地震保険が再値上げ 大家さんの今後の賢い備え方

日本では、地震発生の可能性や損害リスクなどを考えると、住宅の地震保険への加入は必須といえます。
その地震保険は、2014年7月に保険料が値上げとなり、さらに約2年半後の2017年1月、改定により多くの都道府県で再度値上げとなりました。アパート経営を行う大家さんにとって、地震保険によるコスト増加が予想されます。今回は、大家さんのための地震保険の備え方について考えてみましょう。

地震発生リスクで値上げに

地震保険は、震災などが理由で住宅が損害を受けた際、建物や家財道具に対して、損害状況に応じた保障を行うものです。
基本的に単独での契約はできず、火災保険に付帯する形式で契約します。火災保険は火事などの他、台風や落雷などの自然災害は保障の範囲内ですが、地震による損害は含まれていません。そのため、別途地震保険に加入する必要があるのです。
地震保険は、損害保険会社と政府が共同で支払いを分担するという形式をとっており、加入者が支払う保険額は、火災保険の3~5割の範囲内と定められています。また、これまでは地震などで損害を受けた場合、建物と家財のそれぞれが、全損・半損・一部損の3つの損害区分によって、加入者に支払われる保険金額が定められていました。
今回の地震保険料再値上げの背景には、被害予測のシミュレーションの結果や、近い将来、発生の可能性が指摘されている「南海トラフ巨大地震」など、国内の地震発生リスクが上がっているため、保険金の支払い余力を残しておく必要が出てきたことがあるでしょう。

地震保険改定の変更点

2017年1月に改定された地震保険の変更点は、大きく分けて下記の3つです。

1. 都道府県ごとの地震保険料変更

地震発生時の危険性やリスクの大きさなどから、都道府県ごとに地震保険料が変更となっています。
非耐火構造の建築物の場合、全国で最も改定率が上がったのが福島県で+14.6%です。次いで、埼玉県・茨城県・高知県・徳島県が+14.3%となりました。
一方で、地震保険料が引き下げられた都道府県もあります。非耐火構造の建築物で最も保険料の引き下げ率が高かったのが、三重県・愛知県・和歌山県の−11.3%。次いで北海道・青森県・新潟県・岐阜県・京都府・兵庫県・奈良県が−7.3%でした。
これ以降も、2019年1月、2021年1月に地震保険の改定が行われる予定です。今後、各都道府県で再び保険料の引き上げ・引き下げが行われる可能性もあります。

2. 損害区分の変更

また、地震保険の損害区分(震災などによる損害の程度)が、3区分から4区分になりました。具体的には、これまでの区分の「半損」がなくなり、「大半損」と「小半損」という2つの区分になりました。その結果、損害区分に対する保険金の支払い率も変更されました。
これまで「半損」と認定された場合は50%でしたが、今後は「大半損」が60%、「小半損」が30%の支払い率となります。損害区分を増やすことで、より損害の状態に応じた保険金の支払いを行うことができるようになりました。

3. 等地区分の変更

震災発生時の危険性などに応じて、地震保険では、各都道府県を3つの区分に分類しています。1等地から3等地まであり、危険度が高い(数値が大きい)ほど、地震保険料も高くなります。
今回の改定で、以前は2等地であった北海道・青森県・新潟県・京都府・岐阜県・兵庫県・奈良県が1等地に、以前は3等地であった愛知県・三重県・大阪府・和歌山県・愛媛県が2等地に変更となりました。

アパート経営オーナーが地震保険料の負担を軽減するコツ

今回の改定で地震保険料が引き上げとなった都道府県も、今後の改定でさらに値上げとなる可能性があります。逆に今回引き下げとなった都道府県も、次回以降さらに地震保険料が引き下げとなることも考えられます。このような状況で、大家さんはどのような対策がとれるでしょうか。
再値上げが見込まれる場合、おすすめの方法は地震保険を長期契約にすることです。地震保険は1年~最長5年の契約が可能なため、一括で保険料を支払うことで一時的に支出は大きくなるものの、2019年、2021年に地震保険料が再値上げとなっても、当初(値上げ前)の保険料で済むうえに、長期割引も適用されるため、お得になります。
なお、地震保険を5年契約とする場合には、火災保険も5年以上の契約とする必要があります。
今回、地震保険料が引き下げとなった地域の場合には、次回の改定でさらに引き下げられる可能性もあるため、長期契約で一括支払いをせず、短期契約にして様子をみるのも一つの方法でしょう。
「地震保険料値上げ」と聞いて、加入を懸念する大家さんもいるかもしれません。しかし、もし実際に震災が起きて倒壊や破損などが発生した場合、家賃収入が滞ってしまうだけでなく、建物の資産価値が著しく下がります。結果として、大きな損害を受けることになってしまいます。多少の負担が増えたとしても、地震保険への加入は必須です。
所有物件のある都道府県によって、地震保険の契約方法を見直すなどの対策を行い、少しでも負担が軽減できるようにしてみましょう。