生活保護者を入居させるメリット・デメリット

近年、広がる経済格差や高齢化の進行により、生活保護を受ける人が増えています。2017年5月の受給世帯数は164万世帯でした。
そのうちの52.8%が高齢者世帯で、高齢者世帯の約90%が単身者です。賃貸物件のオーナーには、自分の物件に生活保護者を入居させるべきかどうかで悩んでいる人が増えています。
そこで今回は、不動産オーナーの目線からみて、生活保護者を入居させた場合のメリットとデメリットについて考えます。

メリット

1. 家賃滞納リスクが低い

生活保護者は、普通の入居者に比べて家賃滞納リスクが低いといえます。理由は、生活保護者には生活を営むうえでさまざまな扶助が国から保障されているからです。そのなかには、アパートなどの家賃も含まれていて、市区町村などの自治体ごとに、定められた範囲内で実費が支給されます。この扶助金は、家賃という名目でしか支出することが許されていません。
ところが、生活保護者の中には、アパート家賃としての扶助金を、別の目的で使用してしまう人がいます。そのような事態を防ぐために、自治体から直接、オーナーや管理会社に家賃を入金してもらうことができます。そうすることで、家賃滞納を未然に防ぐことが可能です。家賃のための扶助金なので、それ以外の目的で使われるリスクを防ぐために、自治体側も了承してくれることが多いのです。その結果、生活保護者が家賃を滞納するリスクは普通の入居者に比べて低くなるのです。

2.長期入居が見込める

生活保護者が入居すると、長期入居が見込めます。それは、別の物件を見つけるのが大変だからです。
依然として多くのオーナーが、生活保護者の入居を嫌う傾向にあります。また、引っ越し費用を自治体から扶助してもらうには転宅許可が必要となり、次の部屋に入るための初期費用の扶助は受けられません。したがって、普通の入居者よりも長く入居する傾向があるといえるのです。

デメリット

1.家賃下落の可能性

空室対策で生活保護者の入居を可能にした場合、自治体が決めた家賃扶助の上限額が、設定した家賃よりも低いと、家賃扶助の上限額まで家賃を下げることになります。その事実を他の入居者が知れば、家賃減額の交渉に応じなければならないかもしれません。家賃を下げてまで入居を認めるべきか、機会損失とリスクを天秤にかけ、慎重に判断する必要があります。

2.扶助金の上限が下がる

生活保護者の賃貸住宅問題として、「シェアハウス」などの呼称を使い、狭い1Rに生活保護者を何人も入居させ、扶助金の上限額で自治体に家賃を請求する「貧困ビジネス」を行う悪徳業者が横行した結果、その対策として、扶助金の見直し・引き下げが行われました。
今後も、支給額が見直される可能性は十分にあります。そのため、アパート一棟の入居者が生活保護者ばかりだと、扶助金の基準や金額が見直されて、家賃収入が減少したり、全室が転居したりするリスクが考えられます。

3.近隣住民とのトラブル

生活保護を受けるようになった原因はさまざまでしょう。なかでも、薬物依存者や精神障害を持つ生活保護者を受け入れる場合は大変で、周囲に対して細心の注意が必要となります。また、身体障害者の方の場合は、何か起きた時に誰も気づかず事故につながる危険性もあります。
仕事などに出掛けて、日中は部屋にいないのが通常の入居者ですが、生活保護者の場合は、一日中部屋にいることも少なくないため、近隣住民とのトラブルの確率は高くなります。
生活保護者の受け入れを決めたら、管理会社任せにせずオーナー自身も入居審査に高い注意を払うことが必要です。

メリット・デメリットを把握したうえで検討しよう

さて今回は、生活保護者を入居させるメリットとデメリットについて紹介しました。収益面においてメリットが期待できる一方で、一般的な入居者の時にはないような事態が発生するリスクもあります。
自身の物件ではどのようなメリット、デメリットが発生すると思われるのか、よく検討したうえで、受け入れを決めるようにしましょう。