相続対策を行う前に知っておきたいアパート経営のリスクについて

2015年1月より相続税法が強化され、アパート建築をする人が増えました。一方で、2016年12月には金融庁と日銀がアパートの供給過剰を懸念し、銀行に対してアパートローンの貸出の監視強化をするようになりました。
アパートは相続対策の有力な手段である一方、供給過剰によりアパート経営の難易度も上がりつつあります。
そこで今回の記事では相続対策で始めたアパート経営のリスクについてご紹介します。

空室および賃料下落リスク

アパートでは、管理会社に一括借上げをする人が多く、空室リスクは無いものと勘違いする人がたくさんいます。
結論からすると、一括借上げを行っても空室リスクは存在します。一括借上げは、通常、「家賃保証」とか「空室保証」と呼ばれることが多いため、かなりの人が空室や家賃は保証されるものだと誤解しています。
一括借上げとは、管理会社かオーナーから全室を一括で借上げる契約です。借上げの賃料は、満室時の賃料の80~85%程度になります。管理会社は満室時の100%の賃料から、15~20%を差し引いて利益を得ます。
一括借上げと言っても、オーナーと管理会社で締結する契約は、普通借家契約と呼ばれる賃貸借契約になります。普通借家契約とは更新規定の定めのある契約です。
普通借家契約では、賃借人(管理会社)から賃料の減額の申入れをすることができます。これは借地借家法で認められた権利です。一括借上げはサブリース契約と呼ばれますが、サブリース契約でも同様に賃料減額を申し入れることは可能です。
そのため、一括借上げでも、空室が増えてしまうと、結局、管理会社がオーナーに対して賃料減額を要求してきます。その要求を最初は跳ね除けたとしても、毎年のように減額の申入れがあると、ほとんどのオーナーがそれを受け入れてしまいます。
一括借上げの賃料減額を了承するということは、間接的にオーナーが空室リスクを取っているのと同じです。一括借上げであっても空室リスクや賃料下落リスクは存在し、結局はオーナーがそのリスクを被ることになります。
空室リスクを下げるには、良い立地でアパート経営を行うことが重要です。元々持っている土地がアパート経営に不適切な物件であれば、買換え等により良い物件に変えてからアパート投資をすることをお勧めします。

借入金リスク

相続対策では資産を減らすために、借入金を使うことがほとんどです。但し、借入金が増えすぎると、借入金の返済リスクが増えてしまいます。
アパート経営では、築古になってくると、建物の減価償却費が無くなるため、会計上の費用が減ることで利益が増えるという現象があります。築古になって賃料収入が減るのに、利益が上がるという一瞬、不思議な現象が生じます。
利益が増えると、増えてしまうのは税金です。全体収入は減るのに、税金が増えるためキャッシュフローが悪化します。キャッシュフローが悪くなっても、借入金が残っていると、返済がとても苦しくなります。
借入金の元本返済は費用とはならないため、税引後のキャッシュフローの中から返済します。
相続対策のために良かれと思って行った借入が、築古になった時点でオーナーを苦しめてしまうことが良くあります。しかも、相続でオーナーが子供の代に変わっていると、親の作った借金により残された子供が苦しい思いをするという事態も発生します。
このようなことから、相続対策であっても、なるべく自己資金を使うことをお勧めします。自己資金を使うことは、資産を減らすことでもあるため、相続対策として借入金と同様の効果を生み出します。余剰資金があれば、それをアパート建築に回すのが良い方法です。

まとめ

以上、アパートの経営リスクについて見てきました。アパートは空室リスクを考慮し、十分に自己資金を使って建てるようにしましょう。