会社員のための不動産投資ストーリー 第1話

この物語は、不動産投資を通じて本気で人や仕事と向き合うことの大切さを知ることができた主人公の心の成長ストーリーを描いたものです。
(※この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。)

1.面接

「本田君のチームはね~、永田君が居るし、まぁしょうがないか。あ、でも部下の育成も大事な仕事だよ。本田君、永田君のこと、頼むよ。」
部長とは普段仲良く話せる本田だったが、今年もこの日だけは部長と目を合わせることができない。今日は人事考課のための部長面接日だった。
本田武(45歳)は、一部上場のソフトウェア会社に勤務している。現在は、部下4人を持つチームリーダーという肩書だ。
本田の部下には、1人うつ病気味の社員の永田和夫がいた。永田は出勤が不安定で、突然休み始めると2週間ほど連続で休み、そうかと思うと普通に戻り出社を続けることを繰り返していた。
本田のチームは本来5名であるが、永田がいるため5人分の仕事を4人でやらざるを得なかった。本田はチームの成果を上げるために、本田が人一倍以上に頑張っているのだった。
部長との人事考課面接は、昨年もこんな感じだった。永田は部長の部下でもあるはずだが、部長は永田のことを全て本田に押し付けてくる。
『冗談じゃない、大体、なんで俺みたいな良い人の上司の下でうつ病になるんだよ。』本田はいつもこう思っていた。
実際のところ、本田は永田の分もいつも黙ってフォローし、永田が出社してきたときも、休んだことを責めるようなことはしなかった。永田のことは完全に否定し無視していた。

2.再会


人事考課の面接は、毎年、業務の閑散期に行われる。今日は珍しく定時帰りができる日だ。
本田は、永田のことでモヤモヤしながらも、夕方5時台の電車に乗り、自宅へと向かった。
「あれ、オイ、本田じゃないか?」
呼ばれて顔を上げると、大学時代の同級生の曽我が立っていた。
曽我は大学のとき、初めて話しかけた同級生だった。2人とも地方出身だったこともあり、ウマが合い、大学初日から卒業日まで友達でいた。卒業後は照れ臭いこともあり、連絡が途絶えていたが、20年以上ぶりの再会だった。
曽我とは、友達というよりは、ちょっとした悪友だった。元々、本田は気が弱く、1人で大それたことはできなかった。高校生までキックボクシングをやっていた曽我は、いつも気弱な本田を引っ張っていく存在だった。
「大丈夫だよ、俺が付いているから。」初めて触れる少し怖い世界でも、曽我はいつも堂々として本田の前を歩いていた。
曽我に出会い、そんな記憶が一気によみがえった。
「お~、曽我~!!確か、お前、○○証券に勤めていたよな?まだ勤めているのか?」
「まだ○○証券だ。どうだ、うちの家、次の駅だから寄っていかないか?」
本田は曽我に誘われ、曽我の住むマンションに立ち寄った。曽我は沿線では有名なタワーマンションに住んでいた。
「すごいな、やっぱ証券会社は給料が違うんだな。」
「あ~、まぁね、会社には最近やっと行き始めたけどね。」
「やっと行き始めた?」本田は疑問に、なんのことか曽我に尋ねた。
実は曽我は昨年うつ病になり、1年間会社、長期休暇を取っていたという。今はリハビリ中で、毎日10時出社で定時帰りの勤務のようだ。
あの強かった曽我がうつ病なんて、本田はにわかに信じがたい思いで一杯になった。
「俺、1年間休んでいる中で、色々考えたんだ。これからは不動産投資をして働かずに生きていけるようにしようと思っている。」
曽我の言う不動産投資は、郊外の木造築古アパートを一気に買い集めるという手法であった。本田は不動産には疎かったが、何やら怪しい話に曽我が取りつかれているようでもあった。
その日は大学時代のバカ話でも盛り上がった。帰り際、曽我の妻の良子に「主人をよろしくお願いします。」と言われたことが、どことなく寂しい気がしてならなかった。


※この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。