広がる「セルフ内見」はこれからの常識になるか?

ガソリンスタンドの給油やスーパーのレジなど、さまざまなサービスがセルフ化される中、賃貸物件の内見もセルフ化するというサービスが登場しています。インターネット上で物件を見つけ、内見を希望する人が増える中、営業マンにとっても手間がかかる内見を入居希望者だけで行うというものです。
マイペースで内見できるなど、入居希望者にとってはメリットが大きいサービスなので、今後は普及する可能性が高そうです。

物件を探す人にとって手間が大きい内見

賃貸物件の一般的な探し方は、アパートやマンションに住みたい人が賃貸仲介会社を訪れて営業マンに条件を伝え、紹介された物件を営業マンと一緒に内見するというものでした。
ところが最近では、インターネット上のポータルサイトに賃貸物件の情報が多数掲載されているため、多くの人はあらかじめネットで条件を絞って物件を見つけてから賃他仲介会社を訪れます。
見たい物件が決まっている人にとって、賃貸仲介会社を訪れるのは余分な手間です。希望物件以外を営業マンに勧められることも多く、それが嫌なので、賃貸仲介会社を訪れにくいという声も聞こえます。

営業マンがいないなかでマイペースな見学ができる

そんな問題を解決してくれる新たな取り組みとして注目されているのがセルフ内見です。セルフ内見では、まず希望者がインターネット上で見つけて関心を引かれた物件について、ネット上から内見申込を行います。
その後、賃貸仲介会社の店舗で説明を受け、カギを受け取ります。営業マンの同行なしに物件を訪れて自由に内見し、定められた時間までにカギを返却して終了です。物件について不明な点があれば、営業マンに問い合わせることができます。
賃貸物件を探している人にとっては、横からあれこれ言われたり、気兼ねしたりすることなく、自分のペースで物件を見学できるのがセルフ内見の魅力です。営業マンの手間がかからないため、仲介手数料を割り引いてもらえることもあります。

賃貸仲介会社にはメリットとデメリット

賃貸仲介会社にとって、営業マンが同行しない分、仲介実務に要する労力を省くことができます。前述のとおり、その分仲介手数料を抑えられるので、入居希望者を呼び込みやすくなるという利点もあります。
賃貸会社の収益にはセールストークなど営業マンの腕次第で変わる、という不安定要素がありますが、セルフ内見の割合が増えれば、マンパワーに頼る部分を縮小することができます。
ただし、物件を探している人がネット上で気に入った物件しか見てくれないようになるので、セールストークで「広告費の大きい物件に誘導する」というテクニックは発揮しづらくなります。腕のいい営業マンを抱えている賃貸仲介会社にとってはマイナス要素と言えるかもしれません。

魅力がある物件は広告費を切り下げられる

オーナーの側からセルフ内見を評価するなら、「魅力の大きい物件を所有している場合にはメリットが大きい」と言えそうです。これまでは入居希望者にとって価値のある物件でも、広告費を抑えると仲介会社がなかなか紹介してくれないという問題がありました。
しかし、セルフ内見が増えれば、営業マンの意向と空室リスクとの関係は薄くなり、物件の魅力で勝負しやすくなるはずです。
入居希望者はインターネットで得た情報を頼りにセルフ内見を希望するので、ネット上でいかに魅力的に見せるかが入居率を決める大きな要素になります。広告費を切り下げられるので、その分を敷金や礼金など初期費用の値引きに当てるなどの工夫をするのもよいでしょう。
一方、オーナーにとってのデメリットと言えるのは、物件の汚損など、セキュリティ面の不安です。内見を希望する人の身元確認をしっかり行うなど、一定の注意は必要です。
内見は営業マンのセールストークによる影響が大きく、不動産取引においてもっともアナログ的な色合いが強い営業活動です。人手不足が進み社会のデジタル化が進む中、インターネットで物件を見つけ、営業マン抜きで内見するセルフ内見は今後普及するものと思われます。