オークションツアーも登場! 加速する空き家対策の現状

近年、空き家の増加が問題視されています。2013年の段階で7件に1件が空き家という調査結果が発表されましたが、このまま事態が進むと、2033年には3件に1件になるとも試算されています(野村総合研究所)。
空き家の増加は土地や建物の有効利用を妨げるだけでなく、街の美観や治安を悪化させるなどさまざまな問題につながります。そのため、官民あげての対策が講じられるようになりました。なかにはユニークな取り組みも……。

どうにかしたいがそのまま……で空き家が増える

空き家は誰も住まず、有効活用されていない不動産です。不動産の価値が高い国内でなぜそんな空き家が増えるのでしょうか? 公益社団法人全国宅地建物取引業協会連合会 が2016年3月に発表した「空き家保有者向けのアンケート調査」を見ると、その答えがわかってきます。
まず「空き家になったきっかけ」を見ると、自分が住んだことがある親等所有の住宅を相続し、それが空き家の状態になっているケースが最も多く 30.6%を占めています。それに次いで、住み替えた人が前の住まいを空き家として保有しているケースが 21.6%となっています。
「空き家のまま放置している理由」を見ると、特段の理由がなく、利活用や解体等についても「特段考えたことがない」との回答が17%と最多でした。しかしながら「売却や賃貸をしようとしたがまだ来ていない」「売却や賃貸をしようと考えている」との回答を加えると、利活用を行おうとしている人が29.3%おり、環境が整えば減らすことができる可能性も見えてきます。

法整備や自治体の対応も

空き家問題の最前線に立つのは国や地方自治体などの「官」です。法律面では2015年2月に施行された「空き家対策の推進に関する特別措置法」により、具体的かつ早急な対策が進められるようになりました。
空き家の固定資産税を最大4.2倍に増額したり、自治体による強制撤去を可能にしたりするなど、同法には空き家を減らす「ムチ」的なはたらきが盛り込まれています。
一方、受け皿を作り、空き家解消と地域活性化をリンクさせようとする動きも自治体には見られます。その一つが「空き家・空き地バンク」――自治体が空き家・空き地の情報を利活用希望者に紹介する取り組みです。
自治体によっては、空き家・空き地を利活用する消費者や企業等に対して、独自の特典、補助金、税制優遇等の施策を行っているケースも見受けられます。

全国で空き家紹介のバスツアーも

最近増えているのが、自治体などが主催するバスツアー。参加者を広く募って、バスで地域を案内するツアーが人気です。地域の魅力を紹介しながら空き家を複数件巡り、地元農家でのランチタイムなどを楽しむなど、ツアーの内容には工夫が凝らされています。
空き家に困っている売主と、空き家物件を購入したい人をマッチングし、最終的にはオークション形式による物件販売を行うケースも見られます。たとえば関東ではやまなし観光推進機構(甲府市)が主催する「オールやまなし空き家マッチングツアー」が人気ですし、関西圏では移住者に人気が高い兵庫県朝来市なども同様のバスツアーを開催しています。
実際に居住するとなると、物件の解体工事や近隣への挨拶など、煩雑な手続きが発生します。こういったサービスでは解体更地工事を安価で提供したり、近隣への挨拶や行政手続きをバックアップしたりしてくれるなど、空き家購入のハードルを大きく引き下げています。

求められるのは「増やさない」「廃墟にしない」

空き家対策で求められるのは「増やさない」ことと「廃墟にしない」ことです。そのためには空き家の除去や住宅以外の用途に使いやすくするなどの対策が考えられます。
また新築の制限も検討されていますが、こちらか経済全体に与える影響が大きいため、新たに住宅を建てる際には古い住宅の除去を義務づけたり、制限するエリアを設けたりするなど、導入に当たっては慎重な対応が求められます。
社会全体の意識改革も重要です。これまで国内では住まいについて「終の棲家」と考えるのが一般的でした。空き家を増やさないためには今後、そういった常識を変えて、仕事やライフステージ、あるいは季節によって住む場所を変える、新たな住まい方を模索する必要がありそうです。また根本的な解決策としては、人口減少を食い止め、人口増へと社会全体を導くことも重要です。
 

まとめ

空き家問題は住宅市場における大きな課題ですが、適切に対応することができれば、人気の立地に新たな物件や更地を生み出すなど、好循環をもたらすことができます。官民が一体となったさまざまな工夫が広がっているので、意識して情報を集めることで、お得な売買につながるケースがあるはずです。