債権にかかわる民法改正で連帯保証に限度額

施行から120年以上にわたって日本の商取引を管轄してきた民法の一部改正作業が進められています。東京オリンピックが開催される2020年前後に改正された民法が施行されることが予定されており、不動産関連事業についても大きな影響をもたらすものと考えられます。
特に債権にかかわる条文の改正は、賃貸借契約に盛り込まれることが多い連帯保証にかかわるため、その影響や対応策について注目が集まっています。

2020年から連帯保証に限度額?

2017年4月14日、債権にかかわる民法の改正案が衆議院で可決されました。今回の改正は2015年3月31日に閣議決定された「民法の一部改正する法律案」の一部で、今後は参議院での審議を経て、2019~2020年頃に施行される予定となっています。
民法は1896年に制定されて以来、抜本的な改正がなされてきませんでした。時代遅れの面が目立つようになった民法を現代の商取引に合うよう、改正する作業が進んでおり、さまざまな分野に影響が及ぶことが予想されています。
不動産投資においては、これまで青天井だった連帯保証の責任範囲について、限度額を設けるという改正が大きな影響を及ぼすものとして注目されています。

賃貸借契約における連帯保証の重要性

賃貸借契約を結ぶ際、多くのケースで連帯保証人を立てるよう求めます。連帯保証は単なる保証にくらべ、オーナーにとっては利便性の高い制度です。
たとえば家賃滞納があった場合、単なる保証人であれば、オーナーからの請求に対して、「まず賃借人に請求してください」と要請できますが、連帯保証人にはその権利がありません。オーナーからの請求があれば、それに応えて支払う義務があるのです。
また、たとえ賃借人に支払い能力があっても、連帯保証人はオーナーから請求があれば、滞納家賃等を弁済しなければなりません。複数の連帯保証人がいる場合に、債務を頭割りにして、「私はこれだけしか支払わない」と責任範囲を限定することもできません。
このように責任が重く、一定以上の経済的な能力が求められる連帯保証人になれるのは通常、父母兄弟などの親族で、家賃滞納などについて、代位弁済するだけの経済力がある人物に限られます。

保証会社利用が増える可能性も

これまで連帯保証契約について、引き受ける側には「身元保証」のような意識が強く、「大きな金銭的負担が発生するのでは?」という不安をリアルに感じることなく承諾するという面がありました。
民法改正後は連帯保証を求める際、「○百万円」などという上限額が記載されることになるため、かえって負担を意識させることになり、連帯保証を引き受けてくれる親族が減る可能性が高い、と考えられています。
オーナーにとっても、「妥当な上限金額」の範囲では、物件の汚損等の損害を賄えないケースが考えられます。そういったリスクを回避するため、保証会社の利用が増えると予想されています。
保証会社の利用については、月額家賃の30~100%程度の保証料を入居者が負担することになるため、物件によっては敷金や礼金等の初期費用を見直すなど、調整が必要となるケースも出てきそうです。

理想は保証会社と連帯保証の併用

オーナーにとって「損害を補償してくれる存在」である連帯保証人と保証会社ですが、それぞれにできることが違い、特性があります。そのため改正民法施行後は、この二つを併用するメリットがより強くなります。
連帯保証人は個人なので、経済的な事情が変動しやすい。家賃滞納分を保証できなくなるケースも考えられます。保証会社を利用すれば、家賃滞納があった場合のリスクを軽減することが可能です。
また連帯保証人は督促や立ち退きなどの業務をこなせませんが、保証会社はそういった業務を実行できます。
一方、保証会社は騒音やゴミ出しなど入居者が起こすトラブルについては関知しませんが、連帯保証人は多くの場合親族なので、オーナーが対応を依頼することが可能です。

まとめ

賃貸借契約の内容が法的に有効なものであるためには、民法のさまざまな規定に合致していることが求められます。民法が改正されれば、賃貸借契約で規定できる事柄が変わることになります。
アパート投資など不動産投資を手がけるオーナーにとっては、改正される民法に沿って連帯保証の位置づけを見直すなど、新たな時代に合う賃貸借契約の工夫が求められます。