錠前は? クロスの貼り替えは? 入退居時に必要な費用【連載:初めての不動産投資物語】

◆登場人物
・タテ吉さん
年齢:43歳
職業:アパートオーナー
年収:2500万円
プロフィール:大手食品メーカーに勤務するサラリーマンだったが、アパート投資に成功して脱サラ。現在はアパート10棟を保有し、悠々自適の毎日を送っている。

・マガ男君
年齢:32歳
職業:大手食品メーカー勤務
年収:450万円
プロフィール:タテ吉さんの元後輩。会社の先行きにやや不安を感じており、不動産投資に関心を持っている。



入居者が退去したら、次の入居者を迎えるために物件をリニューアルしなければなりません。部屋をきれいにしたり、劣化した設備を入れ替えたり、錠前を取り替えたり、その内容はさまざま。もちろん、費用もそれなりにかかります。
以前は敷金や礼金で十分賄うことができました。しかし、最近では空室対策としてそういった入居者の負担を減らす物件が増えています。限られた費用で効果的なリニューアルを行わなければなりません。

退去後には部屋をリニューアル

マガ男:入居者が入れ替わると、いろいろと費用がかかるものなんでしょうか?
タテ吉:そうだね。人が何年も住んでいた部屋はあちこち傷んだり、汚れたりするのが普通だ。次の入居者を早く決めるために、手早く部屋をきれいな状態に戻す必要がある。
マガ男:退去のときに部屋をもとの状態に戻すよう、賃貸借契約で入居者に求めることができるんですよね?
タテ吉:原状回復義務のことだね。確かにその通りなんだけど、入居者に義務づけられているのは故意や過失で汚損した場合だけというのが最近では一般的な考え方になっているんだ。
マガ男:普通に生活している中で生じる汚れや劣化、傷なんかは原状回復義務に含まれないということですね。
タテ吉:そうだね。だからクロスの日焼けや小さな汚れはオーナーが負担して、リフォームすることになる。入居者負担とオーナー負担の考え方について、詳しくは国土交通省がガイドラインを作成しているから、それを見るとわかりやすいよ。

状況に応じてリフォームやクリーニング

マガ男:部屋をリニューアルするときに、気をつけるポイントはありますか?
タテ吉:部屋のイメージを刷新するために、やはり大切なのは清潔感だね。
マガ男:少しでも汚れていたり、劣化していたら、貼り替えたり取り替えたりする必要があるということでしょうか?
タテ吉:必ずしもそういうわけじゃない。汚れ具合や劣化の程度によって、対策を選ぶことも必要だ。たとえば、クロスの場合は軽度の汚損ならクリーニングでこと足りるからね。
マガ男:なるほど。汚損がひどい場合だけ貼り替えるわけですね。
タテ吉:貼り替える場合も全面貼り替えだけでなく、汚れている部分だけにとどめるというのもアリだよ。他の部分とちぐはぐになるのが心配なら、まったく違う色や柄のクロスを貼ってアクセントウォールにするという方法もあるしね。
マガ男:設備についてはどうでしょう?
タテ吉:状況次第だけど、たとえば温水便座などは最近ではかなり安くなっている。取り替えておくと好印象を持ってもらえるよ。

トラブル防止に錠前の交換

タテ吉:もう一つ、入退居時のリニューアルで気をつけたいものに錠前がある。必須ではないけれど、トラブルを防止するためにぜひ検討すべきだ。
マガ男:なるほど。退去した入居者が合鍵を作っていたりすることもあるので、セキュリティを考える上では大切なポイントですよね。
タテ吉:国土交通省のガイドラインでは、費用はオーナーが負担するのが妥当とされている。基本的には交換コストがかかるけど、複数の物件を持っていた場合は空室同士で錠前を入れ替えるなどの方法をとることもできるんだ。
マガ男:入居者負担にはできないんですか?
タテ吉:国土交通省のガイドラインに法的な拘束力はないので、契約によって入居者負担にすることは可能だよ。たとえば、退居時に錠前の交換費用を敷金から差し引くことをあらかじめ契約に含めておくこともできる。

費用対効果と予防的な契約

マガ男:リニューアルの必要性はよくわかりました。でも、収益を考えると費用は限られてきます。全部を完璧にってわけにはいきませんよね。
タテ吉:そうだね。物件をどの程度リニューアルするのかは、やはり専門家の意見を聞くのが得策だ。管理会社に相談してみるのがおすすめだよ。
マガ男:管理会社はそんな相談にも乗ってくれるものですか?
タテ吉:やる気のある管理会社はさまざまな提案をしてくれる。入居率を維持するのも彼らの仕事のうちだからね。
マガ男:うーん、その分、費用面がちょっと心配ですけど。
タテ吉:費用を抑える基本は業者から相見積もりをとることだ。複数の業者から見積もりをとることでコストの相場がわかるからね。

まとめ

マガ男:「きれいで快適な部屋に住みたい」というのは、入居者にとってはごく当たり前な希望です。新たな入居者を迎えるにあたって、その望みに応えられるように物件を整備することが欠かせないということですね。
タテ吉:その通り。ただし使えるコストには限りがある。入居者を呼び込むためには、もっとも効果が高い事柄から優先的に対応することが大切だ。その選択についてはプロである管理会社のアドバイスが役に立つよ。