたLuckyBank、その他にもクラウドクレジットやクラウドバンクなどがあります。

新興ソーシャルレンディング運用会社に行政指導が入る

日本のソーシャルレンディング会社のなかには、コンプライアンスが遵守されていないケースもあるようです。2017年3月末、新興ソーシャルレンディング運用会社に、証券取引等監視委員会からの勧告を受けた金融庁による行政指導が入ったことが報道されました。
報道によると、この運用会社は、集めた資金を企業や不動産への投資ではなく、グループ会社に貸し付けていましたが、そのことを公表していませんでした。実態は親会社に資金を融通するためと判断された他、出資者へ分配する資金の捻出を、グループ事業による収益ではなく、新たに募集した資金から行っていたことが指摘されました。
また、公式サイトでは担保として不動産物件を設定しているかのように記載されていましたが、実際は融資した親会社の株式を担保にしていたり、担保が設定されていなかったりという虚偽のファンドもあったようです。
そして、会社の代表者が、集めた資金を自身の借金の返済に充てていたという事実も発覚し、2017年4月末まで1ヵ月の事業停止措置となりました。残念ながら、この不祥事が、投資家心理に何らかの影響を与えることは想像に難くありません。

ソーシャルレンディングはリスクを本格的に考えるステージに

これまで日本のソーシャルレンディングは、今回の報道で取り上げられるような大きな問題は発生せず、株やFXで投資した資金のほとんどを失ってしまったような体験談もほとんど聞かれていませんでした。そのため、多くの投資家にとってソーシャルレンディングは「高利回りでリスクも低く、手軽に儲かる」という認識だったのかもしれません。
しかし、扱う業者が増えれば「玉石混交」になるのも世の常と言わざるを得ません。虚偽の募集や条件で資金を集め、案件が破綻したら資金が回収できないという事例が、今後起こるかもしれないのです。
ソーシャルレンディングを行う時は、投資案件の健全性、担保の確実さ、リスクの分散などを考えて投資する必要があります。
日本のソーシャルレンディング業界はまだまだこれからです。未成熟の市場では、業者も玉石混交、不確実な投資案件も少なくありません。しかし、逆にいえば、この市場には「伸び代」があるということです。
ソーシャルレンディングが魅力的な投資手法であることは間違いありません。だからこそいい業者やいい案件を自分で見抜けるように、投資家も勉強する必要があるのです。