空室率で考える健全なアパート経営を実現する損益分岐点とは

アパート経営を成功させるためには、会計上の利益とキャッシュフローの違いを理解することが重要です。
アパート経営では、会計上の利益が出ているにも関わらず、儲からないと感じる方が多いです。
そこでこの記事では、アパート経営における損益分岐点とは何なのかについて解説していきます。

勘定合って銭足らずとは

アパート経営に苦戦している人は、ほとんどが「勘定合って銭足らず」の状態になっています。
アパート経営においては、会計上の損益(勘定)とキャッシュフロー(銭)は違うと理解することが必要です。
個人がアパート経営を行った場合、確定申告で利益を計算することになります。確定申告で提出する不動産所得は、黒字の場合が多いです。
ところが、黒字であってもお金が足りず、結局のところ売却するということが良くあります。その原因は「借入金の元本返済」にあります。
アパート経営には、会計上の損益を計算するために、費用があります。その費用には固定資産税や建物保険料、修繕費、管理委託料などの実費があります。その他、実際に支出しない費用として、減価償却費があります。
費用の中には、借入金の元本返済は含まれません。借入金は、借りるときには売上に計上されません。それと同様に、返すときには費用に計上されないのです。
収入から費用を引くと利益が出ます。その利益に対して税金がかかります。借入金の元本返済は、税引き後の利益の中から行います。
例えば、多くの空室が発生し、非常に利益が少なかったとします。利益が出れば税金が発生します。この時点で勘定は合っています。
ところが、税引き後の利益が借入金の元本返済額よりも少ない場合、税引き後の利益だけでは借入金の元本返済ができません。つまり銭足らずになります。
キャッシュフローのマイナス(銭足らず)が続けば、アパート経営が苦しくなり、最悪の場合、売却ということにもなります。

損益分岐点の空室率はどれくらいか

アパート経営で発生する固定資産税や建物保険料、修繕費、管理委託料などの実費の費用は、収入に対して高々3割程度です。実際はもっと低い物件も多いです。
また、実費の発生しない減価償却費は収入に対して高々5割程度です。そのため、会計上の費用は、実費の3割と減価償却費の5割を合わせても、高々8割程度になります。
つまり会計上の利益は収入に対して2割程度と言えます。このことから、もし空室が2割くらい発生すると、会計上の利益はゼロになります。
言い換えると、空室率2割が会計上の損益分岐点です。
しかしながら、実際に資金が発生しない減価償却費が5割あるため、利益がゼロでも約5割の現金が手元に残ります。
もし、借入金の返済額が満室収入の5割程度であれば、ちょうど残った減価償却費で借入金を返済することが可能です。
ところが、借入金の返済額が満室収入の6割程度の場合、減価償却費だけでは返済することができません。
つまり、借入金の返済率が満室収入時の5割を超えているような場合、キャッシュフローの損益分岐点は空室率2割ではないことになります。
よって、キャッシュフローの損益分岐点としては、借入金の返済比率が5割であれば、空室率2割が損益分岐点であると言う表現になります。
もし全額自己資金であれば借入金の返済は考慮する必要がありません。実費の費用は、収入に対して高々3割程度であるため、キャッシュフローの損益分岐点は空室率7割ということになります。

まとめ

以上、空室率で考える健全なアパート経営を実現する損益分岐点について見てきました。会計上の利益とキャッシュフローの損益分岐点は異なります。キャッシュフローの損益分岐点は、借入金の返済比率で異なるということを理解しておきましょう。