民法改正で要注意!連帯保証人が無効?

2017年5月26日、企業や消費者の債権関係規定に関する改正民法が可決、成立しました。土地や建物の賃貸契約に関して、個人保証の極度額の明記、敷金の返還義務が定義され、エアコンなど室内設備の故障時の家賃減額などが盛り込まれています。
これを受けて、2020年が目途とされる施行前に、不動産賃貸借契約書の改訂が必要となります。
そこで今回は、この契約書案を参照しながら、特に連帯保証人について注意すべき点を検証してみましょう。

限度額を定めない連帯保証人は無効

改正民法465条の2によって、個人の連帯保証人については、極度額(連帯保証人の責任限度額)の設定が義務付けられました。保証の上限を決めておくことで、連帯保証人は保護され、際限なく負担を求められる事態を防げます。また、契約の途中で賃料が増額されても、それだけでは増額分に対する保証責任が連帯保証人に及びません。
これにより、土地賃貸借契約書や建物賃貸借契約書の雛形を変更せざるを得なくなりました。具体的には、不動産賃貸借契約において、個人の連帯保証人を付けるときは、契約締結時に、必ず、連帯保証する責任限度額を契約の書面(または電磁的記録)に、明示しなければなりません。
しかも、それに反する内容の契約で合意していた場合、その契約は無効になるという強行規定です。つまり、極度額を定めていない連帯保証条項は無効となるので、連帯保証人がいない契約になってしまうリスクをはらんでいるということです。

賃貸住宅標準契約書(再改訂版)(案)における、連帯保証限度額の明示

既存の標準契約書のフォーマットでは、(5)借主及び同居人に続き「契約の締結」の部となり、第1条から始まって、第16条が、「連帯保証人(以下「丙」という。)は、乙と連帯して、本契約から生じる乙の債務を負担するものとする。」となります。
一方、「賃貸住宅標準契約書(再改訂版)(案)」では、(5)借主及び同居人と「契約の締結」の部の後に、(6)連帯保証人及び極度額の欄が入ることになりました。

連帯保証限度額の設定方法と明示の影響

連帯保証人の限度額は、いくらに設定すれば良いのでしょうか。一つの考え方は、滞納発生から明け渡しまでの最大期間を考慮して、家賃の1年半分を限度額とするものです。加えて、敷金の有無によって、原状回復費用を加算します。例えば、敷金がない家賃5万円のケースでは、家賃18ヵ月(90万円)+原状回復費用2ヵ月相当(10万円)=100万円となります。
大家さんとしては、連帯保証額が多いほど安心ですが、連帯保証人としては、限度額が高額になればなるほど、保証人になることをためらう可能性が高くなるでしょう。
従来のような無制限な保証の方が、法律的には、より高いリスクを抱えているのですが、連帯保証限度額の明示によって、連帯保証人になることを感情的にためらう人と、連帯保証を頼みにくくなる入居者が増えるかもしれません。
また、個人の連帯保証人を敬遠して、家賃保証会社の利用を義務付ける大家さんが増えるかもしれません。結果的に、個人の連帯保証人は減り、家賃保証会社の利用が増え、家賃保証料を入居者が負担するケースが増えることが予想されます。
また、契約更新が大きな課題になるかもしれません。契約更新で新たに発生する家賃半月分の保証料は重い負担になりかねないからです。
2020年までに施行される改正民法に備えて、仲介会社は不動産賃貸借契約書の改訂が必要となります。管理会社を利用している場合は、管理会社の対応も確認しましょう。新規だけでなく更新時の対応にも気をつけてください。それが「保証人がいない契約書」のリスクを避けることにつながります。