女性の一人暮らしも安心な賃貸住宅とは?

一人暮らしの女性の入居者がいる賃貸住宅の大家さんは、「安心」の提供が強く望まれています。
法務省が発行する「性犯罪に関する総合的研究」によれば、近年の強姦の認知件数は減少傾向にあり、2014年は1,250件でした。一方、強制わいせつの認知件数は増加傾向にあり、2014年は前年より減少したものの7,400件と、統計を取り始めた1966年の約2.3倍に増加しました。また、それらの犯行現場は、強制わいせつの22.8%、強姦の47.7%が「住宅」となっています。
そこで今回は、女性単身者が安心して暮らせる賃貸住宅について考えてみましょう。

女性の被害を防ぐ立地

先の研究によると、強制わいせつの半分以上は道路、駐車場、公園や空き地などの「屋外」で発生しています。使われていない工場や倉庫、空き地、人通りや店舗が少ない道や細く暗い道は、女性が引き込まれたり、つけられたり、襲われたりなどの犯罪に遭遇する可能性が高くなるといえるでしょう。
賃貸住宅の安全性は、建物だけではなく、土地の地形、環境が大変重要になります。バス停や駅から、アパート・マンションへの道は安全でしょうか。何か気になる地点がある場合は、最寄りのバス停や駅までの「安全ロードマップ」を用意してあげるといいかもしれません。

侵入犯罪ゼロの防犯モデル賃貸マンション

続いて設備面です。セキュリティがしっかりした賃貸住宅とは、どのような設備を備えているのでしょうか。
NPO法人「京都府防犯設備士協会」の例をみてみましょう。京都府防犯設備士協会では、賃貸マンションの防犯機能についての認定制度を用意して、審査・認定しています。同法人の「京都府防犯モデル賃貸マンション」の認定件数は、2017年4月に100件を超えました。今のところ、認定マンションでの侵入犯罪はゼロとのことで、京都府警や京都府も推奨しています。
この制度は、一人暮らしの若い女性が多く住む集合住宅の性犯罪被害防止などを目的としたもので、侵入犯が嫌う「侵入に時間がかかる」「顔を見られる」「突然の明りで驚く」「音がして人に気が付く」という四基準で審査されます。
また、建築構造によって二種類のレベルを規定しています。アパートなどを対象としたI類は、最低限の防犯設備を設置し、通常の手段での侵入が容易ではないレベル。マンションなどを対象としたII類は、侵入に一定の時を要し、共用部の監視録画機能もある強固なレベルです。
アパートの基準(I類)としては、駐輪場と共有出入口のそれぞれに照明と防犯カメラ、共有廊下階段には照明、各部屋の窓に補助錠、玄関ドアにインターホンとCP錠を設置し、住人の入れ替わり時の鍵交換が必須となります。同時に落書きや放置ゴミの早期消除など防犯対策も求められます。
マンションの基準(II類)は、上述のアパート基準に追加して、エレベーターホール・共有廊下にも防犯カメラの設置、屋上・外部は、施錠など侵入困難な構造、外壁・配管・縦樋は忍び返しなどを設置、各戸のバルコニーは外部及び共有部から侵入できない構造が求められます。
さらにセキュリティレベルが厳しいのは、女性専用のレディースマンションです。女性専用のため、住人に変な人が紛れ込む危険性は低くなるでしょうが、家賃が割高になったり、家族や知り合いの男性の立ち入りが制限されたりするデメリットもあります。

一番重要なのは入居者の防犯意識

それでは、上述のような設備がアパートやマンションに備わっていれば、安全なのでしょうか。
確かに設備(ハード)は大切ですが、住人の意識(ソフト)も大切です。防犯カメラやオートロックなどの防犯設備を過信し、ゴミ出しなどわずかな時間だからといって、玄関を施錠せずに出掛けて空き巣などに遭うケースもあります。
女性単身者がバルコニーに下着などを干せば、女性が暮らしているとアピールしているようなものです。「高層階だから大丈夫」とカーテンを開けたままにしていると、遠くのビルから望遠鏡でのぞかれているかもしれません。それが大きな事件に発展しないとも限りません。
また、集合ポストのダイヤルを合わせたままにしていると、悪意ある人に狙われるかもしれません。郵便ポストには、個人への手紙や購入商品のみならず、公共料金の明細や領収書クレジットカードの請求書など、他人に知られたくない情報も届きます。ちょっとした油断からプライバシーが脅かされてしまうのです。
入居者一人ひとりの防犯意識を高めるために、管理会社もしくは大家さんが自ら、掲示板やポスティングなどで防犯意識を喚起していくことが肝要です。アパートやマンションで一旦事件が起きてしまうと、入居者の物理的・精神的な被害はもとより、物件自体のイメージダウンになります。
大家さんは賃貸住宅の安全性に重視した設備を整えるとともに、入居者の防犯意識を高めることが、不動産投資でのリスクを低減することにつながるのではないでしょうか。