セルフリノベーション物件のメリットとデメリット

借主は自由にリノベーションすることができて、退去時に原状回復義務を負わないという、いわゆる「セルフリノベーション可」の賃貸物件が増加しています。借主にとっては、部屋を自分好みにカスタマイズできるなどのメリットがあり、国土交通省でも空き家対策としてこの施策を推奨しています。
一方、貸主(オーナー)にとってリノベーションは建物の価値を大きく左右することであり、「セルフリノベーション可」とすることは、ある意味諸刃の剣にもなります。そこで今回は、賃貸物件をセルフリノベーション物件として貸し出すことのメリットとデメリットについて考えてみました。

セルフリノベーションとは

オーナーにとって、セルフリノベーション物件にするメリットは「長く住んでもらえる」「改修費をかけずに、物件をキレイにしてもらえる」ということでしょう。セルフリノベーションは、借主が自分の好みに合わせて、物件の間取りや内装(クロスやフローリング)、水回りなどの設備を自由に交換するものです。
住まいにこだわりが強い人ほど、自分の住む部屋を自分好みにカスタマイズしたいものですが、通常は借主に「原状回復義務」(部屋を借りた時の状態に戻す借主の義務)があるため、大幅なセルフリノベーションを行えば、退去時に多額の修繕費がかかることになります。

入居率を高め、オーナーの負担を減らす

しかし、セルフリノベーションが許可されていれば、自分好みに部屋を変えても、退去時に修繕費がかからず、自宅を買ったかのように、模様替えしながら、住み続けることができます。部屋に愛着を持ち、長く住み続ける入居者が多くなり、入居率の安定化につながるでしょう。
空室になれば数ヵ月間は賃料収入が途絶え、新たな客付けの広告費が必要になるなどオーナーの負担は増えます。2年ごとに借主が代わっていた部屋も、セルフリノベーションを認めることで、5年、10年と住み続けてもらえるようになる可能性があります。
また、空室になっている古い持ち家を改修したくても100万円以上の費用がかかってしまうので、なかなか踏み切れないというオーナーもいます。そのような場合は、セルフリノベーション物件として貸し出して、入居者にリフォームやリノベーションを行ってもらうのです。
どんな内装や設備になるかは入居者任せですが、オーナーの金銭的な負担を減らしつつ、内装や設備などを新調してもらえます。

我の強い「セルフ」リノベーションには注意

セルフリノベーション物件のデメリットはそのメリットの裏返しでもあります。借主の個人的な嗜好が強く出すぎてしまうことがあるのです。
リノベーションの基本的な目的は、部屋の住みやすさを改善するものです。入居者の趣味が無難なものであればいいのですが、住みやすさ以上に「個人の趣味」が色濃くなると、「壁紙が真っ赤」「間取りの大幅変更」といったものから、果ては「家の一部を壊して庭を造る」「オブジェを備え付ける」といったことまであるそうです。
それでも、長く住み続けてくれるのであれば、オーナーとして我慢もできるでしょうが、何らかの理由から数年で転居したり、結局気に入らなくてすぐに退去してしまうようでは元も子もありません。あまりにも奇抜なセルフリノベーションをされてしまった物件は、新たな入居者を募るのに苦労することになります。
このような事態を避けるためには、賃貸借契約の項目に、借主がセルフリノベーションできる範囲を明記するか、もしくは、大家の許可を取ったリノベーション内容だけ実施できるようにするなど、予防策を施しておくことです。
また、契約前に入居者と面談するのもいいでしょう。最近では、リノベーション済み賃貸物件を専門に掲載している不動産情報サイトも増えています。「個性的なデザインの物件に住みたい」という需要は常にあるので、そのようなサイトや不動産業者の力を借りれば、リノベーション後の客付けもしやすいはずです。

DIY好きへの賃貸に

「セルフリノベーション可」として貸し出す物件は、経年劣化で競争力が落ちてきたことへの対策と考えるべきです。まだ「築浅」で、客付けできる物件を「セルフリノベーション可」にするメリットは少ないと言えるでしょう。
古くて高額の改修費が必要な物件は、DIY好きの人たちや住宅デザインにこだわりたい人たちに貸し出すのに適しています。投資物件を探すときには、セルフリノベーションを念頭においた物件を選ぶのもいいかもしれません。