アパート経営を法人で行う場合のデメリットについて紹介

相続対策手法の一つに法人によるアパート経営が注目されています。個人の所得税率が上がり、法人の法人税率が下がったことから、法人による相続対策にメリットが出てきました。
法人によるアパート経営は株による相続の分割対策や、役員報酬による相続人の納税資金の確保、経費範囲の広さ、法人税率の低さ等々、個人が不動産を所有して行うアパート経営よりも多くのメリットがあります。
一方で、法人によるアパート経営にはデメリットも存在します。そこで今回の記事は法人で行うアパート経営のデメリットについてご紹介します。

設立の手間

法人は2006年に会社法が施行されて以降、設立のハードルが相当に低くなりました。会社法では、株式会社は資本金が1円でも良い、取締役は1名でも良い、監査役は置かなくても良い等、設立手続きが簡単になっています。
ただ、会社法施工前と比較すれば設立が楽になったものの、それでも法人の設立には一定の手間がかかります。
法人を設立するにあたっては、まず商号、会社の目的、所在地、取締役、資本金、営業年度などを決定します。また、定款を作成し、法人の登記を行います。さらに法人を設立した場合は、実印も作ることになります。
これらの会社設立の準備は1週間から1ヵ月ほどの時間を要します。
会社の設立費用は、登記費用が最も費用がかかります。登記費用は資本金の額に対して1,000分の7です。但し、金額が15万円に満たないときは、15万円となります。登録免許税は最低でも15万円はかかります。
その他、定款作成費用等も発生し、会社設立の費用とは30万円程度を予算として見込む必要があります。

土地所有の場合はキャッシュが必要

アパートローンの融資は、銀行によっては建物代のみ、または土地建物代の70%までしか融資しないという融資枠があり、土地建物の全額を借りることは難しいというのが原則です。
法人が土地から購入してアパート建築を行う場合、少なくとも土地建物総額の30%程度以上の手持現金は必要となります。
そのため、法人が土地建物を所有する場合は、数千万円単位の手持ち現金が資本金として必要となり、多額の手持ち資金が必要になるというデメリットがあります。
多額の手持ち現金が無い場合は、個人が元々持っている土地に借地してアパートを建築することになります。借地の場合は法人が個人に地代を払うことになり、若干、収益性が落ちてしまいます。
元々土地を持っていない場合や、元々持っている土地がアパート経営に向いていない土地であれば、新たに土地を購入する必要があります。
その際は、法人に資本金として土地が購入できる程度の資本金を出資し、法人は法人が購入した土地の上でアパートを建てることになります。

調整しにくい役員報酬

法人によるアパート経営では、相続人への所得の移転を目的とし、家族を法人の役員とすることが多いです。
その際、家族は期初に設定した役員報酬を法人からもらうことになります。ここで、役員報酬は決算期の途中で簡単に上げることはできないという点がポイントです。
個人であれば、賃料が上がればその収入は全て自分のものとして反映できますが、法人の役員報酬となると1年に1回しか役員報酬を変更できないため、収入が上がったとしてもその利益を個人がすぐに享受できないというデメリットがあります。
また、法人と個人は別会計であるため、法人に貯まった現金は個人が自由に使いにくいという点もデメリットになります。但し、アパート経営では将来、大規模修繕費等も発生するため、法人の中に現金を貯め込んでおく必要はあります。

まとめ

以上、法人によるアパート経営のデメリットについて見てきました。法人のアパート経営はメリットが多く叫ばれていますが、一定のデメリットは存在します。実施する場合はデメリットも意識しておきましょう。