特殊なニーズに応える物件づくり【連載:初めての不動産投資物語】

親世代が経営していたアパートを相続したものの、物件としては古くなっていて、入居者も減ってきている。かといって、一度建てたアパートの場所を移動することはできないので、「駅近」などのキーワードでメリットを打ち出すこともできない……。
このような悩みを抱えているオーナーも少なくはありません。しかし、そんな物件でもアパート経営を諦めて売却する以外の方法がちゃんとあります。

◆登場人物
タテ吉:さん
5年前にサラリーマンをリタイヤして、今はアパート5棟を保有するオーナー。
アパート投資で年収2000万円を実現している。

マガ男
日々仕事に追われる若手サラリーマン。
最近、アパート投資に関心を持ち始めたばかり。


アパートのリノベーションという選択肢

マガ男:親からアパートを引き継いだけれども、築年数が経ち、入居者も減っているという場合でも、リノベーションという手段があると聞きました。
タテ吉::そうだね。築年数が経っているアパートは壁紙や柱などの色がくすんでくるから、それだけで暗いイメージになってしまう。また、アパートが作られた当時と現在で、地域のニーズが変わってしまうこともあるんだ。
マガ男:壁紙の張替えや室内の修理・清掃とはひと味違うリノベーションを行うと、どんな効果があるのでしょうか?

リノベーションで2つの部屋を1つにする

タテ吉::たとえば、2つの部屋の間の壁をぶちぬいて1つの空間にするとしよう。すると、空間が広くとれるので、キッチンをおしゃれに変えたり、浴室を広くしたりすることもできる。これまでは単身者向けだった物件を、ファミリー向けに生まれ変わらせることも可能だね。
マガ男:そのような大幅な変更は、リノベーションではないとできないですよね。
タテ吉::最近は単なる居住空間ではなく、SOHOワーカー向けの物件に作りかえて売り出すオーナーもいるよ。

特殊なニーズつかむ物件づくり

マガ男:「楽器演奏ができるアパート」として売り出している物件を見たのですが、このような特殊なニーズを見込んで、リノベーションをするというのもありでしょうか?
タテ吉::そうだね。部屋の間取りを変えたり、窓の大きさを変えたりするだけのリノベーションとは違って、より特徴を打ち出すことができる。ただし、音楽大学が近くにあるとか、歌手、アーティストなどが住んでいる街であるとか、地域のニーズを把握することも必要になる。

DIY可能な物件、趣味と深くかかわる物件など

マガ男:特殊なニーズに応える物件としては、どのようなものがありますか?
タテ吉::より身近な例としては、ペット共生住宅や女性専用の物件だ。とはいえ、これらの物件は増えているので、もはや特殊とは言えないかもしれないね。また、賃貸物件は内装を変えることができないというイメージがあるけれど、最近はDIY可能な賃貸物件もある。
マガ男:賃貸物件に住んでいると「退去時の原状回復義務があるから、できるだけ壁や柱を傷つけないようにしよう」と思ってしまいがちです。でも、DIYで自分の好きな空間にしてしまえるのは本当にうれしいですよね。
タテ吉::アパートオーナーとしても、このような新しいニーズをつかんで入居につなげていくのはやりがいを感じるはずだ。

特殊な物件の注意点

マガ男:特殊なニーズをつかんで、運営していく上での注意点としてはどのようなものがありますか?
タテ吉::1つは「近隣の住宅との関係」だね。たとえば音大生ばかり集まっているアパートでは、楽器の音をだしても「お互い様」で過ごせるだろう。でも、それはアパート内では気を遣わなくてすむということで、近隣の住人にまで迷惑をかけていいというわけじゃない。
マガ男:ペット共生住宅でも同じことが言えますね。「楽器演奏は○○時まで」といったルールを作ることも必要かもしれません。

一定のルールを設けてトラブル回避を

タテ吉::DIY可能な物件でも、無制限にDIYを認めるのではなく、事前の届け出や相談を義務づけるとか、退去時の原状回復はどこまでしてもらうとか、しっかりとしたルールを決めておいたほうがいい。こうした取り決めは国土交通省も勧めているね。
マガ男:特殊なニーズに応えることは、無制限に何でも応じるということではないんですね!
タテ吉::その通り。「室内に持ち込んでもいい楽器の種類」や「DIYをしてもいい範囲」などを決めてから物件づくりに取り掛からないと、防音工事の程度や建物の強度などにかかわる。「物件づくりの初めから、コンセプトとルールを決める」ことが大切だね。