個人と法人、どっちがいいの?アパート経営の「法人化」を考える

アパート経営をしている場合、「法人化」について考えている人も少なくないでしょう。個人と法人、それぞれにメリットはありますが、果たしてどちらがいいのでしょうか。
今回は、アパート経営の主体を「法人化」した場合に、どのようなメリット・デメリットがあるのかを考えてみます。

メリット1「法人税率は所得税の最高税率より安い」

多くの方が、このメリットを享受するために法人でアパート経営をしています。所得税の税率は「超過累進課税」を採用しているので、所得金額によって5〜45%まで変動します。住民税を含めれば、所得の15~55%が個人経営での所得税率になります。
一方で法人経営の場合、法人の法定実効税率は最大で約34%です。したがって、個人の方が家賃収入や給与を合算した所得金額における税率が、法人税の税率を超える場合、法人で物件を取得するほうが節税対策になります。

メリット2「修繕積立金を節税しながら貯められる」

アパート経営において必ず問題となるのが、10~15年周期で訪れる大規模修繕です。物件の規模によりますが、ある程度まとまった額(数百万~数千万円)は用意しておく必要があります。個人で不動産を所有し、修繕積立金を貯蓄する場合は、不動産収入から税金を差し引き、そこからさらに修繕積立金を捻出することになります。法人においては、不動産収入から修繕積立金を貯蓄しながら、経費とすることができます。

メリット3「規模拡大には欠かせない法人設立」

法人設立のメリットとして節税面ばかりが注目されますが、それだけではありません。これから不動産投資の規模拡大や、早期退職を考えている人にとって、法人設立は欠かせません。
まず、不動産投資では多くの場合、銀行のアパートローンが利用されます。将来、保有物件数を増やすにあたり、借入金は増加することになります。「収入の何倍までの借入れが可能」といった、個人に対するアパートローンの条件が当てはまらない状態になります。
そこで今度は法人を使い、事業性融資という名目で融資を引き出すことが重要になってきます。事業性融資は個人の属性以外に、これまでの事業の安定性や規模など、総合的に審査されることになりますが、その借入金に上限はありません。このような節税のみならず、事業の観点においても、現状の所得とは関係なく、法人を設立することをおすすめします。

メリット4「相続税対策として有効」

資産を相続する状況になった時、個人所有の場合は、必ず所有物件に対して相続税が発生します。法人名義であれば相続税は発生しません。相続財産が多くある資産家にとって、不動産を法人所有に変更するのは大きな節税対策となります。これもさまざまな方法や注意点があります。詳しくは税理士に相談してみましょう。

デメリット「設立費用・維持費がかかる」

法人化の大きなデメリットとしては、設立時の設立費用および年間の維持費がかかることです。設立費用は、株式会社の場合約30万円がかかります。しかし合同会社で設立すれば、約10万円で設立可能です。維持費は、毎年の利益に関係なく、法人住民税として約7万円を支払う必要があります。
また、月々の帳簿作成や決算時の決算書作成のために税理士報酬がかかります。他には従業員の社会保険料、健康保険料などがあります。

長期的な視点からの判断が必要

法人化に関しては節税面ばかりが注目されて、まだ不動産所得の金額が少ない時は「自分には関係ない」と思われるかもしれません。しかし、将来的な規模拡大などを視野に入れれば、法人化は検討する必要もあるでしょう。
個人・法人のいずれかを選ぶかは、法人の設立費用や維持費、自身の所得や将来の経営プラン、資産の継承まで考え、長期的な視点からの判断が必要です。