猫や大型犬もOKにする?大家の決断

10年前は希少であった「ペットが飼える賃貸物件」も、昨今は増えてきました。少子高齢化や新築増加に伴い、深刻化する空室問題の解決策のひとつとなっています。
ペット相談可の条件は「小型犬1匹」というものが多いようですが、立地や築年数で劣っていたり、空室期間が長引いたりする物件だと、猫や中型犬・大型犬の飼い主でも、契約欲しさから大家さんは断りにくくなるかもしれません。今回は、このようにペットの制限を緩めることのメリットとリスクについて考えます。

猫や大型犬をOKにするメリット

ペット禁止であった物件は、「小型犬1匹可」やさらに「猫や中型犬・大型犬可」に変更することで、入居希望者の数を増やし、物件の空室リスクを低減させることができます。地域や物件によっては、家賃の値上げも可能でしょう。また、入居者がペットを飼い続ける限り長期の入居も期待できます。物件の利益率アップにつながるとすれば、これは大きなメリットです。
自宅でペットを飼育したいと望む人がいるにもかかわらず、飼育を認める賃貸マンションやアパートが足りないのは、大家さんの「顧客本意」の目線がおろそかになっているからだという人もいます。確かに、人口が増えていた頃は、空室を心配することもなく、また、アパート経営を相続税対策と考える地主型の大家さんの多くが、賃貸市場や経営にあまり関心がなかったのかもしれません。
しかし、現在のように空室が増え、競争が激しくなる中でこれまで以上に顧客の要望に耳を傾けた賃貸経営が、大家さんに求められるようになりました。

猫をOKにするデメリットと対策

大家さんが、猫の飼育をOKにすることに消極的なのは、臭いによる近所からの苦情と、退去時の爪とぎ跡の修理に費用がかさむからです。猫は犬より尿の臭いがきついといわれ、壁や建具を爪で引っかいて傷付ける可能性があります。
そもそも猫はきれい好きで、決められた場所以外でトイレをしない習性があります。トイレには消臭効果のある猫砂を使い、こまめに掃除や換気をすることを入居時の特約事項に入れるといいかもしれません。
退去時のトラブルを避けるためは、敷金を1ヵ月分多く預かった上で、賃貸契約書にペットによる傷の修繕を明記します。当初から傷を見込んで壁紙を上下で分離しておくと、退去時のリフォームコストが削減できます。
猫は犬と比べて鳴き声が小さく、他の入居者との問題は起こりにくいのですが、ベランダ伝いに隣家に勝手に入ってしまうトラブルが生じることもあります。飼育は室内に限定させて、外に出ないように注意を喚起する必要があるかもしれません。

中・大型犬をOKにするデメリットと対策

次に「中型犬・大型犬」ですが、小型犬よりも鳴き声のトラブルが増え、退去時の原状回復費用がかさむことを大家さんは懸念します。
ある程度、犬の鳴き声は「しつけ」られます。しつけのできていない小型犬よりも、しつけのできた大型犬は問題が少ないのではないでしょうか。ポイントはしつけの程度を、どのように判断するかということです。
犬をしつけるのは入居者ですから、入居申込時に、どんな入居者なのかを見極めるようにしましょう。実際に対面した不動産会社の担当者から、申込者の人となりや、引越しの理由(ペットのトラブルという人は要注意)、犬の鳴き声や性格について確認するようにしましょう。規約を守り、しつけができる入居者ならば、上述のようなリスクは小さくなります。
また、通常、犬を飼うと朝夕2回は散歩に出かけることになり、他の入居者とすれ違うことがあります。入居者の中には、犬を好きではない方がいたり、大型犬は恐いと感じる方がいたりするかもしれません。小型犬が吠えた時は、抱いてその場を離れることができますが、大型犬では難しいかもしれません。少なくとも共有部では、リードを短く持つことを特約に入れるほか、1階の部屋に限定するのも一案です。
犬が大きくなると、エレベーターや階段、廊下など共有部で、抜け毛などが目立つようになり、気にする入居者がいるかもしれません。室内でブラッシングしてから散歩に出かけることを特約に入れている賃貸マンションもあるようです。退去時のトラブルを避けるため、敷金を多く預かり、賃貸契約書の特約でペットによる傷の修繕を明記するようにしましょう。

空室対策のために検討も

猫や大型犬が飼育できる賃貸物件は不足している状況です。空室対策になり、長期間の入居が期待できる「飼育可」物件について、大家さんも積極的に検討すべきでしょう。
入居者がペット飼育に関する規約を守れるのか、きちんとしつけができているのか、十分に見極めるとともに、契約時に敷金を多く預かり、生活ルールや退去時の復旧費用の負担について明確化しておけば、経験のない大家さんが懸念するリスクについて、備えることができるのではないでしょうか。