変わる住まいの駐車場事情

若者の車離れが指摘されるようになって久しいなか、車と住まいの関係を象徴する駐車場の事情にも変化が見られるようになってきました。マンションやアパートなどの駐車場に電気自動車用の充電器が設置されたり、維持費がかかる駐車場を廃止してカーシェアリングを導入したりするマンションが登場しています。
完全自動運転が実現されたら、将来的には住まいに駐車場が要らなくなるという声もあり、今後の展開が注目されます。

公共交通網の充実と反比例する車の需要

2017年(1-6月)における新築マンションの駐車場設置率は首都圏では42.2%となっており、中でも東京都に限ると29.5%にとどまります。2008年には東京都でも100.9%あったので、8年で1/3にまで激減したことになります。
東京都内は他の地域と比較して駐車場料金が非常に高いため、マイカー保有率が低めで、23区内に限れば自動車の世帯保有率は36.3%です。
都道府県別新築マンションの平均駐車場設置率を見ると、最も低いのは東京都(24.5%)ですが、次いで京都府(33.0%)、神奈川県(52.0%)、埼玉県(54.7%)、大阪府(56.6%)と大都市圏が並びます。逆に最も高いのは沖縄県(136.6%)、次いで山口県(123.5%)、鳥取県(120.0%)、島根県(118.0%)、大分県(115.4%)と大都市圏から遠い地方が上位を占めます。
大都市圏では公共の交通機関が整っており、自動車がなくても困らない生活が可能です。そのため生活の利便性を考える上では、駐車場の有無よりも駅近かどうかが重要です。駐車場の利用料金も高額なので、毎月駐車場料金をローンに回せば、より高価なマンションが購入できると考える人も多いようです。

進む駐車場の電気自動車対応

2017年に開催された世界的なモーターショーでは、大手自動車メーカーが軒並み、電気自動車へのシフトを示しました。今後は国内でも電気自動車の普及が進むと見られますが、これまでは充電設備がないため、マンションでは購入が困難でした。
社会的な動きを受け、近年は充電ステーション付きが増加しつつあります。自動車メーカーにもサポートする動きがあり、日産自動車、NEC、大京アステージでは、2017年8月に、分譲済みマンションに電気自動車用の充電器を設置する実証実験を開始すると発表しました。日産製の電気自動車「リーフ」を新たに購入するユーザーのマンション駐車場に、普通EV充電器を初期費用および実質負担ゼロで設置できるようにするという取り組みです。
普及をうながす工夫の一つとして、蓄電池機能付きの充電器も登場しています。充電器だけの設置では電気自動車を持たないマンション住人の同意を得にくいが、蓄電池機能付きなら共用部への電力供給や非常時の電源など、その他の住人にも役立つので導入しやすくなります。
賃貸住宅にも充電設備付きの物件が登場しており、集合住宅でも電気自動車を保有しやすい駐車場環境が今後は急ピッチで整備されていくものと見られます。

駐車→カーシェアリングのマンションも

分譲マンションでは大きなスペースが必要な駐車場を廃して、カーシェアリングを導入するケースも少しずつ増えています。複数の人で車を利用するのがカーシェアリングです。レンタカーに比べて利用に手間がかからず、「ちょっと買い物に」など短時間の利用にも適しています。
働いている人では週末しか車に乗らないという人も少なくありません。そんな使い方でも駐車場代などを支払う必要があり、家計にとっては無駄な負担といえます。またマンションの駐車場はメンテナンスコストが大きい施設です。
カーシェアリングなら、駐車場代をなくし、修繕積立金を抑えられるので、車利用が少ないエリアには適した選択といえます。

将来的には駐車場がなくなる?

車関連の技術で、近年急速に開発が進められているのが自動運転です。最終段階の「SAE5」になると、自動車があらゆる道路を自律走行するようになり、無人での走行も可能になります。
そうなると所有する1台の車に乗るのではなく、「目的地まで利用したら乗り捨て、帰宅時には新たに車を呼び寄せる」という使い方が一般的になるものと考えられています。特定の車を止めておく必要がなくなるので、各家庭や施設の駐車場は不要になります。
現在、駐車場スペースとして利用されている土地を庭などとして活用するケースが増えると見られており、土地の利用法が大きく変わるかもしれません。

まとめ

自家用車を置くスペースの確保は住まいを選ぶ大きな条件でした。車に対するニーズに加え、車の性能や車を利用する上で必要な設備が近年は急速に変わってきたことから、最近ではそんな駐車場に対するニーズにも変化が生じているようです。