アパートローン規制は実施されるのか?アパート経営への影響

相続税対策や地方の遊休地の活用、マイナス金利を背景とする金融機関の融資増などの影響で、アパートの建設ラッシュが全国に広がっています。しかし、需要を見据えないアパートの建設は、将来的な貸し倒れリスクもはらんでおり、日銀もその実態に警鐘を鳴らしています。
実際に「アパートローン融資を規制するのでは」との声もあがっており、その動向は不動産投資家にとって、非常に気になるところでしょう。そこで今回は、本当にアパートローン規制が実施されるのか、また、実施された場合の影響について考えてみます。

アパートローン前年比20%増の過熱ぶり

「金融庁がアパートローンの過熱に待ったをかけた」と報道されたのは2016年12月です。日銀によると、2016年のアパートローンの総額は3.8兆円で、対前年比20%増となり、まさに「うなぎ登り」の状況となりました。
その背景には、マイナス金利政策が実施されたことで、各金融機関が住宅ローン金利を下げざるを得なかったという事情があります。融資による金利収入は、金融機関にとって非常に大きなものです。1%未満の変動住宅ローンが主流となっている現状では、借りる人間が多少増えたとしても、住宅ローンの金利収入が減少してしまうのは必然の結果でしょう。
その一方で、一般的なアパートローンの金利は3~5%と、住宅ローンほど低下していません。金融機関は、住宅ローンでの収入減を、アパートローンの金利収入で補おうとしている状況とも言えそうです。
また、2015年の税制改正で相続税控除額が縮小されたことを背景に、相続税対策でアパートを建てるリタイア世代が増えていることも、アパートローン市場の過熱につながっているようです。

地方でも盛んなアパートローン、そのリスクは

不動産投資の知識のある方ならば、もしアパートローンで集合住宅を建てる場合、東京都や神奈川県などの一都三県、できれば東京23区、もしくは23区に近いエリアに建てたいと思うでしょう。日本は人口減少社会に突入しています。今後、地方の過疎化はますます加速すると考えられるので、地方での不動産投資は難しい局面を迎えていると言えます。
しかし、日銀の「地域金融機関の 貸家業向け貸出と与信管理の課題 2016年3月」によると、地方銀行の貸出10%弱、信用金庫の約16%が貸家業を対象にしています。不動産投資の熱は都心のみならず、地方でも盛り上がっているのです。金融機関は不動産オーナーに対して、アパートローンのリスクや条件説明を適切に行ったのか、貸し倒れになることなくアパート経営は続くのか、金融機関を監督する金融庁がこうした懸念を持ち、何らかの規制を考えたとしても不思議はありません。
このように、アパートローンの現状から見えてきたのは、「金融機関にとってアパートローンはうま味が多い」「アパート建設ラッシュが深刻な問題になりそうなのは地方」という2点です。

不動産投資家として考えるべき方針

2017年度に入っても、金融庁はアパートローンに対する具体的な規制案などを、まだ提出していません。2017年度中は、アパートローン規制は行わないとみる専門家もいます。
金融機関としては、まだまだ融資額を増やしたいというのが本音でしょう。不動産投資家にとって融資を受けやすい状況は、今後しばらく続くと考えられます。仮にアパートローン融資への規制が実施されたとしても、その対象は、経営リスクの高い地方ではないかという推測も立てられます。もし本当にそうであれば、都心の物件を中心に投資している投資家にとっては、規制の影響はかなり限定的と言えます。
また、実際にアパートローン規制が導入されれば、その後、新規にアパートを建築することが難しくなります。すでにアパートを建てた投資家にとっては、賃貸市場への新規参入が少なくなるわけですから、ライバルが減ることになるでしょう。

正しい現状認識と適切な備え

金融庁はアパートローンの状況を注視しており、実態調査を行っているのは事実です。規制が実施されても慌てることがないように、正しい現状認識と適切な備えが不動産投資家には必要でしょう。