続く地価上昇で不動産投資が地方へ拡大

先日、昨年度に続いて今年度も路線価の全国平均が上昇していることが国税庁から発表されました。
全国平均で0.4%の上昇が見られたほか、国内でもっとも路線価が高いとされる鳩居堂前の価格がバブル期直後の1992年を上回るというトピックも。地方都市でも5%を超えるところがいくつも見られるなど、上昇基調が維持されています。
地方でもこうした大都市圏の地価上昇が波及しています。大型物流拠点の新設など、地方ならではのニーズの増加が見られます。今後の動きに注目です。

地価動向の指標となる路線価とは

路線価は毎年国税庁が発表する基準地価の一つで、相続税や贈与税の基準となる相続税路線価と固定資産税評価のもととなる固定資産税路線価がありますが、一般に路線価という呼び名で示されるのは相続税路線価です
公道に面した土地の1平方メートルあたりの単価を示すもので、一般的な取引価格に近い公示地価の8割程度とされます。毎年1月1日時点の価格をその年の7月頃、国税庁が発表しています。
全国32万5000カ所が調査対象となっており、地域の地価動向を知る上では大きな指標となる価格です。

前年から続く上昇基調と中核都市への波及

7月に国税庁が発表した2017年分の路線価では、全国13の都道府県で地価が上昇。横ばい2県、下落32県となりました。前年は8年ぶりに全国平均がプラスに転じ、0.2%の上昇が見られましたが、2017年もその基調が引き継がれているといえそうです。
県庁所在地では東京、福岡などの10都市で上昇率が10%を超え、岡山、大分などの4都市で5~10%、5%未満は13都市となっています。大都市圏だけでなく岡山や大分などの地方都市でも大きな上昇が見られたのは、やはり前年から続く傾向です。
活発化する不動産投資などを背景に、大都市圏で続いてきた地価上昇の流れが地方中核都市へ波及しつつあるものと見られます。

地方都市の不動産投資と物流拠点需要

土地の種別で見ると、前年も低下した住宅地の路線価が、2017年にはついに下げ止まったのは特徴的な出来事と言えます。
都心部の商業地だけでなく郊外や地方にまで地価上昇の兆しが現れているのは、不動産投資と大企業による物流拠点の整備という需要が高まりつつあるためです。
大都市圏では近年地価が急激に上昇しているため、不動産投資の利回りは低下しつつあります。そのためより高い利回りを求める資金が地方へと流れる動きが活発化しているのです。
また、物流については最近、あちこちで語られているとおり、人手不足が深刻化し、業務が滞るリスクが表面化してきました。従来は都市部に中小の拠点をいくつも設けて配送効率を維持してきましたが、効率をさらに高めるため、地方に大規模倉庫を設けるケースが増加しています。
大きな土地を要するため、地価の高い地方の人気が高く、高速道路へのアクセス性が高いエリアなどに特殊な需要の発生が見られます。

都市部はオフィスとインバウンド需要

商業地については引き続き堅調で前年比1.4%の上昇が見られました。増大するオフィス需要に加え、近年はインバウンドの需要も引き続き盛り上がっています。
2016年には訪日外国人が前年比22%増の2403万人と急増していますが、政府では2020年に4000万人、2030年には6000万人という高い目標を掲げており、受け入れ施設の用意が急ピッチで進行中です。
なかでもホテルなどの宿泊施設は建設ラッシュが加速。2016年の宿泊業の着工面積は前年比2.1倍の196万平方メートルとなっています。
こういった需要を受けて、今後も大都市圏の地価は上昇が続くと考えられるため、大都市圏で不動産投資に向かっていた資金が地方に向かう割合が、今後はさらに増えると予想されます。
路線価は不動産に対する需要を示すと同時に、国内景気や社会の動向を示す重要な指標です。都市部、地方ともにそれぞれ需要増となる要因があり、2年連続の全国平均上昇には、今後不動産市況が底堅く上昇していく気配を感じることもできそうです。