テレワーク推進で住まいの選び方に変化も?

職場に通勤するのではなく在宅で仕事をする「テレワーク」を推進する動きが、官民で加速しています。2017年7月24日には3年後の同日に開かれる東京五輪を「テレワークデイ」と定めて企業などがいっせいに取り組むイベントが開催されました。
これまで働くのは外、家はくつろぎや団らんの場というのが一般的な暮らしの在り方でしたが、今後テレワークが普及すると住まいの役割が変わり、それに伴って間取りや設備など住まいに求められる性能も変わっていくものと考えられます。

ICTを利用して自宅で働く

テレワークはICT「Information and Communication Technology(インフォメーション アンド コミュニケーション テクノロジー)」を利用して時間や場所を柔軟に活用できる働き方を指す用語ですが、主に通勤せず、自宅で勤務することを意味します。
「仕事は職場で」というのが従来の常識でしたが、ICTが普及したことにより、テレビ電話で会議や打ち合わせができるなど、離れた場所にいても情報共有やコミュニケーションに支障がなくなりました。心理的な面をのぞけば、現在では、多くの仕事はどこにいても職場にいるのとほとんど変わらない効率でこなすことが可能です。
テレワークを導入するメリットは多々あります。働く側にとっては「仕事時間を自由に選択できることでワークライフバランスをとりやすくなる」というのは大きなメリットです。一方、経営側にとっては「障がい者や高齢者、子育て中の女性なども働きやすいダイバーシティが実現でき、人手が確保しやすくなる」といったメリットがあります。
安倍政権では、官民一体となって推進する方針を固めており、東京五輪中は増加した観光客により都内の交通網が飽和状態になると見られることとからめ、2020年までに拡大することを目論んでいます。

子育て中の女性も社会参加

テレワーク導入で特に注目されるのが女性の活用です。出産直後や子育て中の女性はこれまでどうしても職場から離れることが多く、キャリアに一定のロスが出るなどの問題がありました。
経営側にとっても、重要なプロジェクトのメンバーとして頼りにしていた女性社員が離脱すると、業務に支障が出ることもあるため、能力があっても積極的に起用しづらいという問題が意識されてきました。
テレワークが導入されれば、自宅で子供を育てながら働くことができるため、そういったデメリットを抑えることができます。また日によってはパートナー男性が出勤せずテレワークで働くなど、役割分担がしやすくなることも大きなメリットと考えられています。

テレワークで変化する住まいのニーズ

テレワークが働き方の主流になると、住まいの選び方は大きく変わります。まず立地について現在重視されている通勤の便は重要度が低下し、より広い土地が確保できる郊外で暮らすという選択をしやすくなります。
住まいに仕事場を確保する必要があるため、プラス1室のある間取りを好む人が増えるはずです。また仕事と暮らしを分けられる間取りの工夫があるとベターです。テレビ電話を頻繁に使用する人の場合には、住まいの様子がある程度外に公開されてしまうことも考えられるため、専用のワークスペースを設けるか、仕事をするときにはパーティションで仕切れるようにすると、使い勝手がよくなります。
ハウスメーカーの中には、テレワークを支援する住宅ブランドを設ける会社も登場しており、今後はさまざまな工夫が充実していくものと考えられます。

テレワークが普及すると賃貸需要に変化も

テレワークの普及が進むと、賃貸物件の需要にも変化が現れるはずです。分譲物件と同じく、駅近物件より広めの物件、部屋数が多い物件を好む層が増える。都市部にこだわらない層が増えるなど、立地に対する希望は大きく変わると思われます。
設備面では現状でも人気が高い「インターネット無料」や「高速のインターネットサービス」などに注目が集まるでしょう。また仕事で使う場合には、セキュリティへの配慮も欠かせません。これまであまり重視されてこなかった集合住宅のネットセキュリティが、住まいを選ぶ際の必須条件になるケースも出てきます。
一日中住まいで暮らす人が増えると、世帯ごとの日中のエネルギー使用が増えます。光熱費のコストが大きくなるため、冷暖房効率への関心も高まるでしょう。
官民一体となって進められる動きなので、テレワークを選択する企業や個人は今後、増えるものと思われます。生活スタイルが変われば、住まいに求められる事柄も一変するものです。「通勤しない」というのは大きな変化なので、住まいへのニーズもかなり大きく変わるものと考えるべきでしょう。