相続対策メリット以上に恐ろしいアパートの供給過剰とリスクについて【シリーズ:不動産投資のお金とリスク】

2016年12月に、金融庁と日銀がアパート建築は供給過剰状態であることを警告して話題になりました。
国が相続税を強化したのにも関わらず、国がアパートの建築ラッシュに警笛を鳴らすというところに、なんとも苦悩が伺えます。
そこで、今回はなぜ日銀がわざわざ警告してくれたのか、その背景にあるアパート経営のリスクについてご紹介します。

アパートは相続対策の優等生

アパートの建築ラッシュが生じた最大の理由は、2015年1月より相続税法が強化されたためです。
アパートのような収益物件を建築すると、土地は貸家建付地評価減、建物は借家権割合による評価減が適用でき、相続税評価額を下げることができます。
また建物を、借入金を使って建築すれば、借入金の分だけ資産をマイナスにすることができます。さらに、アパートの賃料収入も得ることができます。
このようにアパート建築は、相続税も減らし、なおかつ、収入も増やしてくれるという二重のメリットがあるため、相続税対策の優等生とも言えます。

空室リスクが生み出す悲しい結末

アパート建築を検討する際は、シミュレーションで相続税対策の効果を確認します。シミュレーション上は、「メリットしかない」感じる方も多いことでしょう。
しかしながら、今後、シミュレーション通りにアパート経営が上手くいくかどうかは別です。
アパート経営の最大のリスクは空室リスクです。管理会社は空室保証してくれるから大丈夫と考えがちですが、サブリース契約でも賃料減額はあります。
築年数が古くなり、入居状況が悪化すれば、管理会社は賃料減額の申入れをしてきます。最近では、ハウスメーカーもシミュレーション時に賃料下落まで織り込んだ数字を開示する会社も増えてきました。
ところが、そういう提案ですら、賃料下落がシミュレーションの範囲で収まるかどうかは分かりません。当初シミュレーション以上に賃料を下げざるを得ないという状況も十分にあり得ます。
賃料が下落してしまうと、キャッシュフローがマイナスになるリスクもあります。キャッシュフローのマイナスに耐え切れなくなり、アパートを売却する人も後を絶ちません。
築古のアパートでは、売却額よりも借入金残債が大きい状態であるオーバーローンでの売却も多いです。
借入金は建築費のみであったはずなのに、売却時点では土地も含めてオーバーローンの状態で売却するため、大損失で売却していることになります。
オーバーローンによるアパート売却は、土地を他人に無料でプレゼントするようなものであり、おまけに借金が手元に残るという悲しい結末を生み出します。

供給過剰が最大の原因

このようにアパート経営は、空室リスクを引き金に、様々なリスクを生みます。日銀が警告した点は供給過剰です。日銀も供給過剰こそが空室リスクの最大の原因であると考えているため、あえて警告を鳴らしてくれています。
アパートは一度、地域に供給されてしまうと、取り壊されるまで地域に供給され続けます。地域に新築アパートが加われば、供給は増え続けるばかりです。
工場製品であれば、売れなくなったら供給量は減りますが、アパートは貸せなくなっても供給が減りません。
アパート経営は、基本的に供給過剰の方向に向かいやすいビジネスであることを理解しておく必要があります。
国が供給過剰と認識している中、アパート経営を始めるにあたっては、まずはアパート経営のリスクを十分に把握するようにしましょう。

まとめ

以上、相続対策メリット以上に恐ろしいアパートの供給過剰とリスクについて見てきました。供給過剰が懸念されるアパート経営では、リスクは十分に理解しておく必要があります。