賢いアパート経営のために知っておきたい「再建築不可」

不動産情報を検索していると、「再建築不可」という表記を見ることがあるでしょう。再建築不可物件とは、再び建築ができない、建て替えができない物件(土地)のことをいいます。
再建築ができないため、金融機関の融資がつかず、安く売買されています。今回は「再建築不可物件」の定義を確かめるとともに、アパート経営にも役立つ、再建築不可物件のリスクと活用方法に注目します。

再建築不可の理由

そもそも、なぜ再建築不可になってしまうのでしょうか。建築ができない理由にはさまざまなケースがありますが、最も多いのは「接道義務」を満たしていない物件です。
平成25年住宅・土地統計調査によると、日本全国の住宅総数は約5,210万軒、そのうち敷地が道路に面していない住宅は約104万軒あります。東京でも、下町に行けば車が入れないような狭い道に、戦前の古い家がぎっしりと並んでいる地域があります。このような地域の物件に、再建築不可が多数あるのです。
昭和25年に制定された建築基準法には、建築物の敷地となる土地は、基本的に「幅員4m以上の道路に2m以上接していなければならない」と定めた42条があります。この接道義務の目的は、火災などの災害時に消火活動・救命活動を円滑にし、救急車や担架・救命器具をスムーズに住宅に運べるようにするためです。ここで言う「道路」とは、一般の道路を指しています。地下道などの車が通れない道や、自動車専用道路は除外されます。
一方、個人所有の道路でも、建築基準法上の道路として、みなされることがあります。道路の幅員も4m以上が絶対ということではなく、さまざまな要因での例外規定が存在します。法で認められた接道条件を満たしていない土地では、建築確認申請をしても確認済証を交付してもらえないので、再建築はできません。
また、道路予定地、区画整理計画地、災害危険区域、市街化調整区域などに後から指定された土地にも、新たな建築はできません。特に注意を要するのは「市街化調整区域」です。都市計画法が定める市街化区域は「すでに市街地を形成している区域」および「おおむね10年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域」ですから、建物を建てることに問題はありません。
それに対して、市街化調整区域は「市街化を抑制する区域」のため、原則として建物が建てられません。各自治体によっては条件付きで再建築を認める条例もありますが、事前に不動産会社や自治体で確認する必要があります。

建築可に化ける「接道難あり」物件

道路予定地、区画整理計画地、災害危険区域では諦めるしかありませんが、接道条件を満たさない場合は、まだ可能性があります。なぜなら、建築基準法の条文に適合するように対処すれば良いからです。例えば、幅員4m未満の道路に接している場合は4m以上になるように、道路の中心線から2mのところまで、自分の土地を後退する「敷地のセットバック」を行えば、家は建てられます。このような道路を「2項道路」(法42条2項道路。建築基準法の42条2項から)、または「みなし道路」と言います。
前面道路に2m以上接していない場合は、隣地を分筆して購入するか、あるいは、土地の一時使用賃貸借契約によって、再建築できる場合があります。また、自治体によっては、1.8m以上接していれば、建築基準法第43条第1項の「ただし書許可」に基づき建築できる場合もあります。さらに、まったく道路に接していなくても、既存道路にまでつながる土地を購入して、道路位置指定を申請することで、再建築は可能になります。
一般的に、再建築を可能とする条件が厳しければ厳しいほど、再建築不可物件の価格は下がります。裏を返せば、建て替えできるようにすることで、資産価値は周囲の物件と同等になり、購入時より何倍も価値が高くなることがあり得るのです。

リノベーションで高利回り物件に化ける再建築不可

再建築までの道筋が見えない場合でも、立地が良く家賃の高い地域であれば、4隅の柱と屋根だけを残し、本格的なリノベーションを行うことで高利回りの貸家に化ける可能性があります。利回りは「収入」と「費用」で決まるので、家賃相場が高くない地域でも、それに見合った購入額と水回り程度のリフォームをすれば、高利回りの貸家に化けるかもしれません。
なお、リノベーションやリフォーム再生するにあたって、注意点が2つあります。まず、戸建物件なら、大規模リノベーションでも届ける義務はありませんが、共同住宅ではあるレベル以上の工事になる場合、確認申請が必要となります。また、接道状況によっては、工事車両で搬入ができず部材が手運びとなり、通常よりも2~3割ほど費用がかさむことがあります。
再建築不可物件を、「出口のない物件」と考えてこれまでスルーしてきた大家さんは、もしかしたら大きな損をしているかもしれません。その中には、再建築可能となる物件や、リノベーションで高利回りの貸家になる物件も含まれています。
あなたは、スルーする大家さんになるか、それともお値打ち物件を手に入れる大家さんになるか……自分がどういう大家さんになりたいのか、じっくり考えてみましょう。