相次ぐ不動産業界からのサ高住参入

高齢者に生活サービスなどを提供する「サービス付き高齢者向け住宅」の市場に、近年は異業種からの参入が相次いでいます。それまで培ったノウハウを活かせることから、不動産関連事業から参入するケースが増えており、新たな不動産市場として注目されています。
高齢者の増加、あるいは高齢者のみの世帯の増加が見込まれる中、国も設立を後押ししており、今後急増するものと予想されます。

相次ぐ不動産業からの参入

不動産関連事業者が「サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)」を展開するケースが増加しています。野村不動産は2027年までに40棟、5000戸の供給を目指すことを発表しました。
健康増進に対するニーズが高い高齢者に向けて、エクササイズを提供するのが特徴で、施設には専用のスタジオも設ける予定です。
日本最古の歴史を誇る総合不動産会社、東京建物も新たな時代に求められる居住施設としてサ高住の展開を計画しています。将来的には50棟を開発、保有する計画を立てており、1棟あたり50~80戸という大型物件も手がける予定です。
ハウスメーカー大手の積水ハウスもサ高住の全国展開に踏み切ることを発表しています。これまでは主に首都圏でテストケースとして建設や運営を行ってきましたが、今後は毎年50棟の建設を計画しており、建築およびサブリース形式での経営を行う予定です。

サ高住は増える高齢者の受け皿

高齢者の住まいには「特別養護老人ホーム(特養)」「養護老人ホーム」「軽費老人ホーム」「有料老人ホーム」「サ高住」「認知症高齢者グループホーム」などがあります。
それぞれ契約形態などに特徴がありますが、サ高住の居住者は建物賃貸借契約を結び、生活支援サービスを受ける場合には別立てで契約することになっています。入居者にとっては賃貸借契約を結んでいるため居住権を確保できるという安心感があります。
株式会社など民間の営利団体が開設でき、老人福祉用による規制が少ないなど、設営についてのハードルが低いのがサ高住の特徴です。そのため近年はサ高住の建設・経営に参入する企業が増えています。
サ高住の歴史はまだ浅く、制度が設けられたのは2011年のことです。その後、急激に増加しており、2012年2月時点で1万6328戸だったのが、2016年2月には19万5935戸とたった4年で10倍以上に増加しました。

2020年までに全国60万戸

国内では高齢者人口が今後も増加すると予想されています。2015年には75歳以上の高齢者は1641万人でしたが、2030年には2278万人と約4割も増える見込みです。
社会の高齢化が進むのに伴って、自立して生活するのが難しい人が増加します。なんらかの障害により日常生活に影響がある人の割合は、70~74歳では5人に1人程度ですが、80~85歳になると3人に1人に増加します。
自宅で自立して暮らすのが難しくなるため、受け皿として高齢者住宅が必要になります。政府の福祉予算には限りがあるので、民間の資金とマンパワーを活かせる施設として、サ高住の建設が求められているのです。
厚生労働省では2020年までに全国60万戸を目標としています。2016年時点で、約19万戸が提供されていますが、あと41万戸の余地が残されています。

ノウハウと補助金、税制、融資

サ高住における「住」の提供は一般の賃貸住宅と似通ったビジネスモデルなので、不動産事業者にとっては住宅提供のノウハウが活かせる分野です。
現役世代が減少する中、増加する高齢者にターゲットをシフトし、生活あるいは介護サービスとともに提供するビジネスには大きな需要が見込めます。
設立に関しては各種補助金や優遇税制、融資が利用できるので、コスト負担を抑えて展開できるのもサ高住ビジネスの利点と言えそうです。

まとめ

高齢者が増える中、生活の不便を補う住まいを大量かつローコストで提供することが、社会全体にとって急務となっています。もともと住まいの提供を手がけてきた不動産関連事業者にとって、ノウハウを活かしながら社会のニーズに応えられる「サ高住」の提供には、大きな意義があるのです。