長期入居を促進、大家さんの更新プレゼント

日本銀行は、2017年1月に公表した「地域経済報告」の中で、「多くの地主等が短期間のうちに貸家経営に乗り出した結果、貸家市場全体でみると、需給が緩みつつあるとの声が聞かれている」とし、空室率の上昇や家賃の下落が見られる賃貸住宅市場の現状に、日銀としては異例の警鐘を鳴らしました。
相続税対策による新築アパート・マンションの増加で、客付けに苦戦している大家さんも少なくありません。入居促進は大切です。しかし、既存の入居者が一日でも長く入居し続けてくれるよう、長期入居の促進はそれ以上に重要となります。退去者がいなければ、修繕費もかからず、空室も生じません。
そこで今回は、長期入居者を増やし、満室を維持するために有効な、「更新プレゼント」について考えます。

更新手続き時には、「攻め」のプレゼント

一般的な賃貸契約期間は「2年」です。この期間後も継続して住む場合には、契約の更新手続きが必要となります。
多くの場合、契約満了の2~3ヵ月前に、大家さん、もしくは管理会社が、「更新案内書」を郵送します。契約更新では、必要書類に署名・捺印が必要になるほか、契約によって各種費用(更新料・更新手数料・火災保険料・保証料など)もかかります。更新案内書を見た入居者が、「引っ越しを考える」こともあるでしょう。
そこで更新案内書を送る際に、「更新プレゼント」を告知するのです。プレゼントで、手間とお金がかかっても更新手続きをするようにする戦略です。贈り主が独断で決めたプレゼントよりも、いくつか種類を用意して受け取る人が選んだほうが、顧客満足度は高いようです。
では、どのようなプレゼントが効果的なのでしょうか。
これは、入居者の属性で異なるようです。例えば、一人暮らしの入居者には、残らない「消えモノ」や、雑貨が良いかもしれません。5,000円程度の予算ならば、有名洋菓子の詰め合わせ、お米、超音波アロマディフューザーなどをプレゼントしている大家さんもいます。工事の立会いをいとわないような入居者には、設備系のプレゼントも歓迎されるようです。例えば、ガスコンロ交換、温水洗浄便座、室内物干し器などです。

更新手続き後に、感謝のプレゼント

さらに更新手続き後に、感謝を表すプレゼントで顧客満足度を上げるという考え方もあります。住み心地を良くするために、「自分でお金を払ってはやらないけれど、プレゼントされたら嬉しい」というようなサービスが有効です。例えば、エアコン清掃、キッチンのクリーニング、バス・トイレのクリーニングなどです。素人ではなかなか落ちない汚れが、プロの手で入居時と同じぐらいに綺麗になれば、入居者は気持ちよく過ごせます。
更新のタイミングで、部屋の不具合について苦情を申し出てくれる入居者は、実はありがたい存在です。入居年数が長くなるほど、設備や部屋の内装は傷みます。部屋への不満が少しずつ溜まり、やがて退去につながることも珍しくありません。そこで更新手続き後に、感謝の言葉とともに不具合について尋ね、要望があれば前向きに検討するのも一案です。不具合は、早く対応すると費用も安く済みます。
不具合の例としては、網戸が劣化して穴が開いた、トイレの換気扇があまり効かない、キッチンの水栓が水漏れするなどです。苦情も言わず、こうした不具合があっても我慢していたことを、不思議に思うかもしれません。しかし、苦情を訴えることを躊躇する方や、面倒だと思う方もいるのです。
不具合と違う「要望」についても、入居期間に応じて柔軟に対応すると良いでしょう。例としては、お風呂の水栓をシングルレバーにしてほしい、汚くなった洗面所のクロスを交換してほしい、暗いキッチンの照明を明るくしてほしいなどが考えられます。

気持ちを届ける

更新時に限らず、条件を満たす入居者全員に同じタイミングでプレゼントをする方法もあります。例えば、新年を気持ち良く迎えられるように、12月初旬に各部屋の排水管清掃を行うなどです。年末年始に排水管が詰まるリスクも激減します。入居者の都合を事前に聞いてまとめて行えば、抑えた費用で実施可能です。
賃貸市場の空室率が上昇しています。今後大家さんは、入居促進以上に長期入居の促進が重要になります。更新時プレゼントは、そのために有効ではないでしょうか。ただしプレゼントは、大家さんが入居者のことを考えて、「いつ行うのか」「何を贈るのか」を考えることが、結果的に長期入居を促すことになるのではないでしょうか。