収益の基本「イールドギャップ」ってなに?

融資を受けて投資を行う場合、借入金利と利回りからキャッシュフローの動向を予想することができます。不動産投資ではそのために「イールドギャップ」と呼ばれる指標がしばしば使われます。
単純な指数ですが、しっかり理解しておくと、借入を利用して利益をあげる不動産投資の仕組みを把握しやすくなります。

表面利回りと借入利回りの差

マガ男:不動産投資について勉強していると、ときどき「イールドギャップ」という言葉が出てくるんです。見慣れない言葉ですけど、何を意味するもなんですか?
タテ吉:イールドギャップはもともと、投資利回りと長期金利の差を意味する金融用語なんだ。不動産投資の世界では借入金利と表面利回りの差を意味するものとして使われている。
マガ男:えーと、たとえば4,000万円のアパートを金利2%のフルローンで購入した場合、家賃収入が年間300万円あれば、利回りは7.5%ですから、イールドギャップは
「7.5%-2.0%=5.5%」ということですか?
タテ吉:その通り。単純にいえば、この差が大きいほど、ローンを支払った後の手残りが大きくなる。たとえばこの物件のローン返済期間が30年だとすると、年間の返済額は177万円あまりだ。家賃収入から差し引くと123万円が残ることになる。
マガ男:そこから管理費なんかを支払わなきゃいけないとしても、十分な手残りがあるということですね。
タテ吉:ところが金利が4.5%だと、イールドギャップは「7.5%-4.5%=3.0%」に縮まる。この場合、ローンの支払いは243万円あまりだから、手残りは57万円しかない。管理費などを支払うと、黒字を保てるかギリギリの額だよ。
マガ男:イールドギャップ5.5%と3.0%では、そんなに大きく違うんですね。

アパート投資では3%が目安

タテ吉:こんな風に、アパート投資では手残りをイールドギャップで判断できるんだ。
マガ男:借入金利が高いと返済額が大きくなり、低いと返済額が小さくなるからですね。
タテ吉:それに加えて、利回りが高いと借入に対する収益の割合が大きくなり、低いと収益が小さくなる。手残りは借入金利と利回りという二つの数字の差――すなわちイールドギャップが大きいほど増大するんだ。
マガ男:キャッシュフローを黒字に維持できるかどうかの分かれ目もイールドギャップで判断できるんですよね?
タテ吉:先ほど計算して見せたとおり、大まかにはイールドギャップ3.0%が一つの目安と言われているよ。

借入金利が低い今はイールドギャップが大きい

マガ男:それなら金利が歴史的な低さといわれている今は、イールドギャップが大きいから、不動産投資には最適の時期だといえそうですね。
タテ吉:たしかに今はマイナス金利が導入されるなど、市場金利が極端に低く保たれているから、大きなイールドギャップを保ちやすい。エリアによっては物件価格の高騰により、利回りが低下しているが、イールドギャップが保たれていれば、キャッシュフローは維持されやすい。
マガ男:将来的にも低金利が維持されると考えていいんでしょうか?
タテ吉:アパートローンのほとんどは変動金利だからその点は気になるところだろう。ただし、政府では年2%のインフレ率を目標にしているが、2016年は-0.11%、2017年は0.37%と目標にまったく届いていない。計画通りの経済成長路線を実現するためには、低金利が今後もしばらくは維持されると考えても問題ないだろう。
マガ男:つまりイールドギャップが高い状態が保たれるということですね!

キャッシュフローには返済期間も影響

タテ吉:イールドギャップについて考えるとき、一つ気をつけなきゃいけないのは、それだけでキャッシュフローが判断できるわけではないということだ。
マガ男:どういうことでしょう?
タテ吉:金利はたしかにローン返済額を上下させる大きな要素だけど、返済額にはもう一つ重要な要素が影響するよね?
マガ男:ああ、そうか。返済期間によってもローン返済額は違ってきます!
タテ吉:その通り、イールドギャップが3%以上に保たれていても、返済期間が短いと返済額は大きくふくらむので、キャッシュフローが赤字になりかねない。たとえば前述の4,000万円を2.0%で借り入れるケースでも、返済期間30年なら年間の返済額は243万円だが、15年なら308万円となり、家賃収入を上回ってしまうんだ。
マガ男:イールドギャップが3%以上に保たれていても、返済期間が短いと年間の返済額が大きくなるため、キャッシュフローは赤字になるかもしれないということですね。

まとめ

マガ男:不動産投資にはさまざまな指数が登場しますけど、イールドギャップはもっとも基本的な数字だといえそうですね。
タテ吉:たしかにそうだが、解説した通り、それだけでキャッシュフローを判断できるわけではない。投資計画を立てる際には、その他の要素も加味して、詳細なプランを練ることが欠かせないと理解しておくべきだろう。