一人暮らしの高齢者に賃貸でも対応サービス

急激に進む少子高齢化により、単独で暮らすお年寄りが増えています。多くの高齢者は「一人暮らしで満足」と感じているようですが、住まいの確保・提供という面では複雑な問題が発生しつつあります。
賃貸住宅を保有するオーナーの多くは、病気や孤独死など一人暮らしの高齢者に特有のトラブルに不安があるため、物件を貸したくないと考えています。そんななか、高齢者・オーナー双方の不安を軽減するサービスが最近では見られるようになりました。

増える一人暮らしの高齢者と抱える問題

少子高齢化が急速に進む国内社会で急増しているのが、単身で暮らす高齢者です。2010年には約601万人だったのが、2020年には668万人、2030年には730万人に増加すると予想されています。
一人暮らしの高齢者には、病気や認知症、孤独死、家賃滞納など特殊な問題があります。賃貸物件を保有するオーナーや管理を請け負う管理会社にとっては、損失やリスクにつながる問題も多いため、「リスクの大きい入居者」と見なされるケースが少なくありません。
そのため「できれば入居してもらいたくない」と考えるオーナーや管理会社が少なくなく、住まいの確保に不安を抱く高齢者が増えています。

対応サービスで高齢者に安心感

こうした事情を背景に登場してきたのが、高齢者とオーナー・管理会社の抱える問題を軽減するサービスです。
たとえば、第三者機関がオーナーと賃貸契約を結んで部屋を借り、高齢者に転貸するという仕組みなら、オーナーは安心して部屋を提供することができます。
契約者になるのは高齢者向けサービスを提供する法人です。自動電話を使った入居者の安否確認などをサービスの一環として行っており、トラブルが判明するとすみやかに親族や管理会社に通知し、問題が深刻化するのを防ぎます。
また、入居者が居室内で死亡した場合には、遺品整理なども行います。頼る人がいない一人暮らしの高齢者にとっては付帯サービスがあることで、住まいを確保できるだけでなく、安心感の高い暮らしができるという利点も生まれます。

オーナーにとっても物件を貸しやすく

オーナー側から見ると、第三者機関が借主になってくれることで、家賃滞納リスクが軽減されるのは大きなメリットです。若年層は転職や結婚など、ライフステージの変化に伴って引っ越すケースが大半ですが、高齢者は引っ越しが難しいこともあり「終の棲家」と考える人が少なくありません。
そのため契約当初は元気であっても、病気や認知症発症など、オーナーや管理会社が対応に困るトラブルが将来的には高確率で発生します。そういった場合にも第三者機関が彼らの責任で対処してくれるのは安心感の高い仕組みです。
物件の借主は第三者機関なので、高齢者が居室内で万が一のことがあった場合も、借主が原状回復を行います。管理会社にとっても、なにかと対応に労力を要する高齢者が直接の取引相手でなくなるため、オペレーションの手間を省けるのは大きな利点です。
ここまで規模の大きなシステムでなくてもいいというオーナー・管理会社には、より簡便なシステムもあります。例えば、トイレに設置した人感センサーで入居者の活動状況を把握し、24時間活動を感知できなければ管理会社に通知されるといったアイテムなら、ランニングコストを抑えて、リスクに対応することが可能です。

入居者負担やサービスの継続性などに注意も

こういったサービスの導入は入居者およびオーナー・管理会社にとって有効ですが、利用コストは入居者が負担することになります。前述の見守りや死亡時の対応、家賃債務保証の利用料などを合わせると、それなりに大きな負担になるため注意が必要です。
また、サービス利用は長期にわたると考えるべきなので、第三者機関がサービスの提供を継続できるかどうかという問題もあります。もし倒産等の事態が発生すると、契約関係のない入居者を抱えることになるため、対応するのが難しいリスクがオーナーには生じます。

まとめ

急増する一人暮らしの高齢者世帯は賃貸物件を保有するオーナーにとって今後、無視できないターゲット層と言えます。特にワンルームマンションなど単身者向け物件では、これまで主な対象であった若年層が減少することもあり、高齢者を積極的に受け入れることが経営安定のカギとなります。
特有のリスクを低減できるサービスは近年増加しているので、ニーズに合わせて導入を検討してみるのがよさそうです。