クラウドファンディング投資で「利回り」以外に大切なこと

すべての投資において、どれだけリターンが得られるかという「利回り」は、最も重要な要素に違いありません。しかし、投資を判断するうえで、利回りだけをみていればいいのでしょうか。今回は近年注目されているクラウドファンディング投資を例にして、利回り以外にどのような「大切なこと」があるのかを一緒に考えてみましょう。

クラウドファンディングとは

近年、出資・投資の新しい形として「クラウドファンディング」が注目されている。簡単にいえば、インターネットを通じて賛同する企画やビジネスに資金を提供する投資方法です。
クラウドファンディングには「投資型」(資金投資したビジネスから生まれた利益の一部を報酬として受ける)、「寄付型」(企画などに賛同して寄付し、報酬は受けない)や「購入型」(投資の対価として商品やサービスを受け取る)といった種類があり、東日本大震災の復興支援の資金調達に使われたことで、知名度が上がりました。
登場するプレイヤーは、企画の提案者(出資を受ける主体/営業者)、それに投資する出資者、および両者の間を取り持つ「プラットフォーム」と呼ばれるスキーム構築者の3者になります。
クラウドファンディングというと、出資を受ける側の立場から、説明されていることが多いのですが、むしろ私たちは、投資する側からクラウドファンディングについて考察するべきでしょう。

利回りだけでなく「リスク」も考える

「ハイリスク・ハイリターン」という言葉があります。リスクとリターンは「見合い」で、高い利回りを求めれば、その分リスクも高くなるということです。
リターン(利益)ばかりに目を奪われると、思わぬリスクに遭遇します。クラウドファンディングでも同様で、利回りだけではなくリスクをどのように捉えるかがとても大切になります。

具体的な投資リスク

不動産を投資対象とするクラウドファンディングのリスクは、大別すると二つに分かれます。「投資物件に係るリスク」と「クラウドファンディング投資に係るリスク」です。
投資家としては、クラウドファンディングを企画した提案者(営業者)や、プラットフォームがどう向き合っているかを確認しておくことが大切です。
具体的に考えると、投資物件に係るリスクは次のようになります。
1. 稼働率(空室)
2. 経年劣化(賃料下落・修理修繕費)
3. 災害(地震・洪水・火災)

1は立地や物件の特徴などが関連します。2は立地と物件管理が影響します。3については立地と保険で対処することになります。
上記からも分かるように、賃貸物件において「立地」は非常に重要な要素です。
例えば、最寄駅から徒歩5分以内、地盤の強固な台地の平坦地で、かつ商業施設からも5分以内という物件であれば、1~3のリスクは低いと考えられます。また、物件の外観や内装を良く印象付けることは、集客の助けになりますし、物件の管理が行き届いていれば、1や2のリスクも低減できます。
修理修繕費や保険(火災保険・地震保険など)は、積立金を用意したり、適した保険を選択できたりするので、経営判断でリスクコントロールが可能です。
クラウドファンディング投資に係るリスクは、前述したように、投資家、企画の提案者(営業者)、プラットフォームの3者がある中で、物件の間接的な所有者(直接の所有者は営業者)となる投資家にとっては、営業者の破綻が最大のリスクでしょう。
また、立地に対する目利きや物件企画(デザイン・設備・費用の適正化など)の優劣も大きな要素ですが、これらは、プラットフォームとなる仲介業者の目利き力(営業者の安定性・企画力など)に依存します。そして、クラウドファンディング投資のスキームに依存するリスクとしてもう一つあげられるのが、流動性リスク(換金性などの問題)でしょう。

「社会的価値」という考え方

最後に、少し違った目線から、クラウドファンディングでの「利回り以外で大切なこと」について触れておきます。
近年、「ESG投資」という言葉がトレンドの一つになっていることをご存じでしょうか。ESG投資とは、「環境(Environment)」「社会(Social)」「企業統治(Governance)」に配慮している企業やプロジェクトに対する投資のことです。
クラウドファンディングに限らず、投資の目標が利潤追求にあることはいうまでもありません。しかし、最近は投資の目標や意義が、利潤追求だけでなく「社会的価値の提供」というような広い内容にものに変化してきています。
インターネットを通じて投資を募集するクラウドファンディングの場合、投資によって社会的価値が提供できることに魅力を感じる投資家たちもいて、投資先を選ぶ重要な要素となっています。
さて、今回はクラウドファンディング投資における、利回り以外で大切なことについて考えてきました。
投資家は、営業者に運用(不動産投資ならば賃貸物件経営)を一任します。そのため、営業者の安定度がとても重要ですし、運用リスクを低減させる企画力も必要です。投資家には、営業者を見極める「目利き」力が求められています。
利回りだけを気にするのではなく、より広い視点から選択することを心がけるようにしましょう。