死亡者最多は自宅 熱中症と住まい

暑い夏もあと少しですが、油断は禁物です。元気に乗り切るために、熱中症対策を見直してみませんか? 熱中症といえばかんかん照りの屋外でなるもの……。そんな風に思われがちですが、実は違います。
猛暑の中に出ていくときには用心していることが多いこともあり、屋外で重い熱中症になる人はそれほど多くはありません。しかし、屋内で熱中症を発症する人は多く、そのまま重症になり亡くなるケースもあります。そして、熱中症での死亡者が一番多い場所は、なんと自宅なのです。

要注意! 高齢者は特に危険

熱中症で救急搬送される人が全国で増加しています。主要20地域の熱中症による年間救急搬送者は2007年が5100人だったのに対し、2010年以降は毎年1万人を上回っており、2015年は1万4125人(消防庁「熱中症対策リーフレット」)と3倍近くにのぼります。
暑い最中に外出したりするから……、と思われがちな熱中症。しかし、発症場所がわかっている中で、死亡者がもっとも多いのは自宅での熱中症です。43.1%(東京消防庁管内 2015年6~9月)を占めており、二番目に多い道路・交通施設25.4%の1.7倍を数えます。
65歳以上になると、自宅での重篤な熱中症の発症がさらに増える傾向が見られます。その数は59.8%。高齢者は暑さを感じにくいため、エアコンをつけるなどの対応が遅れがちになります。そのため、熱中症を発症して初めて室内の暑さに気づくというケースも珍しくないのです。

気温だけじゃない! 3つの要素にも注意を

熱中症対策として、室内気温に気をつけることが重要です。しかし、一般的にエアコンの設定温度として推奨されている28℃以下でも発症することがあるため、注意が必要です。2014年6月~9月東京消防庁管内の気温別救急搬送者数を見ると、33℃のときには773人であるのに対して、25℃の場合でも118人が搬送されています。
このような現象が起きるのはなぜでしょうか。その理由は、気温だけでなく、以下の3つの要素が熱中病の発症に大きく関わるためです。
湿度:「湿度」が高いと発汗しても汗がうまく気化しにくいため、体熱を引き下げるはたらきが弱くなります。
風の強さ:肌に当たる風には体温を引き下げる効果があります。そのため風が弱いほど、体感温度が上がります。
輻射熱:日中の太陽光を浴びた屋根や壁は高温になり熱を持ちます。輻射により身体に熱が伝わるため、熱中症の要因になります。

気をつけたい就寝中の発症

屋内で熱中症について、特に気をつけたいのが就寝中の発症です。東京都福祉保健局が2013年(7月・8月)の熱中症死亡者の状況を取りまとめたところ、約90%が屋内で死亡しており、さらにそのうち3割が午後5時から午前5時の間に亡くなっていたことが判明しています。
一戸建てや集合住宅最上階の場合は室温や湿度が適正でも、前述のように屋根からの輻射熱で熱中症の発症リスクが高まることがあります。また、昼間より少し気温が下がっていることで油断してエアコンを切り、防犯のためにと窓を閉める人が少なくありません。熟睡していると暑さに気づきにくいため、あらかじめリスクを意識しておくことが大切です。
対策として有効なのが、寝室に温度・湿度計を置くことです。さらに就寝前にコップ1杯分の水を飲むようにすれば、熱中症のリスクを引き下げることができます。

遮熱シートやグリーンカーテン太陽光発電も

熱中症対策の基本はエアコンによる室温と湿度のコントロールですが、それ以外にもリスクの軽減につながる工夫がいくつかあります。
まず、窓に遮熱シートを貼り付けるというやり方です。太陽光による熱が室内に入るのを防ぐことができます。さまざまな商品が販売されていますが、たとえば、積水ナノコートテクノロジー社が提供する「遮熱クールネット」は窓際直射熱を7℃引き下げる効果があるとされています。
エアコンが苦手なのでできるだけ窓を開けたいという人には、グリーンカーテンを設けるのもおすすめです。目にも涼しく、快適に室温を下げられる効果があります。
あまり知られていませんが、太陽光発電の導入にも住まいの遮熱効果があります。発電パネルは太陽光のエネルギーを吸収して電気エネルギーに変換するため、屋根にのせておくと下に熱が伝わりません。また、昼間の電気を自前で賄えるので、光熱費をあまり気にせず、エアコンを使うことができます。

まとめ

熱中症は誰でも発症する危険性があるありふれた健康トラブルですが、ひどくなると命の危険にすらつながります。
屋内では気づかないうちに発症することが多いので、高齢者がいる家庭では日常的に気を使い、住まいに対策を導入するのがおすすめです。