不動産投資ローンの適切な返済比率とその理由について解説

個人の方が不動産投資でローンを組む場合、返済比率をどれくらいに設定するのが適切かという考え方をする人がいます。
不動産投資の返済比率は50%以内が安全という「説」が流布しています。
そこで今回は不動産投資ローンの返済比率と、なぜその返済比率が適切なのかについてご紹介します。

住宅ローンではよく使われる返済比率

個人で組む最も一般的なローンは住宅ローンです。住宅ローンには適正な借入額を求めるために、年収倍率や返済比率と呼ばれる指標があります。
住宅ローンの場合、年間返済額を額面年収で割ったものを返済比率と言います。住宅ローンの適正な返済比率は20%以内です。
住宅ローンの返済比率は、月々の生活費から積み上げて算出しています。20%以内であれば生活に余裕ができますが、30%近くになると生活が苦しくなり、住宅ローン破綻するというアプローチで適正な返済比率が決まっていきます。
ところが、不動産投資ローンの場合、多く返しても生活が苦しくなるわけではありません。そのため、なぜ適正な返済比率というものが存在するのかという疑問も沸きます。
返済比率という発想は、どちらかというと住宅ローンの返済に馴染む考え方です。

アモチ返済とは

ここで、プロの機関投資家は返済額についてどのように考えているかを紹介します。
機関投資家の返済額の目安としては、「減価償却費内」というのを一つの目安にしています。
不動産投資では、賃料から固定資産税等の実際に支出する経費を引いた純収益をNOI(Net Operating Income)と呼んでいます。NOIを求める際の諸経費の中には減価償却費は含みません。
一方で、キャッシュフローは、税金及び借入金返済額、減価償却費が関わってきます。税金はNOIから減価償却費を控除した経常利益に対して課税されます。また借入金の返済は、税引後の純利益の中から行われ、経費にはなりません。
不動産投資において、実際の手残りとなるキャッシュフローは以下の式で表すことができます。
キャッシュフロー = 経常利益 + 減価償却費 - 税金 - 借入金返済額
ここで、仮に「減価償却費=借入金返済額」とします。すると減価償却費と借入金返済額は同額で相殺されるため、キャッシュフローは以下の式で表すことができます。
キャッシュフロー = 経常利益 + 減価償却費 - 税金 - 借入金返済額
         = 経常利益 - 税金
         = 税引後純利益

「減価償却費=借入金返済額」となるような返済方法を、アモチ返済(アモチゼーションの略)と呼びます。
借入金の返済額を減価償却費と同額にしておけば、キャッシュフローは会計上の純利益と等しくなります。

新築では減価償却費が50%程度

新築アパートでは、減価償却費が賃料収入のちょうど50%程度です。そのため、返済比率を50%以内にしておけば、自然とアモチ返済をしていることになります。
但し、減価償却費は築浅時点では大きいですが、築古になると減少していき、法定耐用年数を過ぎれば無くなります。
そのため、返済比率を50%で設定すると、築古物件ではアモチ返済とはならないため、実際のキャッシュフローが税引後純利益よりも小さくなってしまいます。
中古物件の場合、返済比率が高過ぎると、キャッシュフローがマイナスとなる危険性もあります。
従って、適正な返済比率とは、築年数に応じて考え方を変えていくということが正解です。新築であれば50%程度でも構いませんが、築古物件を購入する場合には、40%、30%と下げておく必要があります。
キャッシュフローがマイナスとなってしまうと、「勘定合って銭足らず」の状態になります。税引後純利益程度のキャッシュフローを確保したい場合には、返済比率は減価償却費程度に抑えておくことが適切です。

まとめ

以上、不動産投資ローンの返済比率の考え方について見てきました。返済比率は物件の築年数に応じて、変えていくという考え方を持ちましょう。