新しい住まいの可能性AI×HEMSは暮らしになにをもたらす?

エネルギー消費を見える化するHEMSと、学習機能を持つAIを組み合わせる試みが進んでいます。
従来、スマートハウスに必須とされたHEMSは、住まいのエネルギー使用の詳細を見える化するのが主な機能なので、効率的なエネルギー消費については、住む人が考えて工夫するのが一般的でした。
AIを導入すれば、世帯のエネルギー消費状況を学習し、TPOに合う適切な管理を行ってくれるため、エネルギーの消費効率が格段に高まる可能性があります。

従来は「手動」だったHEMSの活用

HEMSとは「Home Energy Management System(ホーム エネルギー マネジメント システム)」の略で、住まいの創エネ状況やエネルギー使用状況を見える化する設備です。HEMSにより見える化することで、エネルギー使用を最適化し、省エネにつなげることができます。
エネルギー消費の無駄を省いて、光熱費を削減する効果や温室効果ガスの抑制が期待できるため国も普及を進めており、2030年には全戸への普及を目標としています。ただし、従来のHEMSはエネルギー使用を見える化するだけで、実際に電気を消費する機器については人が制御する必要がありました。

ユーザーの暮らしを学習して最適化

見える化できたとしても、その情報を分析して効率よくエネルギーを使用するためには、意外に大きな手間がかかります。たとえば「エアコンを使いすぎている」という情報が見えたとしても、それだけでは省エネを実現できません。
「誰が、いつ、どうして使いすぎているのか」「どうすれば防げるのか」などを利用者が考え、家族で意思統一して注意深く使用するよう心がけなければ、HEMSがあっても省エネにはつながらないのです。
一方、AIには学習能力があるため、ユーザーの生活状況をデータ化し、最適なエネルギー使用を自動的に行うことができます。「テレビの使用をやめたので、あと30分程度で就寝する可能性が高い→ リビングのエアコンを停止しよう」「室温が○度になると、エアコンの風量を上げるケースが多い→ それより低めに室温を保とう」など、効率と快適性を高めるエネルギー使用の工夫が自動的に行われるようになるのです。

あらゆる家電や充電・蓄電を制御

AIによる制御の幅は広く、近年提供されるようになったサービスの中には、あらゆる家電の制御ができるものもあります。家電製品を買い換えなくても、装置を導入してサービスの利用申込をするだけで、家にある家電製品をすべてAIが管理して、適切に運用してくれるのです。
また、発電や充電についても管理してくれるシステムもあります。国内大手が提供するAI×HEMSシステムは太陽光発電による蓄電池への充電や放電、エコキュートの稼働などを制御できるのが特徴です。生活パターンのデータだけでなく、天気予測も利用するため、より効率的なエネルギー管理が可能となっています。
電気製品だけでなく、国内大手メーカーが提供する商品では、温度情報などをヒントに電動窓シャッターなどと連動するものもあり、AIとHEMSを連携させるシステムは、急速に進化し多様化しています。

コスト負担を上回る光熱費削減効果

AI×HEMSを導入する最大の目的は省エネであり、一般家庭ではやはり光熱費の削減が主たる目的となります。そのため省エネ効果でコストを賄えるかどうかが気になるところでしょう。
導入コストは意外に低く、家庭内の家電製品をほとんど制御するシステムの場合でも8~10万円程度となっています。別途数百円のサービス利用料がかかるケースもありますが、一般的な電気の使い方をする過程なら、1~3年程度でペイするものと見られます。
効率の高い節電を実現するためには手間と労力がかかる上、一定の知識も必要です。常に気を遣って暮らすのは難しいため、エネルギー使用を見える化できても、大きな節電効果を生み出せないケースも少なくありません。進化が著しいAIが代行してくれれば、今後はあらゆる家庭で、電力使用が最適化される可能性が高いと考えられます。